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2010年3月31日 (水)

推測していますか?

血液培養は感染症の病因検索のために必要な検査です。

先日、夜間に発熱と嘔吐を主訴として救急を受診した患者で血液培養が提出されました。エコー、レントゲンを撮っても何も見つからず、検査をしましたがWBC5200、CRPは0.2。感染性胃腸炎の疑いでCTRXを点滴して、翌日外来受診となりました。

翌朝、血液培養が陽性になっていたので、直ぐにグラム染色を見ました。(下記参照)

さすがに少し悩みました。患者さんは外来予約しているようです。診察の際に必要な情報を簡単に説明しなければなりません。

感染巣はどこと考え、どう説明するのが良いでしょうか?考えてください。

Photo ①×1000 Photo_2 ②×1000

余談ですが、次年度の兵庫県臨床検査技師会微生物研修会で、毎月10分程度、グラム染色道場の場外乱捕りをすることになりました。ブログで説明出来なかった症例を中心にしていく予定です。http://www.hamt.or.jp/gyouzi/gyouzi-index.html

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2010年3月29日 (月)

Actinomycosis

喀痰で分岐しているグラム陽性菌を見つけた場合は放線菌とノカルジアなどを考えます。元々、芽胞非形成菌として記載されていますが、芽胞形成菌の場合はこのような湾曲や分岐形成することは少ないので区別が付くだろうと思います。

さて、この菌は呼吸器や消化器に常在している菌で、肺、腹部、脳などに膿瘍形成を起こすことが知られています。多くが慢性疾患のような経過を取り、真菌症と画像的に区別しにくい場合があるようです。HACEKと混合して検出されることも多いようです。

肺放線菌症の場合は、微熱、咳嗽が続き画像的には誤嚥性肺炎像を取るとのこと。大事なのはグラム染色で菌の証明をすることですが、見たことが無い人にとってはアトラスなどを参考に見ていくしかありません。でもノカルジアも同様の形態を取るので、キニオン染色をして除外してくことが必要です。

問題は喀痰の時に見えた場合は判断がし難いことも多いことです。口腔内の常在菌であるので、歯科衛生が悪い場合には見える場合が多いからです。常にコンタミネーションとの鑑別が付きまとうことが悩みですが、喀痰の質が良くほぼ単一に見えた場合は起炎菌の可能性が高いため、同定へ進むことが必要です。多菌種で観察された場合は判断が難しくなります。

肺放線菌症の場合、下記のスメアのように確認することは少なく珍しいと思ったので掲載します。ただし、膿瘍から検出された場合はこのようにキレイに見えますのでご注意を。

見えた場合は、主治医と相談する、主治医に連絡することが大切な症例の一つでしょう。

Photo ×1001 ×1000

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2010年3月26日 (金)

話題になっていますが・・・

久々の更新です。滞っててすいません。

ニュースでも、ブログでも一部話題として取り上げられていますが、多剤耐性のAcinetobacter baumaniiです。この菌は緑膿菌と同じブドウ糖非発酵に属する菌ですが、緑膿菌と大きく違うのは、鞭毛を持たないため運動性を欠いていることです。臨床検査技師なら学生時代に習う事項ですが、国家試験終了と共に忘れてしまい価値の内容です。培地上の集落性状はSerratia marcescensと良く似ているので、同定しないと判らないことが多いでしょう。ただ、S. marcescensと少し違うのが集落の臭いです。少し酸い臭いがします。本当に五感を駆使しないと判り難い菌です。

院内感染の起炎菌と知られ、人工物を始め、日和見感染を起こした患者の気道分泌物、人工呼吸器のウォータートラップ、ベッドテーブルなどから検出されるようです。きっかけは大規模アウトブレイクの発端のあるものも多く、昨年からも何回かニュースに登場することになっているようです(Lancet Infect Dis 2008;8: 75162、Clinical Infectious Diseases 2006; 42:6929)。

でも意外に市中感染事例があることは知られていません。更に耐性傾向の強い菌も出現していて初期治療に多く使われる第3世代セフェムも無効なことがあるようです。頼みの綱はカルバペネムですが、一部で耐性のことがあります。日本はメタロベータラクタマーゼによるものが多いと思いますが、それ以外ではKPC型と違う耐性機序によるOXA型という耐性機序であり、ルチン検査で実施しているスクリーニング検査では検出されにくいものもあるようです(Chest 2001;120;1072-1077、ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY, Oct. 2007, p. 34713484、CLINICAL MICROBIOLOGY REVIEWS, July 2008, p. 538582)

しかし、この菌はβ-ラクタマーゼ阻害剤が抗菌作用を示すことが知られてますので、ABPC/SBT、CPZ/SBTなどが標的治療に用いられていることがあります。抗緑膿菌作用を持つ抗菌薬に加え、ABPC/SBT、ポリミキシンBのような知っていないと、感受性を実施し忘れるようなものもあります。本当に重症時の場合は切羽詰ります。カルバペネムとABPC/SBTを併用して治癒出来たなんて症例も見られます。

グラム染色では、ブドウ糖非発酵菌のためグラム陰性桿菌に染まりますが、一部グラム陽性球菌と見間違えることがあるようです。血液培養からの報告例があり、背筋が凍りそうです(Am J Clin Pathol 2006;126:686-690、Am J Clin Pathol 2009;132:18-25 後者は順天堂の上原先生のものです)。

聞いた際に『うそ〜!?』と思いましたが・・・、こういう話をしている時は出るものです。

先日、他院より転送された患者の中で、尿路感染を疑って尿培養が出てきました。バルンは長期挿入中のようです。見たところ腸内細菌かな?と思いながらやや多形成。緑膿菌かも・・・と思い見ていると腸球菌かな?と思う菌も散在していました。

翌日培養を見るとAcinetobacter様。同定結果はAcinetobacter baumanii。しかもカルバペネム、ポリミキシンB意外は耐性で、しかも追加で実施したABPC/SBTまで耐性化していました。併用かな?と思いながら、病棟には接触感染対策を1段階アップ、特に転棟の際の申し送りをしっかりと。主治医には症状観察を重点的にして貰えるように話をしました。院内感染を起こしようなら大変ですから。

『え!?』と思ったグラム染色を掲載します。こんなのがヒントになるのでしょうか?悩みますね。

4 ×1000(陰性のみ見える)

1 ×1000(混じっているのもそうです)

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2010年3月19日 (金)

グラム染色研究会

昨日は第6回神戸グラム染色研究会でした

いつもそうですが、グラム染色と画像診断についての基本的なレクチャーに加え、症例提示がありました。

①グラム染色のレクチャー

グラム染色は主観的に考えてしまうのに加え、染色手技が加わります。2つがミスマッチしてしまうとヒューマンエラーに繋がります。これは臨床検査技師でも、医師でも同じと思います。日常的にグラム染色を観察している人ほど、エラーは減ると思いますので、馴れないうちは馴れた人と1枚のスライドについて目合わせすると良いのでしょうね。

②症例提示

脾膿瘍とマラリア症例でした。

マラリアは熱帯熱を逃さないようにという教訓と、抗マラリア薬も新しくなっているので知識を更新することと薬の入手法について整理する必要があることが教訓として述べられていました。

脾膿瘍ですが

遠くは京都から提示して頂きました。患者背景が掴みにくい、病原菌が予測し難いのに加え、鏡検と同定が難しい菌について進んで行きました。悩ましい症例については、細かいことでも良いので密にコミュニケーションを採ることや、染色の1つの手技が適切かどうか少し考えて見るのが良いのでは?と思いました。

こうして、グラム染色(マラリアは違いましたが)一つで、深いディスカッションが出来るのは良いことだと感じました。次回は7月8日です。

また、手持ちの類似スライドがあるので、後で再掲載します。

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2010年3月17日 (水)

当院はこんなのが多い

先日、救急より尿が出てきました。尿は非常に混濁しています。沈渣をするとのことで一般検査と分け合いました。確かに尿路感染時に一般検査は大事ですが、これで沈渣見ても・・・と思い分け合いました。

グラム染色をすると下記のようなスメアが見れました。少し気になり、主治医に電話しましたが、尿管カテーテル留置者だそうです。今回は肺炎も疑い入院となりそうですが、痰が出にくくて、後で出しますとのこと。

調度見た結果も返そうと思い、尿で白血球が多く、ブドウ球菌の貪食ありますよ。小さいので黄色ブドウ球菌を疑い、MRSAもありですよと報告しました。とりあえず、ABPC/SBTで様子見ますとのことで、それ以上コメントを突っ込みませんでした。

熱があるようで、血液培養も同時に提出されていました。

翌日、血液培養が陽性(下記参照)になりました。尿の培養を見直し、MRSAかもしれないため追加していたMRSAスクリーニング培地を見ると陽性に。そうです、血液もMRSAと推測されます。血液培養報告時には、感染巣を調べるために同時に出された培養成績も添えると上手く報告出来ることが多いです。結局VCM追加となり、既に用意していた初期投与設計を紹介しました。

こんな報告があります。

尿バルン留置患者の3人に1人は黄色ブドウ球菌が検出される。そのうちの86%はMRSAであった。58%は2ヶ月以上留置しており、13%の患者で血液培養が陽性になる(CID2006年、46-50)。あくまで1つのstudyですが参考資料になります。

気になれば連絡が必要で、しっかり介入すれば良かったと反省しています。

非常に怖いデータですよね。

Photo ×1000(尿)Photo_2 ×1000(血液培養)

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2010年3月15日 (月)

今週は18日に神戸グラム染色研究会です

年に3回ほど、グラム染色に特化した研究会を実施してます。

近くの医療機関でグラム染色に興味ある方たちと共に学びます。

主に医師と臨床検査技師が参加してくれて、臨床検査技師さん向けの画像診断の考え方、医師向けのグラム染色の見方の2つの講義に加え、症例カンファがあります。症例カンファはかなり盛り上がります。施設内でディスカッションが無い方たちにとっては非常に濃厚な会になります。

セミクローズの会ですが、殆どオープン化しています。近隣で興味ある方は参加して頂いても構いませんよ。 クラウンプラザホテル神戸で19:15からですこういう研究会が全国に広がって欲しいものです。

さて、先日当直していると血液培養が陽性になりました。

いつものように、陽性になった時間を確認し、ボトルの外観を確認したところ『もしや!』と少し悪い予感。グラム染色で確認しました。そうです。溶連菌です。

直ぐに当直内科医師と病棟に電話して、溶連菌の可能性が高いことを知らせ、患者の状態を聞き、抗菌薬の検討をしました。とりあえずCLDMは追加することになりました。血液腫瘍の患者です。血圧も今は安定していますが、毒素性ショックを起こす可能性もあり、夜勤の看護師さんに観察強化項目としてケアしてもらう様にしました。結局ショック状態には陥らず、解熱し軽快しています。しかし、これからのケアが大変です。

私が当直していると、良くドラマが生じます。呼んでいるのでしょうか?

でも患者が早く治れば本望ですので眠気も吹っ飛びます。

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2010年3月14日 (日)

更新が進んでいません 記事は適当に流して下さい

年度末ですね。何か予想以上に忙しくて、更新が滞っています。皆さんは如何でしょうか?

外は3月にも関わらず先週は雪が降ったりしていますが、段々と暖かい日が増えてきました。外出する服も、ダウンを出したり、片付けたり大変です。

服と言えば、学会などで上京した際には、好意にしているインポートブランドショップに伺います。限定ものなどに弱いので、そそのかされて買わされそうになります。先日、いつものように店を後にして近くを歩いていたところ、日本初出展のアメカジショップがあり寄りました。

http://jp.abercrombie.com/webapp/wcs/stores/servlet/home_14108_10901_-10

今まではセレクトショップで見かけていましたが、大量に在庫を抱え楽しく買い物が出来ました。1階には冬にも関わらず、上半身が裸の男性と記念撮影をするお客さんが集まっていました。

近くには、限定のバウムクーヘンがあり買って帰ります。限定のショコラは本当に美味しいと思います。通販が無いので、関西に住んでいる私にとっては貴重な買い物です。

http://www.nenrinya.jp/shop/index.html

土曜日は伸びに伸びた髪を整えに行きました。3月なので忙しかったようです。隣には吉本興業のシルクさんが座っていました。先日も隣でした。聞いたところ、担当は僕のスタイリストさんと同じだそうです。また、驚くことにプロゴルファーの上田桃子さんや諸見里しのぶさんとも同じだそうです。世の中狭いですよね。

物や人が溢れています。見た目で中身を吟味するのが難しいと良く思います。

関係無いですが、先日出た検査材料の写真です。写真(爪)を見て何菌が発育すると思いますか?えっ、そんなの考えませんか?とりあえず考えてください。

染色する前に想像するのは大切ですね。

Dsc01440

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2010年3月 9日 (火)

番外編

土曜日は『平成21年度 国立病院臨床検査技師会 四国支部春季研修会』に伺い、血液培養のことについて話してきました。http://www11.ocn.ne.jp/~kokurins/katudou.html

臨床検査技師といっても細菌検査をしていない人が殆どの研修会で、血液培養をもっと理解して頂こうという主旨で話しました。

細菌検査に従事していない人は、ボトルが送られてきてどう処理するか?どう活用されているのか?と重要な検査でありますが、どのように使われているのか判りませんので、臨床で欲しい事、検査室内で考えなくちゃいけないことなど解説しました。

中で、血液培養の精度保証というものがあり下記のものも加えて、どう捕らえるかなど話をしました。

①陽性率の検証

②血液培養提出件数の検証

③検査の手順

④陽性検出時の見方

当院は陽性率が約8%、採取件数は約23件 患者1000人・日です。

米国の状況は、陽性率は約8%、採取件数は18-33件 患者1000人・日なので、概ね良好です。

当院の提出件数を見てみると、過去5年と比べ1.6倍に伸びており血液培養の必要性は浸透し始めているようです。しかし2セット採取率は低く、ハード面、採算性を含めこれからの課題であります。

皆さんの施設でも、検証していますか?委員会の資料などにすると面白いかもしれません。

当日のスライド3枚掲載します。

活発な研修会でこちらも刺激を受けました。

2010 Photo Photo_2 

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2010年3月 4日 (木)

福岡での講演 その③

今回は長期尿管カテーテル留置患者では何菌が出るかです。

CDCのCAUTIの診療ガイドラインにはグラム染色で多菌種確認出来るかどうかがひとつのポイントになります。

また、長期留置すると尿路感染を起こす可能性も日に日にあがり、30日間では100%尿路感染を起こす可能性があります。(CDC尿路留置カテーテルガイドライン)

どういった菌によるかですが、細菌検査を実施しているとブドウ球菌や緑膿菌などのバイオフィルム形成菌が多く検出される例を見ていると思います。これって起炎菌?と思っている人、菌量が多いから同定しなきゃと思う人、それぞれ居ると思います。

ただ、カンジダが出た場合は異常かどうか考えて、感受性まで進むのか?報告を急いでした方が良いのか?など深く考える必要もあります。

尿路感染の症状があるかどういかは、一般検査所見を見たりして考察するのは可能ですが、やはり臨床症状の聞き取りが大事です。そのためにも、報告がてら症状を聞くのも同定のプロセスを考える上で大事になるのでは無いでしょうか?

尿路カテーテル留置とコメントあれば、スライド上段のような多菌種か、緑膿菌が存在するのか、ブドウ球菌が多数なのか(特にMRSAキャリアの場合は注意)予測して見る。

通常の尿路感染を起こす菌(下段)もあわせて見るとよりグラム染色のダイナミックさを感じることになります。

Photo

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2010年3月 1日 (月)

福岡での講演 その②

福岡の講演では尿路感染症について話を多くしました。

バルンカテーテル長期挿入中の患者さんで、膿尿からカンジダが検出された場合です。

尿沈渣を見ると、尿からカンジダなんて症例は多くありますが、市中感染の尿グラム染色を見ているうちはあんまり見ないですよね。

見えた場合のアクションとして、大事なのは有症状がどうかです。当たり前の話ですが。

有症状がどうか確認した場合は、患者背景で処置が変わってくるようなので、意外に結果を急ぐ場合も混じっているようですね。

2 当日のスライド

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