Actinomycosis
喀痰で分岐しているグラム陽性菌を見つけた場合は放線菌とノカルジアなどを考えます。元々、芽胞非形成菌として記載されていますが、芽胞形成菌の場合はこのような湾曲や分岐形成することは少ないので区別が付くだろうと思います。
さて、この菌は呼吸器や消化器に常在している菌で、肺、腹部、脳などに膿瘍形成を起こすことが知られています。多くが慢性疾患のような経過を取り、真菌症と画像的に区別しにくい場合があるようです。HACEKと混合して検出されることも多いようです。
肺放線菌症の場合は、微熱、咳嗽が続き画像的には誤嚥性肺炎像を取るとのこと。大事なのはグラム染色で菌の証明をすることですが、見たことが無い人にとってはアトラスなどを参考に見ていくしかありません。でもノカルジアも同様の形態を取るので、キニオン染色をして除外してくことが必要です。
問題は喀痰の時に見えた場合は判断がし難いことも多いことです。口腔内の常在菌であるので、歯科衛生が悪い場合には見える場合が多いからです。常にコンタミネーションとの鑑別が付きまとうことが悩みですが、喀痰の質が良くほぼ単一に見えた場合は起炎菌の可能性が高いため、同定へ進むことが必要です。多菌種で観察された場合は判断が難しくなります。
肺放線菌症の場合、下記のスメアのように確認することは少なく珍しいと思ったので掲載します。ただし、膿瘍から検出された場合はこのようにキレイに見えますのでご注意を。
見えた場合は、主治医と相談する、主治医に連絡することが大切な症例の一つでしょう。
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コメント
師範手前様
ご無沙汰しておりました。久しぶりに書き込みさせてもらいます。
Actinomycesではお世話になり、ありがとうございました。
Actinomyocsisですが自分は喀痰で写真のような単一なのは初めて見ました。貴重な写真ありがとうございます。
さて、先日、腹部膿瘍のグラム染色で放線菌を疑う症例に遭遇しました。染色像は写真様な典型的なものではなく、また他の嫌気性菌(GNR、GPC)も認めました。嫌気培養を実施しましたが、他の嫌気性菌は生えてきますが、Actinomycesらしきものは生えてきません。spider microcolonyの観察もしましたが、ありませんでした。放線菌ではないのでしょうか・・・
もし、複数菌感染の場合、放線菌培養でなにかいい方法はないでしょうか。
グラム染色では、放線菌だと思ったのですが・・・
なにかアドバイスいただければ幸いです。
よろしくお願いします。
投稿: 指導員手前 | 2010年3月30日 (火) 16時19分
>複数菌感染の場合、放線菌培養でなにかいい方法はないでしょうか。
上手く分離する以外ありません。培地を駆使するのも一つでしょう。
>放線菌ではないのでしょうか・・・
放線菌様に観察されるのはLactobacillus、Bifidobacteriumや嫌気性菌などあるようです。Acitinomycesでは無かったのかも知れません。腹部感染症の場合は見えても分離出来ない例は多いのでそういう時はグラム染色は有用ですよね。
投稿: 師範手前 | 2010年3月30日 (火) 19時22分
師範手前様
ありがとうございます。
やはりなんとか分離するしかないのですね・・・
グラム染色も今一度よくみてみようと思います。
もうすこし粘って培養も続けてみます。
投稿: 指導員手前 | 2010年3月31日 (水) 12時13分