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2010年2月24日 (水)

福岡での質問 その② 誤嚥性肺炎時の抗菌薬

緑膿菌やMRSAのような薬剤耐性菌の既往も無い市中の唾液誤嚥による肺炎例では初期治療の抗菌薬としてβ-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリンの使用が多く見られると思います。理由としては口腔内にはβ-ラクタマーゼ産生菌が多く存在したり、インフルエンザ菌など一部β-ラクタマーゼを産生する菌が起炎菌になる可能性があるからと言います。

良く使用されているのがABPC/SBTと思いますが、キット製剤やバイアル製剤が混在します。現在、製剤として1.5gと3gの2種類があり、1日最大投与量は6gとなっています。米国などは12gまで使用している例は多く存在します。

誤嚥性肺炎を疑い、特別耐性菌は無いが、ABPC/SBTを使用するが効果改善が明確で無いという相談が多く持ちかけられると思います。抗菌薬が検出菌のスペクトルを満たしているが効果が無いと判断される場合は、器質的な構造異常(膿の貯留など)や感染症意外の要素が多く含まれますが、PKPDの理論より投与量が十分にカバー出来ているかどうかも考えることが必要になります。

PKPDは抗菌薬の移行性が血管と平衡に保たれる臓器が原則(つまり局所投与のような高濃度に移行する場合は除く)になります。また対象の菌により変わります。

ABPCと肺炎球菌の関係を見てみます。この場合、菌側の要素に肺炎球菌はβーラクタマーゼを産生しないこと、ABPCはβ-ラクタム薬なので、抗菌薬の効果はtime above MIC(TAM)と相関するということがポイントになります。

MICが2.0μg/mlの肺炎球菌でABPCを6g/日投与する場合のTAMを見た場合下記のようになります。

①3gを1日2回投与する場合⇒38.8%

②1.5gを1日4回投与する場合⇒62.5%

(化学療法の領域より)

ABPCを用いた薬効を考えた場合、最低でも40%以上のTAMが必要であり、①の場合はギリギリ(少し足りない?)投与計画になりますが、②の場合は十分となります。また、治療効果には免疫状態が十分に関与してくるため、既に医原的行為や加齢による免疫不全がある場合は、①では効果が十分で無い可能性があります。

更に、CLSI基準は米国の投与量に応じたものですので、食い違いも出てきます。

このように、抗菌薬の効果判定をする場合は、色んな要素を考慮してグラム染色でいつもの像を確認していく心がけも必要となります

Photo 当日のスライドより

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