« 尿路感染症診断のためのグラム染色① | トップページ | 尿路感染症診断のためのグラム染色③ »

2010年1月20日 (水)

尿路感染症診断のためのグラム染色②

続きです。

やはり何と言っても患者背景は大切です。

単純性膀胱炎のため外来で採尿された方なのか?急性腎盂腎炎なのか?

はたまた、腎結石に伴う尿路感染なのか?バルン長期留置なのか?尿路変更をしているのか?

医療技術の高度化に伴い、出てくる菌も複雑化していきます。

先日も話したように、市中で1次的な感染であれば腸内細菌が優位で、大腸菌、肺炎桿菌が多く検出されるでしょう。

入院期間が長い場合は緑膿菌に暴露される可能性が上がり、感染の機会が増えて検出される可能性が上がるし、エンテロバクターやシトロバクターのようなセファロスポリナーゼ産生菌、腸球菌の検出される可能性も上がる。

バルン挿入例も考えよう。

バルン短期挿入者の場合ほとんどが、腸内細菌(言わば大腸菌)であり、長期になれば複数菌検出されることが多い。感染症に関心のある医師でない限り、そういった考察を持たないで初期治療の抗菌薬選択を行う傾向が強い。しかし、関心のある医師はグラム染色の結果を参考にする機会が多い。それは抗菌薬適正使用へとつながる行為である。

関心が無いのは、検査結果を有効に使えていないのか?期待されていないのか?施設によって違いはあるが、関心を引いてもらうようにグラム染色の結果を表現することが大切では無いでしょうか?

この場合は複数菌居ると報告していますでしょうか?腸内細菌に加え腸球菌の2つの菌が考えられますと報告すると良いのでしょう。

1000_2 ×1000

|

« 尿路感染症診断のためのグラム染色① | トップページ | 尿路感染症診断のためのグラム染色③ »

背景など病態把握」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。