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2010年1月 2日 (土)

あけました、おめでとう

皆様、2010年明けました、おめでとうございます。

一家団欒の中、ミカンを食べながらグラム染色を見ていると気持ち悪がられませんか?

こういう医療従事者の思考は一般人に受け入れられませんよね。

さて、こんな症例もあります。

先日外来で、数年間カンジダ性膣炎が反復し掻痒感が続くという患者が紹介されて来ました。HIV?CSW(コマーシャルセックスワーカー)?と思うでしょうが、意外に若い女性であるようです。基本はケトコナゾール膣錠やフルコナゾールの経口投与のようですが、今回は色々試したがダメな症例です。

相談貰ったので、アゾール耐性?と思い、グラム染色してみましょうということで、帯下を染色。すると、このような菌が見えました。

ラクトバチルスが多数確認される中、カンジダを発見。菌糸伸ばしているので、アルビカンスの可能性が高いと報告。結局、反復には反復でアゾール投与で対応することにしました。文献もすんなり見つかりましたので、意外に多い疾患なのでしょうね。N Engl J Med 2004;351:876-83.

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グラム陽性菌」カテゴリの記事

コメント

師範手前様明けましておめでとうございます。
昨年は新型インフルエンザ一色の年でした。
今年インフルエンザ流行はどういった問題起こすのでしょうね
師範手前様のご活躍いつも会議等に参考させていただき大変参考にさせていただきありがとうございました。

>ラクトバチルスが多数確認される中、カンジダを発見。>基本はケトコナゾール膣錠やフルコナゾールの経口投与のようですが、今回は色々試したがダメな症例です・・・

当院産科婦人科年間で数千人経験しますがC..albicans>>>C.glablata>Candida.sp の順で、けっして難しい変な真菌は出てきませんので皆さん多分安心していいと思います。

グラム染色 観られている菌 どちらかというとラクトバチルスというより ビフィドバクテリュウムのような菌種のようにも私には観えます
(テトラ様にも観められ)。
ラクトバチルスの貪食も時に明瞭に認められ、ラクトバチローシス?
と想わせらられることも皆さん迷う原因でないでしょうか?。
日常ルーチン中にも考えさせられる事が私にはあります。
本年もよろしくお願いします。

投稿: 倉敷太郎 | 2010年1月 2日 (土) 22時33分

倉敷太郎さま

いつもありがとうございます。今年も宜しくお願いします。
さて、このスメアでラクトバチルスかビフィドバクテリウムかどうか私は鑑別が出来ません。ラクトバチルスの中には放射線状に伸びたもの、小さい桿菌まで多種多様に存在するからです。BVスコアを提唱したNugentは大きな陽性桿菌をすべてラクトバチルス様菌としてBVスコアに入れています。

このスメアでは、今回カンジダが見えていますので、BVスコアとしてはスコアリング出来なくなりますのであくまでも参考値程度に見ないといけません。

膣の場合はそんなに難しく考えなくても良いと思いますが、どうでしょうか?

投稿: 師範手前 | 2010年1月 4日 (月) 22時42分

記事の本旨からはそれますが・・・

繰り返す膣カンジダがきっかけでHIV検査を勧めてもらえた結果、発症前に気づけた女性のHIV患者さんが一定数います。
同様に、性器ヘルペスを繰り返すことが検査のきっかけになった女性もいます。

HIV陰性の方で気づくのは月経周期の影響です。このため似たような時期に再発しているひとたちがいます・・・。参考までに。

投稿: 青木Blog編集部 | 2010年1月 8日 (金) 09時27分

青木ブログ編集部様 コメントありがとうございます。
青木ブログは最新の情報も多く、いつも参考にさせて貰っています。本当に情報量も多く、私のようなちっぽけブログとはスケールが違い過ぎます。

さて、HIVの件ですが当然疑わしい症状ありきで検査を勧めることが必要と考えています。相談頂いた場合は背景としてHIVの有無は常に頭に入れてます。今回は頼み込んでHIV抗体をしましたが陰性でした。

HIV抗体と言っても単なるスクリーニングです。
話それますが、スクリーニング方法にもp24抗原も測定出来るもの、出来ないものまで沢山あります。皆さんは自施設の抗体は何で測定しているかご存知でしょうか?ピットフォールになっていませんか?

ところで質問ですが、HIVのスクリーニングは何歳まで推奨すれば良いのでしょうか?

当院は術前検査にHIV入れていますが陽性率が低く意義について検証しようと思っています。

投稿: 師範手前 | 2010年1月 8日 (金) 23時06分

いつもありがとうございます。

今あるHIVの疫学データは精度が問題ではありますが、それでも日本のプレバレンスは低いと推定sれ、そこで広くスクリーニングをしても費用や手間をさいた意味があるのかは疑問になりますね。偽陽性も問題になります。

私はルチンのスクリーニングについては基本的にはその地域・病院・領域特性で考えるとよいとおもっています。地域の状況は感染症情報センター等が出しているのを参考にします。
東京・大阪だったらやってもいいのかもしれません。
病気の特徴を考えると消化器系の症状から内視鏡検査をするような人たちには意味があるのかも、とおもいます(手術対象者よりも/保険ではみとめられないそうですが)。

年齢については米国は中学生相当年齢からルチンの対称にしています。別の国では18歳だったりいろいろです。
日本の初回性交年齢を考えると18歳くらいからではないでしょうかね・・。

ちなみに、レアなケースですが、今までに相談を受けた例での最年少は小学生高学年のこどもでした。母子感染で気づかないまま大きくなったのか、性行為(虐待含む)があったのか検討を要しました。

投稿: 青木Blog編集部 | 2010年1月 9日 (土) 09時06分

青木ブログ編集部様 詳しい解説ありがとうございます。年齢は18歳以上と言うことですが、やはり社会性の広がる年になるので線引きには大事になりますね。
ついでにと言っては申し訳ありませんが、輸血歴もない高齢者の場合はどう考えてアプローチするのが良いんでしょうか?職員の針刺し・切創事故時に汚染源の状態を考える上で…。安全対策と考えると可能性低くてもHIV抗体価は当然ながら全数測るべきと思ってるのですが。安全対策と感染症の診断は少し別物とは考えてますが。

投稿: 師範手前 | 2010年1月10日 (日) 23時14分

そうですね。年齢はルチンにする際にはどうしても目安が必要なので考えないといけません。ひとりひとりリスクアセスメントするのは現実的ではないという点で。

青木Blog編集部では、感染対策としてはルチン検査を考えておらず、あくまで早期診断機会としてとらえているのですが、その意味では60歳以上のHIV感染者は少なくないと感じています。初診時に70代の女性、80歳前後の男性なども東京近辺では見聞きします。(本人も医療者もリスクを考えていないので診断が遅れがちです)

性的活動性の低いと言われる日本ですが、高齢者の方もSexual activityはかなりあります。しかも妊娠しないのでコンドームは使われていません。粘膜も脆弱です。怖いです。

最近米国が高齢者医療でのHIVルチン検査の費用をカバーすると発表しました。
2006年のCDC推奨は64歳まででしたので「拡大」ですね。

個人的にはルチン化するほどひろがっていはいないとおもいますので、現時点では臨床症状・既往・リスク行動ベースで検査をするほうがコスト的にはよいとおもっています。

あるいはパッキリわりきって、男性だけやるとか。50%ルチン検査ですね。 (女性はほとんど報告にあがってきていません)

投稿: 青木Blog編集部 | 2010年1月13日 (水) 21時27分

青木ブログ編集者様

>}その意味では60歳以上のHIV感染者は少なくないと感じています。初診時に70代の女性、80歳前後の男性なども東京近辺では見聞きします。(本人も医療者もリスクを考えていないので診断が遅れがちです)

へえ~と思いました。ありがとうございます。80代ですか?もう日本で発見されて30年近く経ちます。当たり前かとも思いますが。
いつも鮮度の良い情報ありがとうございます。

投稿: 師範手前 | 2010年1月14日 (木) 23時03分

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