« 今週は長野 | トップページ | Providenciaの尿路感染症 »

2009年12月 9日 (水)

血液培養陽性時の報告

先日、こんな情報を貰いました。日本における血液培養の提出数が1ベッドあたり約8件。米国は約40件/ベッドと日本は約5分の1。米国は市中肺炎例の場合、グラム染色や喀痰培養検査を差し置いて血液培養が最上位を占めます。血液培養が重要だと言っていますが、未だ未だ浸透しきれていませ。ちなみに当院も計算しましたが、20件/ベッド。日本にしては多い方だと思いますが、もっと採取しないといけませんと反省です。

ところで、血液培養は2セット採取されていますか?1セットですか?好気性のみですか?嫌気性と2本採取されていますか?慣れてくると患者背景によって取り分けが出来るかもしれませんが、殆どそういった熟練の技は出来ていないのが普通と思います。また、現場で採血指示をした場合、看護師さんや臨床検査技師さんと密に連絡がいかなければ、採取漏れなんてインシデントが発生することになります。

血液培養2セットの意味は、表在菌や弱毒菌のコンタミネーションかどうかの判断、採血量増加による検出率のアップなどがあります。

検査室で陽性時の報告の際に、「コンタミネーションでしょうか?」とか、「コンタミネーションをするような菌でしょうか?」など聞かれることが多いですが、あくまで臨床所見と総合的解釈になります。グラム染色でグラム陽性球菌のクラスター形成、培養の結果CNSが検出される。患者は既往なし、自宅で住んでいたなどの患者背景から検出されたらどうでしょうか?殆どコンタミネーションと考えてしまう訳ですが、100%そうか?と言及された場合は迷いますよね。

グラム陽性球菌でクラスターの意味するものは、ぶどう球菌である可能性が高いという報告でありますが、菌種の推定は可能でしょうか?臨床で凡そ確認したいのは黄色ブドウ球菌かどうかです。それはCNSが起炎菌の可能性が少ないと報告があるからでしょう。

グラム染色でCNSかどうか確認出来れば良いでしょうが、PNA-FISH法のような画期的な方法があれば明確でしょう。でも、殆ど出来ない今は菌の特徴を良く確認する必要があるでしょう。

下記も血液培養陽性例のグラム染色ですブドウ球菌にしては大型の菌で、黄色ブドウ球菌とは少し違う様相です。

黄色ブドウ球菌と並べるので比べてみましょう。(でも、全ての検査室で違いが理解出来る訳ではありませんのでご注意下さい)

2 ×1000

Mssa

×1000(黄色ブドウ球菌)

|

« 今週は長野 | トップページ | Providenciaの尿路感染症 »

グラム陽性菌」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。