« これは悩まないかも | トップページ | チーム医療実践セミナー 感染管理(ICT)部門 »
悩むシリーズを勝手に作りましたがすいません。
下記にグラム染色と検体を掲載しましたが、喀痰の外観はP3(膿部分が2/3以上)です。市中肺炎でこのような痰を認めるからには、かなりグラム染色の能力が上がるでしょう。
顕微鏡を覗く前に、皆さん見えるだろうと思われる菌のイメージは持てているでしょうか?
肺炎球菌?インフルエンザ菌?ブランハメラ?市中肺炎の多くはこの3つの菌で占められてます。
しかし今回はこのようなスメアを確認。何をコメントとして残し、主治医が聞いてきた場合は逆に聞くことありますでしょうか?自院のことも含め想像してみましょう。
×1000
投稿者 師範手前 時刻 08時08分 背景など病態把握 | 固定リンク Tweet
Polymicrobial patternの所見を認めます。この方は、入院中の方でしょうか、外来の方でしょうか。外来とすれば、脳血管障害などによる嚥下障害などがあるかどうか、肺気腫などの基礎疾患はどうか。一部にフィラメント化したように見えるグラム陰性桿菌を認め、抗生物質の前投与があったかどうか。 グラム陽性菌には、①グラム陽性双球菌(莢膜あり) ②グラム陽性球菌(やや大型) ③グラム陽性桿菌’ハの字型’ を認めるので、それぞれ、①S.pneumoniae ②Staphylococcus spp. ③Corynebacterium を疑います。 グラム陰性菌においても、④グラム陰性桿菌(小型) ⑤グラム陰性双球菌 ⑥グラム陰性桿菌-中型 を認めます。 嚥下障害があり、口腔内の清潔保持が出来ていない方が、もし、嘔吐して吐物を誤嚥してしまうと、このような所見になるのでしょうか。とすれば、グラム陰性桿菌に関しては、腸内細菌類も考えなければならない、と言ったところでしょうか。 使用抗生物質は・・・僕は入院患者さんではない、外来診療のみの診療所ですので、あまり自信はありませんが、SBT/ABPCとCLDMの併用、でしょうか・・・?偽膜性腸炎にならないことを祈りながら。 的外れな評価だったら恥ずかしいですが、誰も書き込まないので、思い切って書いてみました。
投稿: 三省 | 2009年12月 5日 (土) 15時14分
三省さま
非常に参考になるコメントありがとうございます。臨床医の思考を目の当たりにして検査室で顕微鏡を見ている人は少ないと思います。 写真からうかがえることは、膿性痰にも関わらず、通常の市中肺炎の菌(肺炎球菌やインフルエンザ菌など)が確認できず、多菌種の貪食像が確認されることです。見ている中で細い菌が多く見られますが、嫌気性菌を疑わせるような所見です。また、グラム陰性桿菌でやや太い菌があるだけに、腸内細菌を疑うもので、院内肺炎を起こしているかのような所見です。 やはり大事なのは三省さまの言うとおり患者背景の把握であり、長期入院していて、帰宅して間もない患者が搬送されたりします。当然緑膿菌が検出される可能性も高く、報告の際にどういう患者か、外来から採取されているが、院内肺炎の像に似ているだとかの情報を提供する必要があると思います。 また口腔衛生が悪いだとか、誤嚥のリスクも考えるのも一つです。大切なのは、普通と違うという所見が確認されたという認識であり、主治医に一度問い合わせをして、検査の趣旨を詳しく教えて貰うのも良いと思います。案外、肺炎像は無く、MRSAの確認だけ・・と言われてテンション落とす場合もありますがね。
投稿: 師範手前 | 2009年12月 5日 (土) 17時56分
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
Polymicrobial patternの所見を認めます。この方は、入院中の方でしょうか、外来の方でしょうか。外来とすれば、脳血管障害などによる嚥下障害などがあるかどうか、肺気腫などの基礎疾患はどうか。一部にフィラメント化したように見えるグラム陰性桿菌を認め、抗生物質の前投与があったかどうか。
グラム陽性菌には、①グラム陽性双球菌(莢膜あり) ②グラム陽性球菌(やや大型) ③グラム陽性桿菌’ハの字型’ を認めるので、それぞれ、①S.pneumoniae ②Staphylococcus spp. ③Corynebacterium を疑います。
グラム陰性菌においても、④グラム陰性桿菌(小型) ⑤グラム陰性双球菌 ⑥グラム陰性桿菌-中型 を認めます。
嚥下障害があり、口腔内の清潔保持が出来ていない方が、もし、嘔吐して吐物を誤嚥してしまうと、このような所見になるのでしょうか。とすれば、グラム陰性桿菌に関しては、腸内細菌類も考えなければならない、と言ったところでしょうか。
使用抗生物質は・・・僕は入院患者さんではない、外来診療のみの診療所ですので、あまり自信はありませんが、SBT/ABPCとCLDMの併用、でしょうか・・・?偽膜性腸炎にならないことを祈りながら。
的外れな評価だったら恥ずかしいですが、誰も書き込まないので、思い切って書いてみました。
投稿: 三省 | 2009年12月 5日 (土) 15時14分
三省さま
非常に参考になるコメントありがとうございます。臨床医の思考を目の当たりにして検査室で顕微鏡を見ている人は少ないと思います。
写真からうかがえることは、膿性痰にも関わらず、通常の市中肺炎の菌(肺炎球菌やインフルエンザ菌など)が確認できず、多菌種の貪食像が確認されることです。見ている中で細い菌が多く見られますが、嫌気性菌を疑わせるような所見です。また、グラム陰性桿菌でやや太い菌があるだけに、腸内細菌を疑うもので、院内肺炎を起こしているかのような所見です。
やはり大事なのは三省さまの言うとおり患者背景の把握であり、長期入院していて、帰宅して間もない患者が搬送されたりします。当然緑膿菌が検出される可能性も高く、報告の際にどういう患者か、外来から採取されているが、院内肺炎の像に似ているだとかの情報を提供する必要があると思います。
また口腔衛生が悪いだとか、誤嚥のリスクも考えるのも一つです。大切なのは、普通と違うという所見が確認されたという認識であり、主治医に一度問い合わせをして、検査の趣旨を詳しく教えて貰うのも良いと思います。案外、肺炎像は無く、MRSAの確認だけ・・と言われてテンション落とす場合もありますがね。
投稿: 師範手前 | 2009年12月 5日 (土) 17時56分