先日の講演会 その1
大阪府臨床検査技師会の講演会が終わりました。教室一杯に来ていただきありがとうございました。また、大阪以外の方もいらっしゃとかで。熱心ですね。
結構、すでに講演を聴いたことがあるという人もチラホラ。内容を一新しないといけませんかね?
講演会の中ではいつも近日中に起きたことを初めに持ってきて展開します。また、事前予告の症例なども交えて、はじめるスタイルをとっております。
先日のおさらいというか、模範解答を掲示します。http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/29-205b.html
グラム染色を見る前に設問に対して考えましょう。
患者は胆道閉塞を繰り返す患者で、ステント留置しています。ステントは4ヶ月前に留置し、一度化膿性胆肝炎になりました。その時は大腸菌(ペニシリナーゼ産生菌でESBLではありません)が、血液培養と胆汁から出ています。今回は敗血症性ショックで入院しまして、CPZ/SBTで開始となりました。
⇒ステントとは、平たく言えば人工の管状物で、経路が閉塞した患者の交通を助けるためのもので、胆道のステントは胆汁排泄を助ける目的で留置します。
人工物ですので、菌が付きやすいし、詰まってしまい更に逆流する場合もあります。逆流すれば、少量の菌数でも血管内へ流入し敗血症もなりやすいです。胆汁ですので、腸内細菌中心に感染症を起こすため、CMZやCPZ/SBTなどの胆汁移行の良いセフェムが汎用されます。
閉塞した様子でも無く、CT上では問題点が見つかっていません。
⇒あくまで発生初期の場合、膿瘍や腫大などの画像上で確認出来る程度から見えないものまであります。必ずしも100%f/uは出来ないと考えれることもあります。
グラム染色より『グラム陽性球菌+連鎖状+2から10個程度の連鎖+やや楕円形+消化管にフォーカスがありそうだ+セフェムの使用で軽快が無い?』=腸球菌による敗血症性病変。と考えることが出来そうです。
ランセット型?と思いきや、肺炎球菌であれば呼吸器疾患などのフォーカスがあっても良いでは無いでしょうか?可能性は低いため、頭の片隅に・・・。
となれば腸球菌の可能性があるということを報告時に匂わせて展開しておくことが肝要でしょう。
長くなるので、続きはその2で。
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