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2009年10月23日 (金)

どうしてMRSAを疑うか

相談を受ける症例で多いのは抗菌薬無効例。

無効となる理由には色々とありますが、その一つにMRSAなどの耐性菌による感染事例があります。最近は病院内のみならず市中感染や施設内感染も多く見られるようです。

先日こんな症例がありました。老人介護施設に入所中の方が呼吸困難を主訴として来院されました。症状と胸部レ線より誤嚥性肺炎を疑いCAZ+CLDMで加療となりました。翌日より軽快しましたが、4日目より発熱を再度来たしたため、現行の抗菌薬不良と考えMEPMへ変更。しかし、改善が無く相談されました。胸部レ線は2度撮影しましたが、著名な改善も見られず、CTは撮影していません。

問題点として

 ①閉塞や胸水貯留による無気肺で換気が悪い

 ②薬剤耐性菌

 ③それ以外

①は画像、③は腫瘍マーカーなどの検査を追加することに。

②は画像を撮影しても、採血でも引っかかりませんので喀痰の採取をしてもらうことにしました。

①③には異常が無く、②は以下の所見でした。

多数のグラム陽性球菌でクラスター。ブドウ球菌を疑い、しかも貪食多数あり。MEPMやCLDMなどの一般に誤嚥性肺炎で使用する抗菌薬が効果的で無い。MRSAの高濃度暴露の可能性がある。

段階的にMRSAである根拠を固めつつ、確証論化していき返事。MEPMに加えVCMの初期投与設計をして投与開始としました。(非発酵菌の完全否定には繋がらないので)

翌日MRSAが単一菌として検出され、以降炎症反応と呼吸器症状の軽快を認めた。

結果的に当たったのですが、MSSAならと思われるかも知れません。MSSAでもVCMという使用論はある訳で、後からセフェムへの変更を検討したら良いと思います。

適正抗菌薬の投与が1日遅れても、治療期間が1日短縮するなどの簡単な計算式は成り立たないことを念頭に入れてグラム染色を見ることは大切です。

Mrsa100

×100

Mrsa1000 ×1000

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