臭くない
嫌気性菌を疑うが場合は臭いが大きな情報になります。臭い=嫌気性菌という発想ですが、必ずしも臭いがするとは限りません。臭いを放つ検体には、体液などを栄養源として取り込み、悪臭の物質を産生する菌による感染が無い限り臭いはしません。
膿胸と言われた時、臭いと思い価値です。変態行為ではありませんが、検査室では臭いを嗅いでいます。それは菌の推定をして以後の培養検査に必要な情報を収集したいからです。
下記のスメアは膿胸を疑う患者からドレナージした検体です。アイボリー色で提出された検体には臭いがありません。臭いが無いというのはpolymicrobialでは無いことが多い、既に治療が長期間行われており菌が居ないなどの思考回路へと向かいます。
見えるのは染色性の悪いレンサ状球菌。
染色性が悪い=嫌気性菌の可能性あり
レンサ状球菌=口腔内の常在菌を疑う
という発想に向かい、膿瘍形成が加わればミレリ菌と推測して培養を進めます。翌日小コロニーを形成し、嫌気の方が発育が良く、やや酸っぱい臭いがする場合はまさにミレリ菌の可能性は大幅アップになります。
この積み重ねで、グラム染色でミレリ菌疑いや嫌気性グラム陽性球菌疑う所見として報告可能になります。
なので、下記のグラム染色では大方、ミレリ菌を疑い、誤嚥性肺炎から膿胸になったという推測が付きます。喀痰グラム染色でも同様の菌を確認出来ると思いますよ。
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