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2009年5月 8日 (金)

これしか見えない

明日は信州ICセミナー(in松本)にお邪魔します。どうぞ宜しくお願いします。

内容は、感染管理業務としてアクティブに使えるような講演にしようと思います。

さて、問題にします。

80歳代男性、主訴:全身倦怠感のみ。3日前から感冒様症状あり。

既往:HCC、DM。

昨晩より熱があり、朝に39℃を超える熱。昼に救急車に乗り来院。独歩にて入室。

血圧の低下、ややせん妄をきたし、問診、胸部レントゲンなど実施の途中にショック状態になり、意識レベル低下。PaO2の低下もあり、集中治療室へ入室し挿管。

胸部レントゲン像はN.P.。胸部~腹部CTでも肝硬変のみ指摘。

入院4時間後より、下肢から体幹にかけ出血斑が出現してきました。

血液培養施行し、8時間後に陽性。

グラム染色しました。見えたのはたったこれだけ・・・・。さあ、どうする?

答えの紐解きは後日します。

600 ×1000

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背景など病態把握」カテゴリの記事

コメント

長野の笠井です。
明日の信州ICセミナーの代表世話人です。
事前にすごい反響があります。信州の感染症人間は手ぐすね引いて待っているようです。

夜の懇親会は、信州の馬刺しとおソバなどでおもてなしをしたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
明日、お会いできることを楽しみにしています。

投稿: 笠井正志 | 2009年5月 8日 (金) 15時13分

久しぶりの問題のような・・・
連鎖球菌でしょうね。80%はA群、残りをC,G群もしくは肺炎球菌!まず、ラテックスで迅速診断ですね。尿中肺炎球菌のキットも使用したいですね!治療はPCGもしくはABPC(SBT/ABPC)できるだけ多く+CLDMですかね。出血斑も比較的はやいので劇症疑いでしょうね。水疱などができていればダイレクトでラテックスも可能ですよね。ありとあらゆる迅速診断を駆使したいものです!感冒様症状もミソですか?

投稿: おじゃま虫 | 2009年5月 9日 (土) 00時43分

中心からやや右にGPC様の細菌が見えると思います。
これが起炎菌だとすれば、すでに指摘されているように連鎖球菌を一番に考えます。臨床的には急速進行性の皮膚所見をきたす状態であり、Streptococcal TSSかと思われます。
僕も最近、高齢、肝硬変、糖尿病をもち、ショックで入院となった患者さんでGBSが血液培養から生えましたが、フォーカス不明、抗菌薬に効果が見られず、3日程度で亡くなられた症例を経験し、GBSによるTSSだったのだろうかと今は考えています。文献をみると基礎疾患のある高齢者はGBS感染を起こしやすく、20-40%はフォーカス不明で劇症化することもある、抗菌薬のほかに免疫グロブリンが1mg/kg程度必要などありました。口腔内、外陰部~子宮周辺などにとくに病変は見られませんでした。
GNRによるショックはGPCよりも怖いと思っていましたが、いやいやなんの、GPC血培陽性例も心してかからないとあっという間に勝負がついてしまう怖い症例になりえると感じました。

今回の症例とまったく関係なかったら申し訳ありませんでした。

投稿: highgear | 2009年5月 9日 (土) 06時34分

笠井先生 本日宜しくお願いします。昨日は上司に引っ張られ深夜前まで酒飲みのためコメント返せませんでした。すいません。
予想以上の反響とは緊張します。内容吟味しましたが期待以上の反響に出来ればと思ってます。盛り沢山すぎて時間通りに終わるか心配です。

投稿: 師範手前 | 2009年5月 9日 (土) 11時05分

おじゃま虫さま、highgearさま
お久しぶりです。皆さん問題を期待しているとは気が回りませんで…。時々、『解説の方が分かり易い』と言われるもんでついつい。
ところで、感冒様症状ありで下肢の出血斑。溶連菌感染を考えるところです。グラム陰性桿菌でもこのような感染兆候を示す場合がありますが、今回は血液培養にてグラム陽性球菌らしき像が見えてます。私的なんですが、感染症を考える中で菌は数カ所で確認出来るのが起炎菌の確率を高める要素の一つと考えています。今回は『ここだけ』と書いてます通り、ここだけです。まずアーチファクトかどうか考えないといけませんよね。で、起炎菌とすれば①短い過ぎる陽性球菌②周囲に赤みが無い③菌数が少ない④出血斑より莢膜菌を疑う事を連鎖的に考えます。≒GBSか肺炎球菌を疑い検査を進めます。私はこの時血算用に採取した血液で薄層標本を作りグラム染色します。意外に見えます。
GBSについては昔から職場の医師と一緒に色々してますが、この菌は毒素を出さない事が特徴ですよね。なんでA群とは少し病原性が異なります。シアル酸が病気に関与していると言う話です。CLDMの有用性については決着が着いていないようです。

投稿: 師範手前 | 2009年5月 9日 (土) 11時28分

ひとつ質問です。血液培養陽性で菌がわかりにくい場合、さらに集菌したり、ギムザしたりはしないのですか?どのように処理した検体でここだけなのでしょうか?

投稿: おじゃま虫 | 2009年5月 9日 (土) 13時38分

血液培養はそれ自身増やすような行為なんで、通常さらに集菌はしないです。直ぐに陽性の場合なら要らないかもしれませんが、発育要求の悪い菌が4-5日で発育してる可能性あるなら集菌しても良いかなと思います。採血後直ぐなら意味あるかもしれませんね

投稿: 師範手前 | 2009年5月 9日 (土) 13時51分

本日は気合いのこもった講演ありがとうございました.
長野県は感染症専門とする医師が極めて少ないので,当面は検査技師や薬剤師の皆さんに頑張ってもらうしかないと思っています.
頑張りたいけど一歩が踏み出せない,そんな方に勇気を与えるお話だと思いました.
また長野県にいらして下さい.
今後の益々のご活躍を祈念しております.

投稿: 信州 金井 | 2009年5月 9日 (土) 21時59分

金井先生 早速ありがとうございます。
気合いの篭った内容だったようでホッとしています。

私も最近はswine、swineで少し頭の切り替えが旨くいかず困っていたところです。

また、宜しくお願いします。(早速ブログリンク張りました)

投稿: 師範手前 | 2009年5月10日 (日) 00時11分

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