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2009年4月10日 (金)

分離不可ってなあ・・・

先日の掲載で三省さまに下のようなコメント頂きました。

『先日、腎盂腎炎の患者さんで、GNR-MとGPC-chainが見られて、腸球菌かどうかの確認のために、培養にコメントをつけて出しましたが、大腸菌の培地への発育が著しくて、グラム陽性菌は覆われて釣菌できなかった、といわれたことがありました。』http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-3cf6.html

確かに検査していて、このような事態は多々経験します。

下記の写真もそんな一例です。なんぎなのは、見えていて、発育あるのに分離出来ないことです。特殊な培地など使えばそうで無いのかもしれませんが、なんぎな菌の中で最たるものはこのプロテウス。こんな時は、グラム染色が役立ちますよね。

培地の見方ですが、赤色の方が血液寒天培地(とりあえず何でも発育する)、薄いピンクの方がマッコンキー寒天培地(胆汁酸配合のため陽性菌は発育しないように作ってます)。血液寒天の中央ですが、薄く膜をはったようになっているのが遊走という現象で、薄い膜の下に白くなって集落を形成しているのがグラム陽性球菌となります。まさに分離出来ない。

グラム染色所見では、腸内細菌と思うグラム陰性桿菌と腸球菌と思いきや、やや丸みの強い連鎖球菌。過去にB群溶連菌(GBS)の既往もあることからGBSが想定されます。

Gbs600 ×1000

Dsc01288 培地

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コメント

細菌検査見習い1年目です。
私もこのようなプロテウスの遊走で、分離培養、投げ出したくなることがあります。(すみません・・)遊走する前に分離するとか、ディスクを置くとか、慣れた先輩からは、色々と教えてもらいますが、このような時にはこうしましょう・・・というのがあったらいいのにと日々、細菌検査に対して思いながら、技術の習得に頑張っています。この、グラム染色道場でたくさんの知識を学ばせていただいています。

投稿: 一年目 | 2009年4月10日 (金) 19時01分

 大変参考になりました。「どうして分離できないの!グラム染色で見えてるのに!!」とねじ込む医者も居るかもしれません。(ねじ込まなくて良かった。)またいろいろとご教示ください。

投稿: 三省 | 2009年4月10日 (金) 20時45分

一年目さま
これからの細菌検査を背負って立つ身ですので色々と勉強して下さい。学校の教科書では無く、細菌学の培地の本や外国の教科書、バイブルなど読んで勉強下さい。私たちは先人が築いた礎の上に立っていますし、医学の礎を作る仕事もしています。毎日何気ない動作、作業は全て未来へと繋がりますし、患者の予後へと繋がります。

プロテウス相手であれば遊走しないような培地を選択することが必要です。尿ではCLED培地を使うとUTIを起こすような菌の分別は可能です。

三省さま
勝手にコメント使用してすいません。

投稿: 師範手前 | 2009年4月10日 (金) 21時13分

 いつも興味深く拝見しております。今回の症例でもコメントが適当ではないかもしれませんが、グラム陰性桿菌とS.aureus, GBS, Enterococcus sp.などの陽性球菌を集落の色で識別する、クロムアがーオリエンテーションという培地があります。検査部勤務時代に検討した論文が以下のサイトに掲載されています。プロテウス属菌の遊走の阻止されるので、便利かと思います。
http://jcm.asm.org/cgi/content/full/38/12/4586
 もう1点、これも少し話題がことなりますが、鏡検で見えるが培養できなケースとして遺伝子検査の依頼がありなかで、放線菌とくにActynomyces israeliiのDNAが検出・同定できることが多かったです。嫌気ポーターを使用しているものの、培養が難しいケースが多いようです。

投稿: Kiyo | 2009年4月13日 (月) 13時22分

Kiyoさま

グラム陰性菌がグラム陽性菌の発育を阻止する話もありますし、培養検査の限界は知っていただきたいこともありますよね。
Kiyoさまにいつも遺伝子検査をお願いしていますが、本当に助かることが多いです。ありがとうございます。
DNAの同定は今後伸びる検査の一つでしょう。先日のCIDにもこんな文献が出ていました。普通のラボで出来るようになる時代は近いのかもしれませんね。
http://www.journals.uchicago.edu/doi/pdf/10.1086/597578

投稿: 師範手前 | 2009年4月13日 (月) 18時13分

血寒でプロテウス属が遊走して困った時,遊走しない培地を考慮するのも手ですが,その培地が目的とする菌が発育しない場合など,血寒でカバーできればなぁ~なんて思う時があるのではないでしょうか。
 そのような時は,血寒のふたの方に軽くアルコールを湿らせた「ろ紙」を置いて培養してみてください。遊走が阻止されます。
 
 お試しあれ^^;

投稿: 先生 | 2009年4月13日 (月) 23時50分

先生さま コメントありがとうございます。アルコールを染み込ますのは消毒用エタノールで良いんでしょうか?アルコールの揮発性で気化したものは菌の発育には影響ないのでしょうか?原理的に炭化物の水酸基化合物であれば遊走は抑制されるような気がします。フェニルエタノールを使いますが、うちは

投稿: 師範手前 | 2009年4月15日 (水) 00時55分

アルコールは,「アル綿を」ろ紙に押しつける感じで全体を湿らせます。アルコールの量が多すぎると師範手前さまの言うとおり,菌の発育を抑制しますし,少なければ揮発してしまい遊走を防ぐことができません。
まさに「良いあんばい・・・」が,職人芸となるのでしょう^^;

いずれにせよ,こういった素朴な疑問を微生物検査に関わる臨床検査技師がディスカッションできる環境に感謝したいです。

投稿: 先生 | 2009年4月16日 (木) 23時47分

先生さま

良い塩梅とは職人芸の域ですね。是非学生にもその理論を教えて下さい。

>こういった素朴な疑問を微生物検査に関わる臨床検査技師がディスカッションできる環境に感謝したいです。

質問には詰まらないものもありますが、そうでないものも多いです。教科書や参考書にも載らないような、このような疑問難問を解決出来る場と思いブログもしています。
ただ、簡単な質問は難しい質問より自分自身のアウトカムが大きいと思っています。分からない人に分かるように説明するスキルアップ、分からない人の分からない点の解釈をする力を養うこと、自分自身の復習。この3点について確認出来るのはこういった、簡素は質問の時です。私はこうして育ってきたと感謝していますので、今度は還元する番と思っています。先生もそうですよね。

投稿: 師範手前 | 2009年4月17日 (金) 23時54分

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