2009年3月31日 (火)
2009年3月29日 (日)
2009年3月27日 (金)
2009年3月25日 (水)
でんぷん顆粒
検査室で汚い喀痰を見た時には、採取されている患者さんの状態を考えていますか?
現場で染色されている方は、患者さんの状態を目の当たりにして染色をするのでそういった問題は発生しませんが、検査室では材料のみ来るので中々気持ちが行き届かないことが多いかと思います。
先日、白く濁った吸引痰が検出されました。濁った中には、痰らしき膿性のものが・・・。
誤嚥かな?と思い、グラム染色をしたものが下記のものになります。
弱拡大では、好中球が沢山見え、周囲には粘液とも思えない蛋白様物質があります。
強拡大では、白血球より大きな顆粒ものが見えます。画像でははっきりと伝えきれませんが、中央が陥没していて、でんぷん顆粒(中央右)と思われるもの。
気づいた時に、食物誤嚥・・・、しかも食注でしょうか?コメントに『食注の誤嚥疑い、でんぷん様顆粒認める。』と加え報告しました。
あとで、カルテを見に行くと老人福祉施設にて肺炎になり入院。食注の誤嚥にて、CVへ切り替えしていた例です。
老人福祉施設入所中の誤嚥肺炎?起炎菌は何を探しましょう?続きは次回・・・。
2009年3月24日 (火)
グラム染色道場
第83回日本感染症学会総会のプログラムがアップデートされました。
http://www.congre.co.jp/kansensho2009/
感染症講座として、今回このような機会を作って頂いた後藤会長、事務局の方々には感謝しています。今から少し緊張していますが、当日何を話ししようかと回想中です。(4月24日(金)15:00~15:50 第3会場)http://www.congre.co.jp/kansensho2009/program/index.html#lec06
時間のある方、興味のある方、ご参加下さい。
写真は、喀痰を分厚く塗ったため失敗した例です。アーチファクトが多く見えます。
絶対こういう標本は作り直しも検討が必要です。
2009年3月23日 (月)
第3回GSSG研究会終わり
20日に第3回GSSG研究会が終了しました。参加された方お疲れ様でした。
午前中は実習、午後はCPCと盛り沢山の進行で、普段グラム染色をしていない方にとっては非常に大変だったと思います。
参加されていない方に少し紹介します。
午前の部は、自分の咽頭粘膜をグラム染色、基本的なグラム染色像の確認(肺炎球菌、インフルエンザ菌など6症例:患者サマリーを参考に像から起炎菌を推定する)および解説。
午後の部は即席ICT(多職種によるディスカッション)にしょるCPC。
CPCは、感染性心膜炎、化膿性脊椎炎、カテ感染など4症例。活発なディスカッションが出来たかな?と思います。
次回は来年の3月に予定です。また、宜しくお願いします。
写真は、午前の部の染色像の解説です。デジカメ繋いで実際の像を確認しています。
ウロトミーの感染?
広島県で少しお話した内容です。
珍しいグラム染色を観ました。尿培養ですが、てっきり、消化管の汚物混入か膣分泌物の混入?としてコメントつけて返しました。尿の採取には非常に厳重注意にするように(混入の菌かどうか判らなくなるので)と日ごろから言っているのに、と思いながら、48時間後に血液培養陽性に・・・。
なんとこのようなスメアになりました。陽性桿菌はコンタミとして扱えそうな分岐状の桿菌ですが、本当にコンタミとして扱えますか?
私はEubacterium spp.(←嫌気性グラム陽性桿菌)で固まっていますが・・・。
患者は、膀胱がんの術後にて、ウロトミー+オストミー。発熱をきたし入院し、入院時に尿と血液を採取。
2009年3月19日 (木)
先日のAOSCのひと
肺炎も起こしていたようです。胸部レントゲン上では胸水も溜まり、下肺野に肺炎像が明らかにあるようです。
血液培養と同時に出ていた、喀痰培養を見直しました。
消化液の誤嚥像として、報告しました。
何故か?一概にすべてがそうとは限りませんが、私の読みとして
①グラム陽性球菌に混じり、多量なグラム陽性桿菌(しかも乳酸桿菌様)
②食物残渣のような赤みを帯びた、痰ではあまり見ないような内容物
③混じってヘモジデリンかビリルビンか分かりにくい褐色の無機物質
以上から消化管誤嚥による肺炎を推測しました。主治医とディスカッションすると、採痰の状況からマッチングしていたようです。推察力を働かせるのは重要です。
2009年3月17日 (火)
2009年3月15日 (日)
先日こんなディスカッションが
昨日、『突然発熱のあった患者さんが居るのですが・・・』と研修医から相談。
そういう時は、こちらから聞くより、先生の考えをいつも聞くことにしています。悪い意味ではなく、思考回路を少し覗きたいからです。
研修医:『発熱があり、尿バルンも長期に挿入しているので、バルン感染と思うのですが。抗生剤はABPC/SBTで開始しようと思います。』
私:『ABPC/SBTを選択する理由は?』
研修医:『尿路感染を疑うし、先月尿からE. faecalisが出ていたので参考にして・・・。』
私:『とりあえず、1ヶ月前のことですし、今の状況と先生のお考えについての整合性を見るために直ぐにグラム染色しませんか?』
研修医:『じゃ、出します』
下記のスメアが見えました。
どういう返事しますか?抗菌薬の選択はどうしましょう?推定菌は何を考えます?
2009年3月13日 (金)
2009年3月12日 (木)
尿で良く見間違う菌・・・私だけ?
先日、胆管炎の患者で血液培養陽性になりました。スメアを見て、胆管炎なのでE. faeciumかな?と推定し、同定したら正解でした。
調度、広島に伺った時(7日)に腸球菌でE. faecalisとE. faecuimは見分けがつくと話をしたら、『えっ?』という答えが返ってきました。私は個人的に見分けがつくと思いますが、腸球菌とB群溶連菌はたまに見間違うことがあります。
E. faecalisとE. faeciumの違いって分かりますよね?ちなみにB群溶連菌も掲載しますので見分けがつくかどうか皆さん観察して下さい。基本的に腸球菌は連鎖が短いのが特徴ですので、普通の連鎖球菌との鑑別は容易です。
丸い---E. faecium
長細い---E. faecalis
でも、肝心なことは患者背景になりますよね。入院期間が長い場合はE. faeciumの分離率は高くなる傾向にありますし、臨床的に分別が必要かどうかは微妙ですが、ペニシリンが効く(E. faecalisのβ-ラクタマーゼ陰性のもの,E. faecimはペニシリン耐性)かどうかの予測は立てれると思いますがね。
2009年3月10日 (火)
2009年3月 9日 (月)
経験的治療より、まずグラム染色
私も参考書として愛用していますサンフォードガイド。次回号2009年はなんと黄緑です(http://www.sanfordguide.com/)。
日本語版2008年度版、p52に成人の急性単純性関節炎の項があります。考えられる処方には『すべての経験的治療にはグラム染色で左右される』との記載。欄外には結晶を探すとの記載も。
読めばなるほどと思いますが、果たしてどれくらいの施設でこれを準拠しているのでしょうか?たまに疑問視します。当院では、『起炎菌何か判れば早く教えて下さい』と連絡貰うことがシバシバ。
・菌が見えれば推定起炎菌を付けて電話報告。
・菌が見えなくても電話報告
・結晶を探し見つかれば報告
ここまでは当たり前ですが、加えて『好中球と単球が多く、核が明瞭なものが多く存在します。急性の炎症像と判断して問題無いと思います』と加えることも。
報告の際には以上のようなスタイルをしています。
いづれにしても迅速に結果を求めていることがわかります。この場合は単純性であり、黄色ぶどう球菌を始めとしてある程度起炎菌が既に絞れているからでは無いでしょうか?検証の意味でもグラム染色は大切と思う瞬間です。
さて、ではこのスメアはどう読みます?菌見えます?これそうかな?
提出医から連絡を受けた身で考えましょう。
2009年3月 6日 (金)
グラム染色道場の初級者コース
先日参加した日本環境感染学会で『グラム染色道場の段持ちではなく、入門希望者向けの内容も必要ではないか?』と知人の先輩からコメント頂きました。
確かに初心を少し忘れていた気がします。検体管理加算のこともあり、これから始める方(入門希望者)に対する配慮を少し忘れていました。たまに掲載したいと思います。
ところで、肺炎の代表的な起炎菌としてこれがあります。これは、見ての通り二双性のグラム陽性連鎖状球菌=肺炎球菌。はて、どう考えますか?これは殆ど合うことでしょう。しかし、これが長期入院患者から出るようなケースたまに見ませんか?そういった少し状況が変わった場合でも肺炎球菌と言える器量はありますか?ただ、市中に多い肺炎の起炎菌ですが、肺炎球菌と断定出来るプロセスを再度確認しましょう。患者背景もそうですが、診断の一助になるにはしっかりと主治医もしくはカルテ等に記載している情報が大切です。かならず読んだり、見たり、話したりしましょう。
治療薬は、健常成人に発生した場合はペニシリンでしょう。COPDなどの場合は状況が変わることも考えないといけません。ペニシリンは細胞壁合成阻害剤で、ペニシリン耐性はペニシリン結合蛋白(PBP)の変異による親和性低下です。耐性と言ってもβラクタマーゼとは少し様相が変わります。あとは各自勉強しましょう。
また、昨年からCLSIの感受性判定基準でも肺炎の場合はカテゴリーが変わっています。おそらく殆どが感受性菌と判定されるはずです。http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5750a2.htm
トレーニングとしてこれで肺炎球菌性肺炎と考える力を試して下さい。
2009年3月 4日 (水)
同一かどうかの判断
先日、子宮頸がん術後患者で、ソケイ部のリンパ隔世とケモラジをしていたところ、下肢の蜂窩織炎を起こしました。患部の菌検査をするわけにいきませんので血液培養を採取しました。
翌日陽性になり①の菌が出ました。白血球は500個しか無く、CTRXが前投与されていたのですが、AMKを追加することにしました。緑膿菌かどうかの判断が大切と思い、腸内細菌の疑いで返答しました。肺炎桿菌ではないのはわかりますよね。婦人科疾患に関してはBacteroidesの感染が多いのですが、この菌はやや辺縁が丸いのと染色性が良いことから大腸菌かな?と見ていました。翌日同定結果が出ましたが、ESBLで無い普通の大腸菌(β-ラクタマーゼ+)でありました。2週間のスケジュールで抗菌薬を投与し、上手く終了した。
1ヵ月後に再燃したようで、再度同一箇所が蜂窩織炎になりました。この手の疾患は再燃することが多いようで、以前のICTラウンドで検討し、主治医にも認識してもらう+患者にもそうムンテラをしていました。そのためそれほど混乱することは無く、同様の治療計画となりました。血液培養も採取されていて②の菌が見えました。
主治医からは『ラウンドで言っていたように再燃ですが、同じ菌でしょうか?』との相談。前回スメアと比較し、同一でしょうとディスカッション。翌日同一の菌と思われる結果になりました。
気になる症例がある場合は、少し長めにスメアを保存しておくと、ディスカッションの幅が増えることもあり、良い場合もあります。無駄?
2009年3月 2日 (月)
7日は広島にお伺いします
7日は広島県臨床検査技師会 感染制御部門研修会にお伺いします。http://www.hiroringi.or.jp/kensyukai/20090307kansenseigyo.pdf
広島は3年前に宮島へ行きました。久しぶりにお伺いします。昔からお世話になっている諸先輩が居るため今から緊張しております。当日へ向けテンション上げてまいりますので宜しくお願いします。
掲載していませんが翌週は山形県にお伺いします。重ねて宜しくお願いします。
写真はパスツールの自画像です。研究をしているところらしいです。
最近のコメント