フィブリンか?
喀痰のグラム染色を見る場合、よく見えるのがたんぱく質?と思われる赤色の集塊。
呼吸器病学の教科書を見ると、炎症とともにフィブリン塊が形成されて・・・と記載あります。本当にフィブリンかどうか?と悩んでいましたが、先日病理の先生と話をしました。
フィブリンというよりは、粘液成分の方が多いようです。異物混入により排出しようと粘液細胞が刺激され、多く分泌が起こり喀痰として排泄されるようです。黄色いのは殆ど白血球のようで、なるほど・・・・と思いました。
でもフィブリンも出てくるようです。粘膜障害があり、毛細血管周囲へ炎症が広がるような肺胞性肺炎の場合はフィブリンも混入するようです。特に肺炎球菌のような病原性の強い細菌では良く見られることなのでしょうかね。
なので、赤く見えているのは粘液かフィブリンか判断は難しいのですが、私は個人的に
・フィブリンは赤が鮮明なのはフィブリンで、大きな集塊を形成している
・薄いものは粘液で、小さな集塊が多く、線状になる
医学的には証明出来ていませんが、肺炎像との一致不一致はデータを取っています。感染症学会で話せるように頑張ります。
これは肺炎球菌性肺炎ですが、菌を見なくても何となく疑いを持って見れるようになりました。良く見りゃ肺炎球菌見えますね。肺炎球菌と確信させるにはいい情報と思っています。
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コメント
昨年より喀痰洗浄をしています。検鏡のしかたも×100で白血球が500以上でフィブリンが存在して細菌が確認された場合がフレッシュでアクティブな感染像で報告しています。毎回そんな良質な喀痰に出会えることは少ないけどフィブリンがなかなか最初はわからなくて白血球がまとわりついてるのをみつけるとわくわくしてしまいます、確かに肺炎球菌の感染像のフィブリンはすごいかも。
誤讌はどうでしょうか?
投稿: 小町 | 2009年2月18日 (水) 22時22分
小町さま
誤嚥に関してですが、基本的に肺炎球菌のような大葉性肺炎のような像は認めません。
どちらかとういと膿瘍のような像に見えませんか?肺膿瘍なんかその典型ですが。
過去ログはここです
http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_d5f0.html
投稿: 師範手前 | 2009年2月22日 (日) 19時26分