先日の膿胸 続いて見るグラム染色
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コメント
膿胸はあまりみる機会がなく経験はありませんが・・
強拡大のスメアでは新鮮好中球が存在し、GPC chainの貪食が認められています。細菌の貪食がまだ認められており、好中球がまだ浸潤してきている様子を見ると、局所(胸腔内)での炎症はまだアクティブに存在すると思います。ただし弱拡大では明らかに菌量減少してきており(特にGNR)、抗菌薬はeffectiveと判断していいと思います。いくら抗菌薬を使ったからといって局所(胸腔内)全体に抗菌薬が浸透して抗菌作用を発揮するにはやはり時間がかかるということだと思います。
胸腔内から完全に細菌を排除するにはもう少し時間がかかると判断して、患者の状態が許せば治療続行でいいと思いますがいかがでしょうか。
投稿: highgear | 2009年2月28日 (土) 14時07分
highgearさま
的確なコメントありがとうございます。只今学会が終わり帰途に着いてます。
出題の意図は…
確かに炎症像がまだ残ってるのとグラム陽性連鎖状球菌が見えます。感染のコントロールは上手くいってますが残った菌が居ます。
こんな像を見たときは
①炎症部位での免疫応答が継続的に起こっている
②白血球内に限局して見える菌のため局所に抗菌薬は十分移行してるが、白血球内まで到達出来る濃度は確保されてない。(白血球の中以外はキレイに菌が消えている)
と考えてます。
これが莢膜を持つ菌なら白血球内の殺菌作用は劣る可能性もあり、細胞内外のどこに菌があるのか注意深く見ていくと面白いと思ってます。
どう思います?
投稿: 師範手前 | 2009年2月28日 (土) 17時40分
なるほど、白血球内だけに限局して菌が残っていることに着目すべきだったのですね。そういう場合には抗菌薬の細胞内への移行性が十分でないと考えられると。
今回のケースでは口腔内のレンサ球菌であれば細胞内への移行性の良いマクロライドなんかを使えば、今頃は白血球内のGPCももしかしたらきれいさっぱり消えていたかもしれないですね。
マクロライドとペニシリン系とでスメアを比較できたらおもしろいですね。
投稿: highgear | 2009年3月 2日 (月) 07時30分
膿胸に関して質問させてください。
術後胸腔内ドレーンが留置されて2週間で、膿胸疑い(というかすでに治療始まっていますが)の患者さんをみていますが、ドレーン排液と胸壁穿刺検体を日を変えて1回ずつ微生物検査に提出して2回ともスメア陰性(自分でも2回みていますがスメア陰性と思いました・・)でしたが、培養では黄色ブドウ球菌が2回とも検出されました。
スメアでは新鮮好中球見えており何らかの炎症を疑いましたが、ドレーン留置による刺激で好中球浸潤があったのかと思っていました。遠心分離してもスメア陰性でしたが、培養が2回とも陽性であるため黄色ブドウ球菌による膿胸としてバンコマイシン静注とハベカシンの胸腔内洗浄を始めています。
スメア陰性という結果は、グラム染色の限界と考えるべきなのでしょうか?1回目の検体から黄色ブドウ球菌が生えたときはコンタミと考えましたが、2回検出されたとなってはやはり起炎菌と考えるだとおもっています。
投稿: highgear | 2009年3月11日 (水) 15時36分
スメア陰性という結果は、グラム染色の限界と考えるべきなのでしょうか?1回目の検体から黄色ブドウ球菌が生えたときはコンタミと考えましたが、2回検出されたとなってはやはり起炎菌と考えるだとおもっています。
確かにそう考えることが出来ますよね。
グラム染色の感度は10の5乗個と言われてます。抗菌薬投与後ですが、数の減少が見られていくことを染色で確認すると効果判定が出来る場合もあります。膿胸などは経過を追いやすい疾患と思っています。
ドレーンから採取した検体のコンタミかどうか判断するのは難しいことで、私は必ず奥からも同様の菌が出てきているかどうかの検討をします。採取を厳密にどうしているのかはっきりとは確認していませんが。
やはりこういった場合は培養成績と組み合わせて判断が必要な場合もあります。ただし、多核好中球の形状や数などをグラム染色で追っていくと治癒経過も判断出来る場合も多いですのでそちらで私は判断することが多いです。特にVCM使用中などは緑膿菌のリスクも考えないといけない場合も出てきますので。
投稿: 師範手前 | 2009年3月12日 (木) 22時00分