足の壊疽
たまに相談があるのが、DMやHD患者で足が壊疽した例です。
踵が黒く壊死している部分も見かけます。抗菌薬の選択困りますか?
何菌か分かるか?という相談もありますが、中々難しいです。どれ見て良いか分りませんよね。
Clinical Infectious Diseases 2004; 39:885–910を参考にすれば(グラム染色って2か所に記載あります)
グラム染色確認時に見る点は
①何菌種見えるか?
②緑膿菌はどうなのか?
③溶連菌は見える?
④嫌気性菌は確認出来るか?
⑤黄色ブドウ球菌は見えるか?
①は最低限報告したい点です。菌種の鑑別は良く分かっても②と③、④。⑤は属レベルまでしか分りませんよね。皮膚には黄色ブドウ球菌以外のブドウ球菌は沢山いますし培養してみないと判りません。
| 固定リンク
« 血液培養のチャコール | トップページ | 臍 »
「グラム陽性菌」カテゴリの記事
- E, faecalisとE. faeciumを分ける理由(2018.09.13)
- これは重症肺炎か? その1(2017.05.19)
- Corynebacteriumの同定と感受性はどうしているのか?(2016.03.06)
- 球菌に見えない連鎖球菌(2015.06.24)
- 今だから多い小児の細菌性髄膜炎でののGBS(S. agalactiae)について(2015.05.26)
「グラム陰性菌」カテゴリの記事
- Acinetobacter baumaniiとStenotrophomonas maltophilia(2018.06.08)
- グラム染色所見を用いたグラム陰性桿菌の菌種推定(2017.10.18)
- カルバペネム耐性腸内細菌は五類感染症になるぜよ(2014.09.12)
- CarbaNPテストをしてみました(2014.08.22)
- Campylobacter見つけ隊(2014.08.05)
「背景など病態把握」カテゴリの記事
- 喀痰のRejection Criteriaについて(2017.12.26)
- そうです、ただ見るだけでは無いんです(2017.04.18)
- 喀痰グラム染色を斬る その2 肺膿瘍とグラム染色像(2017.03.01)
- 喀痰グラム染色を斬る その1(2017.01.25)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
師範手前さま
>何菌か分かるか?という相談もありますが、中々難しいです。どれ見て良いか分りませんよね。
皮膚には黄色ブドウ球菌以外のブドウ球菌は沢山いますし培養してみないと判りませ・・・
Grade4、DMは慢性潰瘍性病変なので真の起炎菌かコロナイズなのか、やはり組織の深いところからの検体が必要になるでしょう。
起炎菌は黄色ブドウ球菌などのグラム陽性球菌が特に重要と思います。
投稿: 倉敷太郎 | 2009年2月13日 (金) 20時35分
倉敷太郎様
問題はサンプリングですよね。しっかりとデブリ、洗浄出来た上で、感染部位をしっかりと採取出来ているのかの確認が必要でしょうね。表層近くは常在菌を培養しているようなものですのでね。
投稿: 師範手前 | 2009年2月14日 (土) 18時51分
アンブタする直前の壊疽を2回経験。処置に立ち会いかなり深部をとりスライドガラスに即座に塗末したらみごとにレンサ球菌みえました。しかしDM患者が増加して多いですね!
投稿: 小町 | 2009年2月18日 (水) 22時44分
小町さま
続けて返信します。
溶連菌の感染は確かに増えてきたかと思います。どういう理由か分かりませんが、キノロンの使いすぎも要因なのでは?という意見もあります。ただ、昔から多くあったのですが皆さんの意識が多くの報告や経験を生んでいるのかもしれません。
患者背景は皮膚疾患に多いのですが、糖尿病、心疾患、アルコール依存症などが要因となっての感染が多いようです。
Clinical Infectious Diseases 1998;27:150–7をご覧下さい。
投稿: 師範手前 | 2009年2月22日 (日) 19時30分
最近ではマゴット(医療用無菌ウジ)セラピーとはいう糖尿病壊疽をはじめとする難治性創傷にハエの幼虫(ウジ)を使う新たな治療法があるようですね。
投稿: 最近ではマゴット(医療用無菌ウジ)セラピー | 2009年3月 6日 (金) 10時16分
マゴットさま(勝手に略しました)
コメントありがとうございます。マゴット法は以前、蠅蛆症の感染対策について調べていたときに少し学ぶ事がありました。ヒトに無害な蛆に死んだ角質をエサとして食べさせて早く治すと言う方法ですよね。生きた角質は食べないようで良く出来てますね。感染対策上の注意点は海外紙にガイドラインたるものが掲載されてました。そこには、換気の良い個室による治療で原則飲食物は持ち込み厳禁。医療従事者の出入りは短時間で成虫になった蠅を他室に飛んでいかないように管理することなど記載ありました。蠅蛆症はヒトの褥創や熟した水虫など角質が弱くなった箇所に蠅が産卵し蛆が沸く病気で、治療はデブリするのが原則だそうです。診断は蛆を採取し孵化させて成虫の種類を分別するらしいです。たまに外来に来るようですが詳細は知りません。マゴット法は早く治るようですね。
投稿: 師範手前 | 2009年3月 6日 (金) 12時51分