MRSAの肺炎はどうやって起きるのでしょうか?
肺炎に関する色んな文献を見ていますが、黄色ぶどう球菌肺炎については『血行性に病巣とつくり、気管支周囲に結節状の陰影を示す』と書いているものを目にします。
理論、フムフムと考えますが、本当にそうだろうか?と思うこともあります。
誤嚥性肺炎に合併するものもたまに見ます。院内肺炎の起炎菌でもあり、普通に考えるのであれば良くありそうですがね。誤嚥をしてそのまま肺炎・肺膿瘍になることも当然ありそうですが、しっかりと根拠が取れていません。誰かしっていますか?
培養検査をしていると、喀痰からMRSAなんかは毎日のように出てきますが、肺炎(疑いも)を起こしていそうなのは月に1人あれば多い方でしょう。菌は検出しますが、起炎菌で無くコロナイズとしての報告。びっくりするのは看護師さんです。(個室?予防策は?などシビアです)。良く聞くのは、起炎菌でしょうか?とという疑問難問が主治医から。誤嚥性肺炎も疑うような場合は貪食像が生命線になることも多いです。
さらに、貪食像=起炎菌として良いものでしょうか?生体反応からすれば病原菌にあたるのでしょう。
下記の場合は、起炎菌と判定してVCM投与にて軽快した例です。誤嚥性肺炎でもVCMで治療出来るでしょうが、セフェムによる肺炎治療をしていて改善無く、VCM投与後に改善すれば起炎菌に当たることも多いです。結局レトロに考えてしまうこともありますが、スメアにて貪食あれば起炎菌として考えても良いのでしょうね。
下記のスメアの返し方は、炎症反応も強く、扁平上皮が混じり誤嚥の可能性を示します。また、抗菌薬投与中ですが症状の改善無いとのこと。強拡大にて、ブドウ球菌の貪食もあることからMRSAの肺炎を疑います。VCMはどうでしょうか?検討下さい。(実際にカルテに記載します)
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コメント
MSSAによる肺炎というのはほとんどありませんから、MRSAによる肺炎が本当にあるのか疑わしいと思っています。そこで喀痰からMRSAが検出された例の剖検肺を何十例か調べたことがあります。大葉性肺炎は見られませんでしたが、炎症が強い例で見られたのは顕微鏡レベルの微小肺膿瘍の多発です。恐らく微小誤嚥を繰り返しているうちにこのような像になってしまうのだな、と一人納得しています。一応学会発表しましたが、全然反響ありませんでした(笑)
投稿: 天理太郎 | 2009年2月 3日 (火) 17時40分
天理太郎さま コメントありがとうございます。
微小膿瘍なので、微小誤嚥の繰り返しと考えるのですね。良く分りました。でも、微小な血流感染が肺内で起こっていることで、あちこちに微小膿瘍を形成しなかったのでしょうか?
誤嚥もありなのですね。良く分りました。
投稿: 師範手前 | 2009年2月 3日 (火) 19時22分
血流によってブドウ球菌の散布性膿瘍が生じるときは、なぜか微小ではとどまらず、胸部写真でも明らかな粒状影が多発してみられることが多いようです。疑う例ではCTをとるべきです。ただ、診断されずに自然治癒する例がかなり多いと思っています。
投稿: 天理太郎 | 2009年2月 5日 (木) 18時22分
天理太郎さま 検査していても理解出来ない大切なコメントありがとうございます。今後とも宜しくお願いします。
投稿: 師範手前 | 2009年2月 5日 (木) 18時34分