冬の時期には、心疾患や呼吸不全を伴った重症患者の相談を受ける機会が増えます。重症の場合は、入院時には意識清明ですが、急速に悪化し、数時間後には挿管なんてことも多くなります。人工呼吸器装着してから気になるのがVAPです。挿管時にはカフでトラップされていても、抜管時に痰が落ち込み、無気肺に合併した肺炎も起こることがあります。
ただ、検査室で仕事をしている範囲では、人工呼吸器を挿管しているかどうかの判断は難しく、単に吸引痰とだけの情報になります。実際にICTラウンドなどで確かめる以外ありませんが、積極的に患者背景を知ることが重要なキーポイントになります。患者がどういう状態なのか?治療方針はどうするのか?など、臨床のニーズに合った省力化した報告が求められる瞬間です。
でも、どういった菌を標的に?と申される方もいらっしゃいますが、習慣的に見ている菌を標的にすることが一番です。習慣的?といっても、緑膿菌やMRSAが代表的です。また、アシネトバクターやマルトフィリアも考えないといけないこともあります。今はESBLも検出される頻度も増加してきましたし、耐性菌を含め、グラム陰性桿菌の同定を急ぐ機会も増えます。
いつも参考にしている文献です
・JAMA,Nov19,2003,p2588-
・Chest 2006;129;1210-1218
・Am J Respir Crit Care Med Vol 171. pp 388–416, 2005
これは、先日AMIで入院後に挿管した患者です。1週間経ち、発熱や炎症マーカー増加になりました。レントゲンを見ると肺炎を疑う所見。抗菌薬の相談がありましたが、培養採っていません。直ぐに採取して、グラム染色。
口腔内の常在菌に混じり、非発酵菌と思われる菌の増多を認めます。
グラム染色の結果に加え、抗菌薬の選択肢として、CFPM、CAZ+CLDM、IPM/CS、CPFX+CLDMを上げそれぞれの効果や副作用、抗菌活性、スペクトル、該当病棟での検出率と感受性率を含めて説明しました。もうグラム染色は立派な武器です。
結局、CFPMで開始することになりました。不安ですが、効果を翌日の採痰で確認することにしました。
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