良くあるのでしょうか?
先日から、尿サンプルのオンパレードですが、本日はこんな症例です。
大腿骨頭骨折のある患者が、置換術をしました。術後の経過が良く10日目に突入した時です。転院の方向で、近医で入院予定を組んでいましたが、突然の発熱。
主治医より、『どうやら尿路感染による敗血症のようで・・・、血圧も下がってきた。抗菌薬をどうしよう?腎機能が悪いんだよな~!』。
ICTラウンド時もそうですが、日頃より、尿一般検査の所見を出さずに尿路感染を疑う例だとか問題にし、検討してきたせいか、きっちり一般検査も出し、血液培養も初期に提出していました。教育って大切だな?と思ったのですが、してきたことが正しいと思う瞬間でした。そんな余韻に浸る暇もなく、グラム染色を見たらこの像です。
患者は抗菌薬はフリーでしたが、尿バルンは術後から留置中で、5日目に抜去。その後はオムツ管理。食事は10/10ですが、尿量は500-1000ml/日。血清クレアチニンは1.5mg/dlの付近をうろうろしています。
皆さんなら抗菌薬をそう薦めますか?投与日数と予測される経過、看護上の注意点などありますか?
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コメント
今日は一気にたくさんコメントさせてもらっています。
低倍率で細胞数がすくなく本当に尿路感染で発熱、血圧低下しているのか、そこからまず疑わせてください。
たしかにグラム染色では細菌が見えますが、新鮮好中球もないですし、貪食像もありません。コンタミの可能性も大いにあると思います。
おそらく大腿骨頭置換術を受けて、尿量1000ML、Cr1.5と言うところから患者さんは82歳ぐらいの女性というところでしょう。おばあちゃんにちゃんと検体をきれいに採取してくださいと言っても、術後ベッド上安静でオムツをしている状況では到底無理な話で、医療者側が気をつけて採取し無ければいけないと思います。オムツでむれているところから、しかも女性(もう決めつけていますが・・・)だとすればとてもきれいには採れません。ICTとしてはこういうケースで敗血症まで疑っているのであれば必ず清潔に導尿して検体提出をするように現場で伝えるべきダと思います。
で、治療に関してですが、バイタルなど情報がないためどれだけ緊急な状態かは分かりませんし、染色所見からは積極的に尿路感染は考えにくいので、発熱、血圧低下の原因を他に検索しながら、とりあえずvolume負荷と尿量増加のための外液負荷と、排尿困難で1日尿量少ないことも考えて数回の間欠的導尿をしてみたいと思います。抗菌薬を初期に使うにしろ使わないにしろフォローの染色は必要だと思います。
投稿: highgear | 2008年12月26日 (金) 07時34分
この質問ですが、バルン挿入者のUTI sepsisを疑う例です。他疾患の鑑別は出来ています。確かにバルン挿入中の場合は、菌が出てきますので、コンタミかの判断は難しいでしょうが、他に感染源となるフォーカスが無い事で尿路感染の診断に近づく場合があろうかと思います。この場合ですが、バルン抜去後に起こっていますので、尿路感染と同定出来るのではないでしょうか?甘いでしょうか?
特にオムツ管理ですので、意識レベルが正常で無い可能性も高く、CVA叩打痛なども聞き取りにくいのではないでしょうか?
ICTでラウンドしているときですが、食事の状況や尿の管理など良く観察するようにしています。特に整形外科領域では、内科的な観察が足りない状況も多くあるかと思いますので、担当看護師を含め経過観察に必要な情報は流します。オムツの場合の残尿測定はしにくく、尿量の減少も見過ごされることがあるからです。
敗血症性ショックを来たした場合は、腎盂腎炎になっている可能性が高く、抗菌薬の投与日数をしっかり守らないと、単に尿路感染と簡単に見積もった場合には再燃しかねませんので、この1枚のスライドからこのような推測をしてあげるのが良いのかもしれません。ただし、臨床背景を知ることは上手な介入の方法であることは言うまでもありませんが。
投稿: 師範手前 | 2008年12月26日 (金) 20時16分
追加です。当院では、女性の場合の尿路感染の判定をしやすくするため、カテ尿での採尿を推奨し教育として用いています。特に救急領域では必須といって良いほど採取していますが、看護師には不評です。
投稿: 師範手前 | 2008年12月26日 (金) 20時31分