膿胸③ 治療経過をすべて集めた観察
先日から掲載している膿胸の状況を一枚のスライドにまとめてみました。
参考↓
http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-4358.html
http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-6282.html
経過が芳しくないのですが、グラム染色では明らかな改善が認められます。
培養も発育する菌量も少なくなっていき、途中で培養陰性が続きます。でも、グラム染色では菌が見え、抗菌薬中止のタイミングを考える上で有意義な情報を伝えれると思います。
こういった患者の方法を伝えるには、ただ単に、グラム○○菌(1+)などという情報だけでは、臨床に情報が伝わりにくいです。ICTのラウンド時でも、菌は減っているなどという客観的な情報の伝聞のみになり流されてしまうこともあります。
グラム染色の威力を見せるのは、やはり視覚です。
経過を段階的に見せるには、このような方法も一つでしょう。ここまですると、ウザいでしょうか?
うちでは、喜ばれました。
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コメント
先日、こんな出来事がありました。
親族が肺炎で入院しました。血圧も低く収縮期90台、CRP18で白血球18000、発作性心房細動となっており、右肺野全体のスリガラス状陰影。動脈血酸素飽和度は血圧低めのためか末梢が締まっているためか、測定不能。幸い、意識は清明ですが、肺炎による敗血症性プレショックと判断して救急病院へ救急搬送しました。基礎疾患には肺気腫あり。
搬送先の病院で、救急室でゴホンと咳をしてもらうと、膿性痰が大量に出たので、ガーゼに採って救急担当医の先生に「先生、これ、培養に出しますか?」とたずねると、「つぎ出たときに提出しますね。」と。「メロペンを行こう。」と看護師さんに指示をしているので、いかん、これは抗生剤をはじめてから培養を提出するんだ、と思って、ビニールに包んで持ってかえって、グラム染色と培養をしました。
グラム染色ではグラム陽性連鎖球菌が多数おり、貪食著明。グラム陰性桿菌も認め、こちらも貪食あり。A群β溶連菌の迅速検査では陰性。培養結果待ちで、予測では何の型かわからないけれど連鎖球菌と肺炎桿菌の混合感染と判断しました。
次の日にスメアを封入して救急病院に持っていって、結果をつけて担当の先生に渡しました。参考になるかな、と思って。そしてその日も、もう一度痰を持って帰って調べて、菌量が少し減っているのを確認して、ホッと一息ついていました。またスメアを封入してコメントをつけて持って行きました。
4日目。培養結果を早く知りたいと思って、検査センターに問い合わせてみると、「大腸菌」と?!連鎖球菌は何にも報告無し。まだ培養の途中なので確認できないのかな、と思いながら、待っていました。なんで大腸菌の肺炎なのか、理解に苦しみますが、結果なのだから仕方がない。誤嚥もしない人だけれど。
結局、救急病院での検査結果では、常在菌のα-streptococcus、という結果で、担当の先生は「常在菌しか出ませんでした。」とのコメント。あれれ、僕のスメアは見てくれたかな?その常在菌が起炎菌なんだけれど・・・ 当院での結果は最終的にやはり「大腸菌」でした。あれれ?グラム陽性連鎖球菌は??? 検査センターに、「ひょっとして、常在菌として釣菌段階ではじかれました?」と確認の電話を入れると、答えはYesでした。反省点として、コメント欄に、「これは起炎菌なので、必ず培養をお願いします」とつければよかった・・・
最後まで10日間メロペンで押して、良くなって帰ってきました。
良くなって助かったので良かったのですが、メロペンでよかったのか、皆さんなら何を使用しますか?僕のグラム染色は、参考になればと思ってしていましたが、鬱陶しいだけに思われたかもしれません・・・救急室で研修医が動脈血採取をしていたので、この研修医も治療にかかわるならば、勉強になるかな、と思ってスメアをつけて持って行っていましたが。
投稿: 三省 | 2008年12月19日 (金) 04時05分
三省さま
同情しますが、別に外注業者が悪い訳でなく、その病院が悪い訳ではないかと思います。良い医療がどの基準なのかどうか温度差があるだけだと思います。最終的に何事も無く治療出来たのであれば問題ないと思いますが、自分が思い描くスマートな診療とは少し違うだけですので。
うちの子供が以前マイコ肺炎で入院しました。知人の小児科の先生にお世話になりまして、一応喀痰検査を出すことにしました。結果①CNS②αレンサ球菌③CNSという結果でした。契約上3菌種まで報告ということですので、まざまざと常在菌に感受性検査料を払うことになりました。非常に悔しい思いをしましたが、結果、マイコ抗体が陽性となり治りましたが。良いのか悪いのか分かりません。
確かに、この検査結果に関しては納得いかないこともあると思いますが、そういった思いを自身の医院でさせないようにすることが大切だと思いますし、そういった自分に合った検査結果を出してくれる検査室や検査会社へオーダーメイド化するのも一つの手でもあります。ただし、我儘とオーダーメイドは少し違います。
先生の考え方はいつかどこかで受け入れて貰えるはずです。頑張って下さい。
投稿: 師範手前 | 2008年12月19日 (金) 20時41分
ありがとうございます。外注委託先業者さんとは、出来るだけ良好な関係を作ろうと思っています。なにせ、県外で顔の見えない相手ですので、電話のやり取りで不快な想いをお互いに持ってもいいことはありませんので、コメント欄にはいろいろと情報を書き添えて、検査のお願いをするようにしています。
入院先の先生にも、またいつお世話になるかわかりませんし、嫌な家族と思われたくないですから、よくなったことはとても嬉しかったので「ありがとうございます。お世話になります。」の連発でした。
しかし、連鎖球菌に関しても、親族の検査というのは悪いほうに悪いほうに考えてしまって、客観性を失ってしまって、ろくなことはありませんでした。「溶連菌にしては小さく見える。S.milleriグループで、膿瘍を形成しているのではないか?」とか、「GNRが大腸菌なら、まさかまさか、グラム陽性連鎖球菌は腸球菌?!やばいんでないの?」とか。
今回の書きこみ、すっかり最初の師範手前様の内容から外れてしまってすみません。師範手前様のようなコメントを頂くと、医師としては大変心強い限りです。
投稿: 三省 | 2008年12月19日 (金) 23時54分