2008年12月31日 (水)
2008年12月30日 (火)
閉塞性胆管炎 2つかよ!?
閉塞性胆管炎で、どうしても閉塞が改善しないような症例も出くわします。直ぐに詰まってどうしよう?と思ったことないでしょうか?
詰まると熱が出て、血液培養を採取します。半日程度経つと血液培養が陽性になりスメアを見ます。
殆どが単一菌ですが、稀に複数菌出てきます。閉塞性胆管炎の場合、複数菌検出されれば予後が悪いと当検査室では過去のデータで証明されています。
こういった、検査室で取れるエビデンスを用い、グラム染色結果を返すのは有効なことではないでしょうか?でも、本質は、染色結果をどれだけ正確に報告するかにもよります。
このスメアはどうでしょう?閉塞性胆管炎で血液培養陽性でした。2セットの4本とも陽性です。抗菌薬はフリーです。主治医はCPZ/SBT投与しましたが、どうアドバイスしましょう?
ペニシリンでしょうか?菌の形態から究極の答えを探してみませんか?
2008年12月28日 (日)
影が二つ
結核指定医療機関に居ると、結核に関する知識が他の病院より多く習得出来るのがメリットです。
肺炎の原因菌は2つ出るの?という疑問にいつも立たされることも多いですが、市中肺炎も合併する肺結核ってあるんだな?と思うことがありました。
喀痰が出て、肺レントゲンで2箇所に陰影があります。右上は空洞を伴うので結核で良いですが、左の下は大葉性のようですが・・・。喀痰を見ますが、この痰の由来はどうなんでしょうか?ひとつのフォーカスではないので、何とも言えません。
抗酸菌染色で右上を標的、左下はグラム染色で・・・というのが使い分けになるのでしょう。
見えたスメアはこんなのでした。肺炎球菌の肺炎合併ですね?
同時見た抗酸菌染色も陽性です。PCRも入れときます(後に結核と判明)。
常識を覆す症例になるのでしょうか?よく考えれば、あるのでしょうね。
2008年12月26日 (金)
年末最終日
本日で仕事納めの方は多いかと思います。ご苦労様です。
臨床検査室では、緊急検査以外は全て時間外対応になってしまいます。外部委託業者もそうでしょう。特に、生理機能検査は休み中全くないので、担当の方は当直が当たっていない限り全て休みとなります。
細菌検査はそうではありません。細菌は放っておくと死滅してしまいますし、毎日どんな緊急検査も来るか分かりません。グラム染色でカバー出来れば良いですが、血液培養も陽性になりますし、細菌どころか患者の生命維持にも問題が生じます。休むことが出来ない検査であるのですが、他の部署から理解されにくい領域でもあります。
愚痴はこれくらいですが、休日もそうですが、夜間に菌検査が急に出来ない場合、グラム染色をしますが、グラム染色までもいかない場合で、抗菌薬を入れることはたまにあると思います。年末年始ですが、抗菌薬を入れてしまっている・・・などと聞く機会が多くなる気配です。
抗菌薬は患者を治す目的で投与するのが当たり前ですが、やはり事前に検体採取をして、ターゲットを絞り、予後も予想することは本当に大切です。
このグラム染色は、他院から搬送されてきた患者の喀痰です。30分前にABPC/SBT3g1回投与されていますと、主治医からありがたいコメントです。スメア見たらこんなんです。
残念な結果に終わらせないためにも、最大限のコメント返しましょう。
2008年12月25日 (木)
ハリセンボン
今年のM-1も決まり、あと1週間になりました。色々ありましたが、来年は一層飛躍の年にしたいと思いつつ、このブログは何時まで続けれるのだろう?ネタ切れかも?と思うことも多いです。本当に最終回はいつになるのでしょう?
今年は、日本感染症学会でコーナーも頂いていますし、新鮮なネタで望みたいと思います。まだまだ、続きます。
ところで、たまに相談あるのがアーチファクトです。
これはクリスタルバイオレットの結晶に当たるのでしょうか?このように針状に見えるし、菌よりかなり青が薄い色になっています。この周辺は染色が上手くいっていない可能性もあります。気をつけましょう。
一目で違いが分かるのが、1ヶ月程度グラム染色の修行をしてでしょうか?追いついていない方は精進して下さい。
2008年12月24日 (水)
ノロウイルスに対する考え
少しグラム染色から離れましょう。
この時期に問題となるのが、ノロウイルスとインフルエンザウイルスでしょう。両方ともマスコミが煽るからなお更です。
ノロウイルスですが、本当に大変ですね。臨床検査をしていると良く伝わって来ませんが、処置をしていると平気で嘔吐物を浴びます。当院でも、このシーズンは気をつけるようにと言っていますが、外来などで浴びて、晩~翌日にバタンと倒れる医療従事者は後を絶ちません。ノロウイルスは本当に怖いウイルスです。
先日、入院して直ぐの患者が吐き気と下痢を訴えて『緑のう○こが出た!!』と騒いでいるのを通りがかりに耳にして、気になったので見に行きました。偽膜性腸炎の場合も緑のう○こが出ることがありますが、もう少しダークな緑です。
今回は『あれ?』と思い、ウイルスの検査をしました。そうです。ノロウイルスでした。
医療従事者は『わっ、ノロや』ということで、きっちりと今後の対応をしてくれることとなりましたが、『この時期というより、標準予防策が大切やで』と言いました。
嘔吐物の処理には十分注意が必要ですが、サージカルマスクでは物足りないのでしょうか?でもN95は行き過ぎ・・・。サージカルの場合でも、その後気分が悪くなる職員も居ますし、N95で対応にしました。
丁度頼まれていたノロの写真も撮りましたので、掲載します。下段は今年からリニューアルしたノロのイムノクロマト法です。少し感度が上がりました。PCRやNASBAも良いですが、何回も来るので一旦はこの方法で良いでしょう。
2008年12月22日 (月)
良くあるのでしょうか?
先日から、尿サンプルのオンパレードですが、本日はこんな症例です。
大腿骨頭骨折のある患者が、置換術をしました。術後の経過が良く10日目に突入した時です。転院の方向で、近医で入院予定を組んでいましたが、突然の発熱。
主治医より、『どうやら尿路感染による敗血症のようで・・・、血圧も下がってきた。抗菌薬をどうしよう?腎機能が悪いんだよな~!』。
ICTラウンド時もそうですが、日頃より、尿一般検査の所見を出さずに尿路感染を疑う例だとか問題にし、検討してきたせいか、きっちり一般検査も出し、血液培養も初期に提出していました。教育って大切だな?と思ったのですが、してきたことが正しいと思う瞬間でした。そんな余韻に浸る暇もなく、グラム染色を見たらこの像です。
患者は抗菌薬はフリーでしたが、尿バルンは術後から留置中で、5日目に抜去。その後はオムツ管理。食事は10/10ですが、尿量は500-1000ml/日。血清クレアチニンは1.5mg/dlの付近をうろうろしています。
皆さんなら抗菌薬をそう薦めますか?投与日数と予測される経過、看護上の注意点などありますか?
2008年12月21日 (日)
2008年12月19日 (金)
2008年12月17日 (水)
2008年12月16日 (火)
2008年12月15日 (月)
インフルエンザ菌はここ
11月に掲載した『子供の耳漏:http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-7244.html』ですが、正解を掲載していませんでした。
こんな小さい菌も見つけるのが仕事です。でも、結核菌見つけるのより楽と思えば良いのではないでしょうか?
2008年12月13日 (土)
こういう場合は報告を急ぎますか?
毎日グラム染色を見ていると、どのタイミングで結果を急ぐのか判らなくなる瞬間ってあります。
こんな一面もそうではないでしょうか?
MRSA保菌者で、尿バルン長期挿入者の場合ですが、このようなスメアが見えどうしますか?
①まず、ブドウ球菌の貪食があり、MRSAの保菌者のためMRSAの可能性が高いことを知らせる。
②結果を急ぐのか、感受性をどうするのか聞く。
③VCMを使う場合が、初期投与量の設計とTDMのチェックポイントを伝える。
④感染管理上の問題点について整理する。
いろんな介入が必要となってくるのではないでしょうか?
たかが一枚、されど一枚・・・。考えすぎなのか困惑することもあります。
2008年12月12日 (金)
膿胸③ 治療経過をすべて集めた観察
先日から掲載している膿胸の状況を一枚のスライドにまとめてみました。
参考↓
http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-4358.html
http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-6282.html
経過が芳しくないのですが、グラム染色では明らかな改善が認められます。
培養も発育する菌量も少なくなっていき、途中で培養陰性が続きます。でも、グラム染色では菌が見え、抗菌薬中止のタイミングを考える上で有意義な情報を伝えれると思います。
こういった患者の方法を伝えるには、ただ単に、グラム○○菌(1+)などという情報だけでは、臨床に情報が伝わりにくいです。ICTのラウンド時でも、菌は減っているなどという客観的な情報の伝聞のみになり流されてしまうこともあります。
グラム染色の威力を見せるのは、やはり視覚です。
経過を段階的に見せるには、このような方法も一つでしょう。ここまですると、ウザいでしょうか?
うちでは、喜ばれました。
2008年12月10日 (水)
難しい・・・
先日、眼科材料が舞い込んできました。グラム染色をすると、このようなスメアが見えました。う~んと考え、患者の年齢を見ると3歳。インフルエンザ菌と肺炎球菌であろう・・・と思いコメントを付け報告しましたが、次の日に培養を見るとただのα-レンサ球菌のみ。
思った菌が生えなかったのは
①培養条件が悪い②抗菌薬のせい?③菌が死滅した④見間違い
など、考察しました。一応臨床医に患者の情報を聞くと、細菌性の結膜炎で眼脂が多く出ていたので採取したとのこと。
この年齢ならと思い、前述の菌を記入しましたが、培養は違いました。奥が深いと思った瞬間です。よく見返せばαレンサ球菌かな?と思います。
たまにこんな間違いはあります。考察するのは大切です。
治療としては、キノロンの点眼を使用するので問題ないかと思います。ポジティブに行くことはさほど問題にならないような症例は、日常的に多いです。
2008年12月 9日 (火)
中国のグラム染色事情
技術協力の中で、グラム染色をさせるのが一つのテーマでした。
写真は、中国で使用されているグラム染色とグラム染色をしている様子です。
病院によって医療事情が変わるのは、日本とて同じことですが。中国の場合は、市中肺炎の発生時は、喀痰や血液培養などを実施せず、まずは注射用キノロンの投与がガイドラインになっているようです。患者の医療費の軽減なども大きな要素のようです。
交流のある施設では、グラム染色と血液培養の大切さについて話をしてきたこともあり、序序に普及しつつあります。日本のようにペニシリンを使わない背景には、国産の抗菌薬は力価が低いこと、耐性菌が市中にも多いなどの事情もあるようです。
初期に治療計画を立てる上では、起炎菌の検索が条件になるのは同じという意識は持っているようですが、それが臨床の現場や検査室レベルに浸透しきっていないようです。
視察の最中に、グラム染色をしているところを見ました。手で染めているようです。顕微鏡はドイツ製のものを使用して、蛍光染色も見れるものでした。
グラム染色液は国産のようで、このような簡易なキット化されたものがあるようです。グラム染色を中国語で書くとこうなるようです。ちなみに、後染色はサフラニンでした。
面白いですね。菌も抗菌薬もすべて漢字です。
2008年12月 8日 (月)
KPC型β-ラクタマーゼの検出
カルバペネム耐性菌のうち、日本で問題となっているのはIMP型やVIM型といったメタロβ-ラクタマーゼです。世界的には、最近KPC株というAmbler分類でClassAに属するカルバペネムを分解するのβ-ラクタマーゼが新たな問題点として取り上げられています。本邦での報告は今のところありません。
今回、院内感染対策の協力で渡航し、KPCの検出について検討してみました。
JCMを中心に参考文献でボロン酸を用いた酵素阻害が検討されているようです。従来、AmpCの酵素阻害として、セフォキシチンやセフェピムなどと合わせて検査すると検出出来る試薬になりり、KPCにも反応する傾向があるようです。でもメタロやESBLには反応しませんので、MEPM(本当はertapenemが良い)によるホッジテストなどを組み合わせると、表現型での鑑別が可能だそうです。
早速、行ってみて試しましたが、見事陽性でした。肺炎桿菌に多く認められる耐性菌ですが、カルバペネム耐性になる条件として、メタロやCYMなどもあり、KPCとの鑑別は大切です。日本もいつ検出されるのでしょうか?備えは必要です。ETPとはエルタペネムです。
2008年12月 6日 (土)
腸腰筋膿瘍 意外と知られていない?
腸腰筋膿瘍は、意外に遭遇しない感染症でしょうか?
当院には4月から3例来ています。その都度ICTが介入しますが、初期治療は簡単ですが、経過の判定は難しいといつも思います。
こんな症例ありました。他院での手術歴が2回ある、30代の女性です。発熱を主訴として、救急に罹られました。腰痛もあり、CTを撮ると膿瘍?と思う像が確認されます。
たまたま、発熱が主訴のため内科で診察をされていましたが、『腸腰筋膿瘍で多いのは、何なん?』と一言。一問一答式でしょうか?即答で『黄色ぶどう球菌』と返事しました。『でも、入院歴多いのでMRSAじゃないですか?』と余分な追加発言。どう取られたのでしょうか?患者の背景を少し掘り下げて考えないといけませんが、80%以上はこれだそうです。Kuwait Medical Journal 2003, 35 (1): 44-47
今回はprimaryなので、そうしましたが、中々出会わない症例なのでしょうか?鍛えられます。
早速、punctureして、スメアを直ぐ作りました。狙い通りです。
これを、黄色ぶどうと球菌言い切るのは難しいでしょうか?
2008年12月 5日 (金)
2008年12月 2日 (火)
番外編
筆者は1日から、広州市へ2回目の技術協力のため渡航しています。でも、ブログの更新はします。
食は広州にありと申しますが、本当にご飯は美味しいです。
今回は、手洗いや予防策がどれくらい出来ているかの確認をしようと考えてます。CD腸炎の実態も分からないのですが、どういう結果になるか心配です。結果は後日報告します。
質疑応答を合わせた、ワークショップ形式で行う、症例カンファですが、肺炎の後にCD腸炎になったという想定です。CD腸炎が起きた場合は、治療もそうですが、看護対応も面倒くさいですよね。
消毒もさることながら、聴診器や血圧計なども個人専用にしています。
中々、全ての対応をチェック出来ない可能性もあるので、うちはチェックリストを作成して、起きた場合に担当の看護師さんにチェックしてもらうようにしています。皆さんの施設もどうですか?
2008年12月 1日 (月)
閃きと習慣
久々に検索数を確認しましたが、ここ1ヶ月は1日あたり1000件を超えています。これも、皆様の応援の賜物でしょうか?道場外で、色々とコメントを頂き、私自身も表現方法に工夫が足りないのが分かります。舌足らずでご迷惑おかけしていますが、今後も応援お願いします。
カンジダ血症は本当に怖い病気です。休日返上の出勤も多く、そんな時に思わぬ症例に出くわすことも多いです。
血液培養が陽性になり、スメアを見ました。直感と閃きでしょうか?
『Candida non-albicans』⇒この道場に入門されている方は、一目瞭然でしょう。
悩んだのは、Candida parapsilosisとCandida glabrata。C.parapsilosisでは無いな・・・という自身が湧いていました。やや楕円が歪な形だからです。
これは、C.glabrataと思い主治医へ報告。アゾール耐性菌とプチ情報を付け、MCFGの初期治療を開始して貰いました。C.parapsilosisの場合、MCFG低感受性株も存在するので少し動揺しましたが、翌日クロモアガーで、紫色の集落が発育し、快心の一撃をお見舞いした感で、感無量でした。当然ながら、眼内炎のフォローも必要です。
どうでしょうか?このスメアでどう感じますか?これが分かれば段持ちでしょう。
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