膿胸② 治療経過のコメント
先日掲載した、膿胸の症例です。http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-4358.html
膿胸は直ぐに治れば良いのですが、膿胸になる患者の経過は、患者自身の状況によっても変わってきますよね。
排膿、手術、抗菌薬などの経過を経て21日目に提出された検体のスメアです。
DMのコントロール不良もあり、治りが悪いのと、微熱が継続しているので、気になるようです。ICTラウンドでも検討されましたが、スメアはこんなんです。培養をすると、初回と同じ結果になりますが、スメアは裏切りません。
主治医の不安を一掃させるために、スメアを見てもらいました。『菌が減っている!』・・・安心したようです。現在の治療が奏功している様子をスメアで見てもらえればと思い取った行動です。付加価値の高いコメントは勇気付ける薬でもあります。
微生物検査室はこのような事実を検証している場所です。興味ある方は是非訪問下さい。
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コメント
久しぶりの投稿です。
このお話、素晴しい!の一言に尽きます。
こういう思想こそ混迷を極める現代の医療を正す、唯一の方法ではないかと思います。
私もよく肺炎球菌肺炎の治療翌日、朝に喀痰を再度採ってグラム染色をしてから、カンファレンスに望みます。百発百中、「薬が効いてないんじゃないの?」という疑惑が向けられるからです。正に百聞は一見に如かず、で顕微鏡写真は抗菌薬の劇的な効果を雄弁に物語ってくれます。
熱がどうした、呼吸状態がどうした、カテコラミンがどうした、so what?という感じです(A木先生のパクリ)。抗菌薬は単なる微生物キラーで、熱も呼吸状態も改善しませんってば。薬が効いていないって、どこを向いて議論しているんです?ちゃんと菌を見て議論して下さい、と言うのですが・・・数日後にはまた同じ議論の繰返しです。勤務医の自分が言うのもなんですが、首相の発言ではありませんが、医師の科学的常識を疑ってしまいます。
投稿: 勤ノ字 | 2008年11月28日 (金) 14時15分
勤の字さま お久しぶりです。
お褒め頂きましてありがとうございます。確かにグラム染色は凡そ治療効果などに関しては裏切らず非常に素直な反応をしてくれます。本当に一度見ただけで良くなっている、変わってない、菌が変わっているなどの検証が即座に出来るのが魅力です。サッカーではないですが、切れ味の良いキラーパスを幾つも投入します。あとはゴールを決めるか決めないかの後押しでしょう。得点率が高いフォワードが居れば高得点も狙えるでしょうね。
投稿: 師範手前 | 2008年11月28日 (金) 21時18分