人工呼吸器装着時に考えるスメア
前回、掲載した人工呼吸器装着者その①の件です(http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-dbe2.html)、あの菌は何か分かりましたでしょうか?
グラム陰性の短桿菌で、腸内細菌にしては色が少し薄い気がしますし、大腸菌にしては短いような・・・。
まずは、非発酵菌?と考えれるスメアではないでしょうか?インフルエンザ桿菌もこのような形状を示しますが、人工呼吸器を挿管後に発生した肺炎で、インフルエンザ菌はどうか?と思いますので、除外出来ます。
非発酵菌で、インフルエンザ菌に類似している菌で、人工呼吸器に関連したものと言えば、Acinetobacter が出てきませんか?S. maltophiliaも同じに見える場合が多いです。
Acinetobacterは、最近カルバペネム耐性菌の報告も増え、このようなスメアを見た時は、伝家の宝刀、カルバペネムも少し躊躇してしまいますよね。S. maltophiliaはカルバペネムが自然耐性(CLINICAL MICROBIOLOGY REVIEWS,Jan. 1998, p. 57–80)ですので、カルバペネムを選択しにくいでしょう。
最近は、アシネトバクターの市中肺炎例の報告もあるので、何が何だか分からない状況です。でも、この場合はカルバペネムは感受性菌が多く、ローカルファクターの集積と解析は重要だということが良く分かりますよね。(Chest 2001;120;1072-1077)
こらは、アシネトバクターでした。目に焼き付けましょう。
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