続き、誤嚥性肺炎を見抜く
VAPにしても、誤嚥性肺炎にしても、多分思うことは『玄人技!』では無いでしょうか?呼吸器感染で最低見つけたいものは、市中肺炎でしょう。 通常見えるのは、肺炎球菌かインフルエンザ菌です。どちらも特徴があるので、良く分かりますが、いざ、臨床とマッチアップしてみても多いのが、嚥下障害による肺炎、そう、誤嚥性肺炎ではないでしょうか?
先日、こんな症例がありました。
『呼吸苦でこられた患者で、汚い痰が出ました。胸写では右上肺野にベターとした肺炎像。胸写では、大葉性肺炎の疑いもありましたが、尿中抗原は陰性だったようです。塗抹で分かることが有れば見て欲しいのですが・・・』
追加で、92歳、入院歴は特にありませんが、他院に呼吸器疾患で通院しているようです。
こんな質問貰えば、腕の見せ処です。
出て来そうな像とイメージしましょう。最初のイメージは大切です。
①肺炎球菌⇒フィブリンが多く、莢膜有する陽性の双球菌
②インフルエンザ菌⇒陰性の小桿菌で散在しているもの
③誤嚥像⇒常在菌多く、一部扁平上皮も多い。polymcrobialパターンを観察。
イメージを頭に描き、下記のスメアを確認下さい。
さあ、どうでしょうか?
ちなみに、肺炎球菌性肺炎は誤嚥に合併することもあります。これは除外出来る?
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コメント
お久しぶりです。
このところ何かと忙しくて、ろくろくコメントも出来ず、すっかり鈍ってしまっていると思いますが、頑張ってチャレンジです。
92歳で呼吸器疾患で通院中、という事ですが出来ればもう少し情報があれば。男性でCOPDで、HTNで多分そこそこの脳梗塞もあって、と勝手に妄想していますが、いかがでしょうか。
で、患者背景も踏まえると
> ③誤嚥像⇒常在菌多く、一部扁平上皮も多い。
> polymcrobialパターンを観察。
を期待しますが、塗抹所見もそれに違わないと思います。
x1000の写真で、ど真ん中には不染性傾向のある大小不同なGPCが見えますが、左上にはcentral swell?と見える細長いGNRも見られます。中央下側には辺縁の四角い(すみませんヘンな表現で)GNRも見られます。
口腔内嫌気性菌+多少のGNR、Glc非発酵菌までは居ないで欲しいなぁ(でもマクロライドを継続的に飲まされているかもしれないので、リスクはあるかも)という希望の元、ABPC/SBT+GMあたりで初期治療、GNRの同定・感受性試験(ABPC感受性)結果を踏まえてABPC単剤へde-escalation、と行ければ嬉しいかと思います。
ところで、私もいくつか経験ありますが、肺炎球菌のaspiration。この視野だけでは完全否定するのは根拠薄弱ですが、これまで遭遇したいくつかの経験では、視野中の多くを肺炎球菌が占め、よくよく色々探すと緑連菌も混じっている、という傾向がある気がします。肺炎球菌の存在を否定はし切れませんが、可能性は低めに考えてよいと思います。
まぁ・・・ABPCがナントカしてくれますし。
投稿: 勤ノ字 | 2008年7月31日 (木) 10時54分
たびたび失礼します。
肺炎球菌のことですが、やはり見直すとそれなりに莢膜?と見えるそれっぽい形態のヤツらが居ますね。なおのこと、ABPCの容量は多めに(最低でも8g/日)行きたいですね。
うーーん。PCG2400万単位の方がいいかなぁ。
投稿: 勤ノ字 | 2008年7月31日 (木) 10時59分