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2008年7月 2日 (水)

言い切れるか? その2

原因不明の肺炎で入院⇒ARDSになり⇒ICUにて人工呼吸管理下

なんて、症例はたまに見かけます。

原因の検索は、塗抹と培養、尿中抗原、抗体検査、炎症マーカーなどを駆使しますが、結果的によく分からないことが多いと思います。成人市中肺炎のガイドラインでも、約半数が不明になっています。

人工呼吸管理下で、救命中に肺炎の陰が変+O2低下になった場合に、塗抹検査は有用でないという報告がありますが、こういった場合は、たまに有用です。

使う抗菌薬は、LZD?VCM?ABK?すべて違う系統ですが、やはり多臓器不全にもなっている場合は、LZDでしょうか?でも、スメアをしなければ、なんとも言えないもので、適正な抗菌薬の使用?を考えると、スメアは妥当なのでしょうか?

どう見て、どう判断しましょうか?カルバペネムやキノロンは既に投与済みである場合も含めて考えましょう。

肺炎像はどう読みましょう。

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グラム陽性菌」カテゴリの記事

コメント

弱拡大にて背景が紅く染まっており、新鮮好中球がわらわら集まっている印象です。フィブリン糸も見え、炎症の存在を考えます。
強拡大では、菌量としてはそんなに多くないのでしょうか?またGPCの菌塊も大きなものではなく、旺盛に分裂しているという印象ではありません。ただし活性化した好中球に貪食されているため、このGPCが現在の炎症の原因(の一部)と考えていいと思います。
カルバペネムやキノロンではMRSA、MRCNSなどは耐性化のため残ってくるということも考えなければなりません。
実際に僕も、腎盂腎炎(P.aeruginosa)にたいしてCAZ、CPFXなど使った後に誤嚥性肺炎になった方に、ABPC/SBTなど投与してフォローしていたらMRSA、S.maltophilia, Candidaなど様々な菌種が痰から培養されてきたことがあります。使っている薬剤を常に意識していないと、培養結果に驚いてしまうことがあるので要注意だなと感じています。
さて、使用薬剤ですが、何がいいのでしょうか?まずはVCMではいけないのでしょうか?この前、うちの病院の感染症科の先生はMRSA肺炎にVCM投与していましたが・・・。すいません、勉強不足で分かりません。

投稿: h | 2008年7月 2日 (水) 22時01分

すいません、うえの"h"は僕が書いたものです。名前の入力を間違えました。

このテーマとは全く異なりますが、以前からお聞きしてみたかったことがあります。
尿路感染を疑ったときに尿のグラム染色をしますが、遠心後の沈渣を鏡検するとき、もし貪食像が無い場合、それは本当に貪食像なしと評価して良いのでしょうか?遠心力のために、本当は貪食されていたはずの菌が細胞外に振り切られてしまうということはないのでしょうか?
思考が単純すぎますでしょうか・・・?

投稿: highgear | 2008年7月 5日 (土) 23時51分

highgear
通常、尿のグラム染色は遠心しませんよ。そのまま、攪拌してスメアを塗って下さい。何故か?周囲の常在菌も見えるので、判定出来なくなりますよ。女性の場合でしたらカテによる導尿をすると周囲汚染菌との鑑別をしやすくなります。当院は救急ではそうしてもらうように研修医に教育していますが、看護師さんは嫌がります。でも、判定困難になるのがもっと問題かと思いますので、理解をして貰っています。

尿の場合は、通常は貪食を認めないと各種文献に記載があります。それは尿の浸透圧の問題です。貪食しようにも出来ない環境だからです。なので、膀胱炎の場合は無いのが殆どです。腎盂腎炎になると、上行尿路の障害を受けますので、通常は白血球の貪食が見られるようになります。なので、スメアで貪食を確認するのはCVA tendernessを確認するくらい重要になると思っています。実際、把握はしていませんが、色々ICTで検討をしていて、臨床所見と合います。ただし、菌自身が侵入性の強い菌の場合は、膀胱炎でも貪食が確認されることもありますので、注意してみて下さい。貪食あれば、生体反応から発熱が起こるはずですので。

投稿: 師範手前 | 2008年7月 8日 (火) 22時53分

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