違いが分かる男の・・・
先日、人工物の全くない患者の血液培養が陽性になり、主治医と症例の検討をしていました。2セット採取して、1本から養成になり、再度採取しようかということになりました。再度採取すると、3セット中1本が陽性になり、このスメアでした。起炎菌の確率から考えて50%くらいでしょうか?(Clinical Infectious Diseases 2004; 39:333–41)という話になり、スメアで見たまま話しました。CNSが2菌種でしょうということになり、臨床症状と考慮して抗菌薬の投与はしないことになりました。結局、そのまま熱も下がり、やはりコンタミで良かったという症例です。CNSはやや大型なので分かりますよね。しかも2菌種見えますか?
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コメント
師範手前さまお久しぶりです。
血液培養からのCNS陽性、やはり人工物全くない患者の場合悩みます。
Tetrads clusterからCNSというより皮膚常在菌のMicrococcus属に近いように思いました。
投稿: 倉敷太郎 | 2008年7月11日 (金) 10時37分
今回は質問させてもらってもいいでしょうか?
人工物挿入者の血液培養からCNS陽性となった場合は、高率に人工物に感染を起こすため、血培陽性が疑陽性の可能性が高いとしても、治療に踏み切る必要があるという理解でよろしいでしょうか?
これまでCNSはあまりその種類まで意識していませんでしたが、最近いろんな培養からS.capitis, S.capraeなど生えてくるのを見て調べてみたら、実はCNSは相当種類が多いのだと言う事を知りました。CNS=S.epidermidisだと思い込んでいました。
CNSの種類に関してグラム染色上での見分け方はあるのでしょうか?もしあれば教えていただきたいのですが・・
投稿: highgear | 2008年7月12日 (土) 08時28分
古い分類では
コアグラーゼ陽性ブドウ球菌は黄色ブドウ球菌(S.aureus).
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)には
表皮ブドウ球菌(S.epidermidis),もう一つが腐性ブドウ球菌(S.saprophyticus)と私も学生の時習いました(年齢がばれます)。
しかし実際にルチンで同定されるものは、S.epidermidisをはじめS.capitis,caprae,haemolyticuscaprae,haemolyticus,hominis,lentus,saccharolyticus,warneriなどその他多菌種同定されます。
大体人から検出されるCNSは約14種類あると云われています。
ご質問の>CNSの種類に関してグラム染色上での見分け方はあるのでしょうか?
多分CNSも黄色ブドウ球菌も同じでスメアからの推定は不可能と私は思っています。
同一菌でも環境の違いから微妙に違って見えるように思います。 やはり生き物です。
先日ブログいたしました菌の配列の違いから、ブドウ球菌の中で、Staphyloccus属とMicrococcus属とで配列の形成がStaphylococcusでは不規則ですが、それに対してMicrococcusやPlanococcusでは四連球を形成したり、やや球形が四角形に見えたりそのあたりで推定可能と思います。
投稿: 倉敷太郎 | 2008年7月14日 (月) 17時18分
ありがとうございます。
いろんな人の意見を聞くと、知識に幅ができるので、こういった場所で質問させていただけるのはとてもありがたいと思っています。
これからもよろしくお願いいたします。
投稿: highgear | 2008年7月14日 (月) 21時51分
yes.Good blog.Thank you very much.
投稿: dan | 2008年7月14日 (月) 23時38分
もう少し詳細に記載しますと、CNSはコアグラーゼを産生しないStaohylococcusになります。言い換えれば、コアグラーゼを産生するStaphylococcusはどうなの?と思われると思いますが、ヒトを対象にした臨床分離株の場合は、その殆どがS. aureusであることに端を発します。
でも、菌の同定などを長年していると、コアグラーゼ陽性のCNS?と思うような菌が出てきます。S.intermedius,S,dolphini,S.hycusがそれに当たります。中でもS.intermediusはZoonosisの起炎菌として知られていますが、Dog bite infectionで散見されます。
臨床をしていて、CNSとはS.aureusの裏返しととって貰っても良いと思いますが、その代表的なものがS.epidermidisと覚えてください。
投稿: 師範手前 | 2008年7月15日 (火) 15時42分