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2008年6月18日 (水)

食べているかの確認

起炎菌の判定時に『貪食像』が必要な場合があります。では、貪食像はどのように判定するか、初心者の方には、非常に難易度の高い事項だと思います。

貪食と付着している菌をどのように判別するか?と迷うことが多いのですが、一番良いのは、顕微鏡のピントを微妙に調節して、核や細胞質と同じ位相に存在するかどうかの判定をすることが必要です。スメアでは白血球は2次元でしか確認出来ないように思いますが、実は立体的に確認出来るもので、丸っぽいので、核や細胞質と同じピントで確認出来るかと思います。一度確認してみてはどうでしょうか?また、貪食が進み、細胞質内の消化が進めば、のまだらに見えることもあります。これは大きなポイントかもしれません。

掲載の写真は、人工呼吸器挿管者の付着した菌です。でも、一部フィブリンなども出現していますので、何らかの炎症が起きていると判断出来ます。ただし、出た菌が起炎菌か?と言われると、貪食もないので違うかも知れません。あとは臨床とのディスカッションですが、肺炎像があると言われると当然治療対象になるのでしょう。分かる範囲ですが、MRSAや緑膿菌と思える像ですね。繊毛上皮もみえますね。

Vap1 ×1000

Vap3 ×400

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コメント

 繊毛上皮は、×400の写真で、中央の少し左よりにある、細胞質が横長で核が丸い細胞でしょうか。
 繊毛上皮が見れるようになりたいな、と思って、まだこれがそうだ、と自分で判断できたことがありません。マイコプラズマなど、細菌菌体が見えなくて繊毛上皮が見えたりしたら、可能性が高くなると考えていいのですよね。
 もうひとつ、先日こんなことがありました。グラム染色でGNCBを多数認めるも、列のように並んでいるので、まさか、百日咳菌ではないか、と思って培養で確認しようと思って出すと、「百日咳菌の培地がないので出来ません。」との答え。結局、培養結果はインフルエンザ桿菌だったのですが、培養では当院では調べようがない、ということがわかりました。残念・・・

投稿: 三省 | 2008年6月18日 (水) 20時51分

三省さま
百日咳とインフルエンザ菌との鑑別ですか?色々見てますが、それはさすがに無理です。もっと百日咳のスメアを沢山見れば分かりませんが。百日咳の培養は感度が悪くコストがかかると言う理由でしてない検査室が多いと思います。みなさん一度確認下さい。外注は大丈夫と思いますが。良くある事ですが、しっかりと目的を伝えないと全ての菌を検出出来る訳ではありませんので。
あと、繊毛上皮は正解です。上皮ですが、円柱状に見えます。マイコの時増えますが、フィブリンがあんまし出ない時に疑います。マイコの抗体価を計る簡易キットは感度悪いのでね…。

投稿: 師範手前 | 2008年6月18日 (水) 22時04分

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