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2008年4月18日 (金)

優秀な初期研修医に呼ばれて

先日、救急外来から『グラム染色をしたいのですが・・・』という相談を受けました。2年目の初期研修医でした。1年目まではするには余裕がなく、2年目になると、そうお話してくれる方が、少しいらっしゃいます。

どれどれと、救急に向かい話を聞くと、『肺炎の患者で喀痰を採取したので、早速したいとのこと。中々ちゃんと教えて貰った事ないので、再度教えてくれませんか?』という内容です。少し張り切る自分を制止し、初期研修医4名の方と手を動かし染めました。それが下のスメアです。

検鏡の際に、いくつか質問しました。

①年齢と性別⇒77歳、女性。

②主訴  ⇒  呼吸困難と発熱

③WBCとCRP  ⇒  検査中

④基礎疾患  ⇒  気管支拡張症

⑤肺炎の状態  ⇒  ADROPの2点

⑥染色で予測される菌と形態  ⇒  グラム陽性球菌、連鎖で抜けて見える

⑦長い入院歴  ⇒  特にありません

⑧渡航歴  ⇒  海外、温泉ともになし

んんん・・・、1問1答で、ちゃんと聞けています。優秀ですね!と一言。

続けて

⑨喫煙歴 ⇒ あ、忘れた。

⑩ペットの飼育歴 ⇒ あ、忘れた

そう言えば、①~⑧は先日の外来診療録表改定で、意見を言ったところだったのを忘れていました。⑨⑩はスペースなく入れていなかったので聞けていなかったようです。

考えさせられましたが、グラム染色をしようとする姿勢には感動しました。

で、スメアを検証していて、感じることがありました。『ぺらぺらぺら』とコメントすると、そう言えばそうでした。と追加コメント。皆さん、このスメアで何を感じて、初期研修医へ教育しますか?何か聞き漏らしたことないでしょうか?

Photo ×100

Photo_2 ×1000

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グラム陽性菌」カテゴリの記事

コメント

 たいしたコメントは出来ませんが、口火を切ります。いつも読ませていただいて勉強しているほうですので。
 ×100にて、脱落した上皮細胞を認めます。膨化した白血球は多数認めますので、感染所見があることには違いないようです。
 ×1000にて、GPDCかGPC-chainと、GPC-clusterを認めます。右下には、GNCBも貪食されているように見えます。GPDCかGPC-chainも貪食されています。染色と形からは、GPC-chainに見えるのはそう見えるだけで、実際はGPDCで肺炎球菌でしょうか。GNCBは気管支拡張症もあるので、インフルエンザ桿菌の混合感染の可能性も十分あると思います。問題はGPC-clusterです。起炎菌かどうか。コロナイゼーションか。
 上皮細胞を認めるのを考えると、喀痰が本当に気管から喀出されたものがきちんと採取できたか、吸引器で無理やり吸引した痰ではないかどうか。あるいは患者さんが喀出するときに、ガーガーのどを鳴らして「ガーッ、ペッ」と無理やり出した痰ではないか。(ごめんなさい、学術的ではない表現で。)
 あと、脳梗塞などの脳血管障害はないかどうか、嚥下障害はなかったか、です。誤嚥性肺炎による多種類の菌種の感染の可能性もあると思います。
 こんなことしかかけません。後は皆さんにバトンタッチ。僕の見方のおかしなところをどんどん指摘してください。勉強になりますので。

投稿: 三省 | 2008年4月19日 (土) 00時00分

僕も書かせていただきます。
やはり抗生剤による治療歴、もしくは入院歴があるかどうかは重要だと思います。それによって予測される起炎菌も変わってくるし、同じ起炎菌でも選択すべき抗菌薬の判断に影響を与えることがあるからです。
さらに感染症を考えるときは常に”周囲の感染状況”を知る意味で、家族、友達、同僚などに同じ症状が出ている人がいないかを聞くことも重要だと思います。
後は、飲酒状況、服薬内容(特にステロイドなど免疫抑制のかかるもの)などはルーチンに聞くべきでは無いでしょうか。

それにしても日々、どこまで問診すべきか、迷うことは多いです。


全然内容とは関係ありませんが・・・
キノロンの分3投与や、起炎菌の判明していないただの膀胱炎疑いにクラビットが処方されている状況を最近目の当たりにして心が痛んでいます。血液培養も1セットが標準。”2セットとったら患者さんが痛がってかわいそう”ということを言う医師もいます。いやいやそれは2セットちゃんと採って検査感度を確保して菌血症を見逃さない(菌血症を疑っているからこそ血液培養をとっているわけで・・・)ことが患者さんのために医師ができる最善のことだと思うのですが・・・。
すいません、誰かに愚痴を聞いてほしかったのでボロボロ書いてしまいました。
理想と現実のギャップがいかに大きいかということにショックを受けている今日この頃です。

投稿: highgear | 2008年4月19日 (土) 01時57分

highgear さま、三省さまありがとうございます。チェックしていましたがコメント出来ませんで。

三省さまの所見の見方、非常に解りやすいですね。ありがとうございます。皆さんためになろうかと思います。確かにちゃんと採れた痰かどうかの確認は重要です。結核の診断のときには本当に重要ですので。結核で空洞+であってもわずか菌陽性の確率は60%程度、痰の質が悪けりゃ感度はもっと下がりますし、PCRの結果などにも左右されます。肝心なのは、患者自身に痰の存在を解らせようという指導です。痰は主治医で確認するのが良い方法ですが、出来なければ、看護師さんに所見を書いてもらう、検査室で控えてもらうなどの工夫をするのも大切ですね。おかしなところはありません。臨床での感想など検査技師は知らないのでありがたみを覚えます。

highgear さま
そうですね、飲酒歴、ステロイド服用歴なども聞くと良いでしょう。本を見て『ほほう・・・』と思っても、いざ患者さんを目の前にすると、中々言葉が出てこないものでしょうね。本を見ならがムンテラするわけもいきませんしね。

このスメアですが、菌があまりいない。市中肺炎なのに?少し、像が変であることを指摘することが大切です。なので、このスメアを見た時『この人、何か抗菌薬飲んでいるでしょう?』と早速突っ込みました。気管支拡張もあり、AZMを外来で一度処方されていたようです。そういった、細かい情報が検査結果には大切です。出てきた菌が緑膿菌の場合は、ABPC/SBTでは効果ないのに、肺炎が治ったなどの臨床と検査結果が食い違える原因追求にも大事ですので。

投稿: 師範手前 | 2008年4月21日 (月) 16時47分

highgearさま

そうですか、ストレス溜まっていますね。
感染対策もそうですが、正義感を強く持ってしていても、皆さんに理解をしてもらえず、壁いぶち当たることが私もたくさんあります。でも、そこでメゲナイのが大切で、正義は貫く、適正使用は公言するなどの活動が大切です。その延長が教育になりますので、これからも顔を上げてしっかりとした医療して下さい。
確かに短絡的に菌検査を省略して、抗菌薬の投与をする場合がありますが、結果的に治癒できれば問題ないのですが、詰まった時の手ほどきに菌検索は必要です。最適な抗菌薬を最短に投与するようなことが、患者にとって大切で、医療訴訟に負けない医療になると思います。

最近、しっかりと感染症の診断をしましょうというセミナーも増えてきましたので、もう数年すると『血培は2セット当たり前だよ?』、LVFXは分1でしょうなどという世の中になろうかと思います。 highgear さまは先に時代を通過しているに過ぎないのでしょうね。私は応援しています。

私のこのブログの内容ですが、数年前から色々な場所で意見として言っていたのですが、最初は何?と思われていたようです。教科書にも載っていないような内容が多く、少し時代の先端を行っていたのだと前向きに思っています。でも、最近どの本見ても、学会報告見ても、こんな、お話をしている方見かけます。皆さん昔から思っていたのですが、字に出来なかったのでしょうね。目から鱗がいっぱい落ちているんでしょうね。

最近ブログ検索数アップです。ありがとうございます。

投稿: 師範手前 | 2008年4月21日 (月) 17時00分

 師範手前様、心強いコメントをありがとうございます。僕は町医者で、プライマリ・ケア医であることを以前に書いたように思います。僕の地域に程近いところにある医学部の6年生がプライマリ・ケアの学生実習で当院にきています。当院に来た学生にはグラム染色をさせていますが、比較的最近の学生の間でも感染症に興味を持った学生が増えてきているように思います。グラム染色のことも、僕自身は学生時代は??だったのですが、質問したらちゃんと答えが返ってきています。
 先日の学生には、このブログで勉強させていただいていることを教えました。教えてもよかったでしょうか。

投稿: 三省 | 2008年4月21日 (月) 18時44分

三省さま ブログ教えるのは全然OKですが、町医者レベルで役に立ちますか?

投稿: 師範手前 | 2008年4月21日 (月) 23時38分

 ドキッとする師範手前さまの質問です。確かに、ここで示してくださっている内容は、救急病院の入院における症例でしょうから、町医者でこのような患者さんを外来レベルで診ることはありません。無理したら危険です。
 肺気腫の患者さんで、とか、抗生物質が他院ですでに投与開始になっているとか、そういったことは出会うことがあります。
 「役に立つ」というのは、そのままの症例を外来で診ることがあるわけではなくて、皆さんの思考過程を勉強させていただくことが大いに僕の勉強になる、ということです。
 ということで、今後もいろいろとご教示いただけましたらうれしい限りです。

投稿: 三省 | 2008年4月22日 (火) 17時43分

師範手前さま 皆さま

私も臨床検査に従事する立場からコメントします。

臨床医の先生方の率直な意見・疑問など身近に聞け大変勉強になっています。
このような擬似スメアにより、お互いの立場で考えて行けることは、我々検査技師にとって大変貴重な事と思っています。
日常の感染症診療において必ず実施したい検査と思います。

しかし、また師範手前さまが以前言われていた、臨床医と検査技師のグラム染色を前に思考・考察の点で少しズレがあるのではないかと。
こういったStadyを繰り返す事で、臨床検査技師は臨床の立場をより理解し(臨床は推定菌以外なにを期待しているか)、マッチした所見をお返しできる早道のように考えています。

投稿: 倉敷太郎 | 2008年4月22日 (火) 17時49分

>このスメアですが菌があまりいない。市中肺炎なのに?・・・
>少し、像が変であることを指摘することが大切・・・
>このスメアを見た時、何か抗菌薬飲んでいるでしょう?

そうですか、基礎疾患に気管支拡張症なんですね、AZTの処方あり、当院でもスメアから市中肺炎なのに菌数・種類の少ないものは抗菌薬処方疑いやすいですね。

また、マクロライド薬の影響か去痰剤も処方されていたのか、非常に背景の状態がバラけた普通の市中肺炎に見ない像と思います。
喀痰の品質にはM1からP3まで色々ありますが、それらも一通り見ておくことも大切なことと思います。

さて、スメアに認められる菌は何なんでしょうか?
AZTに耐性ですから、腸球菌やブ菌あたりになるのでしょうか。
ハローの認められるものもあります、PISPあたりでしょうか。

投稿: 倉敷太郎 | 2008年4月23日 (水) 18時41分


訂正:AZMのまちがいです。

投稿: 倉敷太郎 | 2008年4月24日 (木) 07時15分

起炎菌の判定ですが、AZMが前投薬していますので出てきた菌はマクロライド耐性菌の可能性があります。また、緑膿菌も含めたグラム陰性桿菌も抑えておくべきですが、AZMが抗菌力を示さないと思うのが、緑膿菌、肺炎桿菌に加えマクロライド耐性肺炎球菌でしょう。ここをはずしてはいけません。ただ、このスメアは単一菌が見えるのですが、少なすぎで何か抗菌薬が投与している可能性があると考えても良いと思います。

投稿: 師範手前 | 2008年4月24日 (木) 18時44分

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