こんな症例もグラム染色で判断できる
こんな症例もあります。
外来でフォローしていた患者です。気管支拡張症を基礎に持っている患者で、外来フォローをしています。この時期ですが、インフルエンザを初めとしたウイルス性の呼吸器感染症が流行します。また、流行した後に喀痰が増えた、少し息苦しいなどの症状を訴えてこられるようですが、基礎疾患だけにやや増悪しそうな場合には、他院で抗菌薬を常用されている場合もあります。
中にはこんなスメアがあります。さて、どう考えれば良いのでしょうか? ちなみにSBTPCを1日2回服用している患者です。抗菌薬と起炎菌の関係は妥当でしょうか?また、経口での治療を継続する場合はどうしましよう?A-DROPスコアが3点として考えましょう。
ますは起炎菌をグラム染色から推測してみても良いでしょう。背景も読めますでしょうか?
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コメント
限られた情報範囲内ですが、私見で投稿させて下さい。
グラム染色では背景に変性した多核球が多数ある様に見えます。扁平上皮は殆どなさそうなところから、検体の質は良さそうに思います。
微生物はグラム陽性球菌とグラム陰性球菌が混じって見えますが、それでもpolymicrobial patternとは違う様な印象を受けます。基本的には単一種類のグラム陽性双球菌で、ものによってはやや小型だったりGNCに染まったり、という現象を見ている気がします。肺炎球菌の一点買いでどうでしょう?低用量PC系内服という背景も、こういうチョット変わったグラム染色像を作る良い素地になるかと。
それから、初めて知りましたがA-DROPなる重症度分類があるのですね。PSIとびみょーに違っていて、この判定基準を使って大丈夫なのだろうか、と少し不安になりました。
投稿: 勤ノ字 | 2008年3月13日 (木) 16時57分
単一種類のグラム陽性双球菌で、ものによってはやや小型だったりGNCに染まったり、という現象を見ている気がします。肺炎球菌の一点買いでどうでしょう?
少し大きさを比較して下さい。微妙に違います。そうです2菌種確認出来ます。
ADROPスコアは成人市中肺炎のガイドラインに記載されています。0点は外来、1-2点は外来か入院、3点入院、4点5点はICUです。http://www.jrs.or.jp/quicklink/glsm/guideline/nopass_pdf/seijinsichu_g_05.pdf#search='ADROP'
投稿: 師範手前 | 2008年3月13日 (木) 19時47分
むむむ。
グラム陰性に染まる短桿菌という事であれば、AcinetobacterかHaemophillisの可能性が高まるかと。球菌とはいい難いですが、球菌ととなるならまた別に考える必要がありますが。
polymicrobialと考えると、GPCもpneumococcusでは少ししっくりこないですね。Enterococcusなどでしょうか?こうなってくると、かなりお手上げです。
投稿: 勤ノ字 | 2008年3月14日 (金) 15時29分
勤の字さま
少し単純に考えませんか?市中肺炎で気管支拡張症はありますが,スメアで陰性桿菌.あと,菌の特徴見えませんか?
スメアのみで考えるより,症例として考えてください.難しくはないですよ.
投稿: 師範手前 | 2008年3月14日 (金) 20時56分
純粋に気管支拡張症で急性増悪といえば、Haemophilus, Pseudomonas, たまにPneumococcusといったところでしょうか。そういう眼で見ると、そう見えます。
陰性桿菌は小型の短桿菌に見えますが、特徴と言って良いのでしょうか?あまり経験がないもので、自信を持って言えません。あと、周囲にHaloを伴っている様にも見えます。これも過大評価でしょうか。
投稿: | 2008年3月15日 (土) 11時34分
ハロー見えるんですね、じゃ、菌分かりませんか
投稿: 師範手前 | 2008年3月16日 (日) 23時48分
初投稿です。勉強させていただいております。皆さんの書き込みの意見を読む前に、自信がない中で僕が思ったことを書きます。
GPDCは肺炎球菌、GNCBはインフルエンザ桿菌でHaloが見えるので、'typeB'。SBTPCを使用中とのことですが、残念ながらSBTPCに耐性をもったもの。BULNERでしょうか。でも、インフルエンザ桿菌にしては、ちょっと大きい感じもするかな、と迷っていました。
投稿: 三省 | 2008年3月17日 (月) 00時30分
三省さまコメントありがとうございます。 GPDCは肺炎球菌と恐らく皆さん予測できていると思います。ただ、GNCBです。インフルエンザ菌?と思わせるような染色態度になりますが、呼吸器材料から検出されるのはtypebは少ないと思います。喀痰材料で莢膜をこんなに出すインフルエンザ菌はあまり見かけませんが、じゃあ、ハローを伴う菌は何でしょうか?少し染色が悪いのですが。
投稿: 師範手前 | 2008年3月17日 (月) 11時12分
今までのお話をまとめると、
・肺炎球菌
・インフルエンザ桿菌?でもハローを伴う菌?
ということですね。
夾膜がみられるグラム陰性桿菌といえば肺炎桿菌ですが、そうなのでしょうか?もっと大きくてぼってりしてふてぶてしい印象がありますが。
話は変わりますが、肺炎球菌性肺炎は20%くらいが混合感染といわれています。「尿中抗原検査」は確かに有用なのですが、こういった混合感染を見のがすという点では非常に問題ですね。
混合感染という意味では、細菌性肺炎同士だけではなく、肺炎球菌+クラミジアとかいうケースもあるからさらにやっかいです。でも、「本当に両方起炎菌?」かどうかは神のみぞ知るですが。
あっ、師範手前様は神の領域に進出しようとしているんでしたね!
抗菌薬はどうしましょうか。肺炎球菌+肺炎桿菌でしたら、SBT/ABPCで双方カバー可能ですかね。インフルエンザ桿菌でもSBT/ABPCですし、あるいはCTRXでもインフルエンザ・肺炎桿菌どちらにも対応可能です。
エンピリックセラピーにおいては、インフルエンザ・肺炎桿菌の区別ができなくても、使う抗菌薬はそんなに変わりません。ドンマイ。
投稿: ID conference管理人 | 2008年3月20日 (木) 12時02分
師範手前様からのヒントにも答えれず、そのままだんまりになってしまっています、恥ずかしいですが。
時に、グラム染色をしていて、インフルエンザ桿菌と判断したものの中にここまでくっきりではないですが、莢膜を持つものを見かけて、「まさか、Hib?」と思ってドキッとしていました。でも、成人で喀痰でHibという可能性は低いのですよね。ハローが見えるからHib、という単純なものではないようですし。Hibでもハローがほとんど確認困難なこともあるように聞きました。
今までの僕は、このような検体を見たら、「GPDCとGNCBで肺炎球菌とインフルエンザ桿菌の混合感染だ。」と即決していました。実際は、どうなんでしょうか。
投稿: 三省 | 2008年3月20日 (木) 22時35分