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2008年3月 5日 (水)

無念100点ならず、その次はの次

膿瘍はデブリして、洗浄を繰り返し、全身投与はABPC2gを6時間毎に始めました。廃膿も上手く行き、改善傾向にあったのですがCRPが下がらないという理由で抗菌薬の変更のコサルトありました。全身状態もさることながら、局所の状況は落ち着いているようです。

DMもありますし、溶連菌+後腹膜膿瘍になるので、経過はCRPで追わない方が良いんじゃないですか?と言いましたが、主治医はすでにCRP依存症です。確かに微小な炎症は残るのは当たり前と思っていますので、排膿を続けABPC投与で経過観察して下さいと言いました。一応気になるのであれば、もう一度膿瘍採取して下さい。と言いましたところ下記のようなスメアでした。どうでしょうか?菌はさすがに見えませんが、臨床に何てコメントしましょうか?

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グラム陽性菌」カテゴリの記事

コメント

中国広州市ご講演師範手前さま大変おつかれさまでした。
海外進出、すごいです。

さて>菌はさすがに見えません、臨床に何てコメントしましょう・・

私も同じですが、CRPよりも全身状態や、局所の状況などバイタルが落ち着いていることが重要と思います。しかしそれでも必要なら、継続して排膿は必要と思います。排膿なくして抗菌薬は無効と考えます。

また現在使用中のABPCから同系経口抗菌薬CVA/AMPCなどや、溶連菌に有効なMFLXにスイッチして様子をみるのはいかがでしょうか。

投稿: 倉敷太郎 | 2008年3月12日 (水) 14時37分

海外進出は非常に良いものでした。ありがとうございます。
さて、この症例の考え方ですが、使用抗菌薬により菌が消失していますが、依然としてアクティブな好中球の侵潤があることから治療効果が今一ぱっとしないことがわかります。DMのコントロールが上手く行かなければ感染症のコントロールも難しいんでしょうね。なので、もう少し注射で経過観察が必要かな?と思いますが、このようなアブセスコントロールはエンドポイントの把握が非常に難しく困ります。エコー下では2センチ大からの膿瘍が縮小したら経口へのスイッチも可能かと思います。経口はMFLXが妥当だと思いますが、広域過ぎますでしょうかね?

投稿: 師範手前 | 2008年3月12日 (水) 15時56分

たびたびすいません。
なぜ、あえてMFLXか教えてください。
溶連菌と判断されているなら、ユナシン+サワシリンの
組み合わせはいかがでしょうか?
クラバモックスに習うわけですが、保険の問題はあるかもしれませんが、あえて10日と期限の決まっているMFLXを使用しなくても・・・と思いまして。生意気言ってすみません。
あとabscess径が2cmから内服とされている理由を教えてください。
個人的な考えですが、画像的な膿瘍の消失までが治療期間と考えています。なので、ある程度コントロールされているなら
膿瘍なら、下痢、嘔吐、腸閉塞がなければ早めの内服への変更もありかなと思います。

投稿: tuta | 2008年3月17日 (月) 16時01分

tutaさま

抗菌薬ですが、ABPC/SBT(SBTPC)+AMPCでしょうか?確かにペニシリンの大量投与も基本ですが、中々慣れていない医師に迫って間違いがあってもダメなので、また、DMもあるので、患者自身の体調管理も出来るかどうかも問題なんで、広域過ぎますがMFLXが妥当ではと安直な意見です。確かに広域過ぎるのでと言う声もあろうかと思いますが、アブセスコントロールが上手に行ければ全然ペニシリンでも良いのですが。キノロンの経口は注射くらい効果あるので。

あとアブセスの大きさに関しては根拠ありません。内科的に治療できる大きさと思っています。脳膿瘍の場合は確か25mmだったと思いますので、応用しているだけです。根拠を作らないといけませんね。基本的に排膿洗浄を繰り返すのが必要です。

非常にアクティブなコメントありがとうございます。
何かあとご存知の事項ありますか?是非教えてもらいたいです。

投稿: 師範手前 | 2008年3月17日 (月) 22時14分

僕もまだまだ研修医終わりたてのペーペーなので教えられるほど知識も経験もないのですが・・・。
抗生剤投与中のスメアなので、菌が見えないのは当然と思います。少々はずしていようが・・・です。
全身状態、局所の所見がまず第1、その後はやはりCRPも参考にせざるを得ないと思います。
CRP依存症は良くないですが、治療へのレスポンスのトレンドを描くという意味でのCRPは十分意味があると思います。
ただし、薬剤性にCRPの上昇もありえますので、注意は必要ですが。
ほんとに薬剤は悪さをしていないのか、他のfocusはないのか
治療中のCRP上昇の原因は多岐にわたりますので、そこは内科医の腕の見せ所です(感染の悪化にとらわれているなら、それはearly closerと思います)。
膿瘍治療は、画像的に消失、もしくは効果ある抗生剤を8週投与し画像が改善しなくなるところまでと思います。
となると、MFLXは10日という縛りがでてきますのでちょっと不向きかと。スオードやクラビットで代用できないわけではないので、そちらでもいいのでは?と思います。キノロンの選択は妥当と思います。(DM禁忌はガチフロだけですが他のキノロンも血糖値異常はそれなりに報告されています)
DMもちなら、直りにくいでしょう。切開排膿しても、術創に感染起こして閉じないなんてことは良くあるわけで・・・。
まぁ血糖の厳しいコントロールと外科的ドレナージ、抗生剤治療の3本柱になると思いますが、ICTはしっかりしてないと多剤耐性菌の出現→アウトブレイクもありえると思いますので、排膿時のプリコーションは厳しくしないといけないと思います。

投稿: tuta | 2008年3月18日 (火) 12時13分

ガレノキサシン(ジェニナック)なんかいかがでしょう?10日の縛りもないですし・・・GPCはお得意のようなので。

投稿: tuta | 2008年3月18日 (火) 12時15分

tukaさま 活発で建前のない貴重な意見ありがとうございます。確かに臨床現場で困惑している先生は多いと思います。ICTではそういった先生の悩みを解消(患者を良くするのは第一ですが)させる場でもあります。経験、エビデンスの蓄積で対応出来るため非常に重宝がられます。
実情と論理には少し溝がある事が多いので合わせて少し追加コメントをさせてもらいます。

>抗生剤投与中のスメアなので、菌が見えないのは当然と思います。少々はずしていようが・・・です。

ただ、治療が鈍いや奏功している場合は良いのですが、バリアンスも考え、状況に応じての検査は必要な場合があります。菌交代症、耐性菌などあります。

>CRP依存症は良くないですが、治療へのレスポンスのトレンドを描くという意味でのCRPは十分意味があると思います。
確かに初動や経過のトレンドを見る場合に必要な場合もありますが、上述した内容についても発見出来る場合がありますので、必ずしも不要ではありません。問題なのは検査したのは良いが漫然として解釈が出来ない場合にどうするか?です。特にCRPは困惑する場合もあります。

>膿瘍治療は、画像的に消失、もしくは効果ある抗生剤を8週投与し画像が改善しなくなるところまでと思います。
これはあくまで目安であり、丁度その期間に入ることが多いですが、外科的な対応はあくまで目安です。この辺がガイドラインからはみ出て困る場合が多いですし、明確な表示もないので感覚勝負になることも多いです。いきなり相談貰っても実際にコメントし辛いことは多々あります。初めから介入していれば違う場合もありますがね。

>ICTはしっかりしてないと多剤耐性菌の出現→アウトブレイクもありえると思いますので、排膿時のプリコーションは厳しくしないといけないと思います。

確かにGRNXは良いですね。でもFDAで落とされた理由もあり、使い難い場面もありますよね。

確かにおっしゃる通りで、ICTの役割の一つだと思います。でも、毎年職員が大量入れ替わるこの時期ですが、前の病院でしっかりとした教育を受けて来ず、乱用される方が多く、指導する時間が多いです。早く適正使用が蔓延化して欲しいものです。

tukaさまも力かして下さい。

投稿: 師範手前 | 2008年3月19日 (水) 17時36分

ありがとうございます。
もっといろいろ勉強させてください。

投稿: tuta | 2008年3月21日 (金) 16時07分

こちらこそ、お願いします。

投稿: 師範手前 | 2008年3月21日 (金) 22時19分

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