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2008年2月12日 (火)

心配性でしょうか?

ICTの介入どころと思っています。

最近、遭遇する感染症には膿胸や肺化膿症が多いように思います。

喀痰や胸水を採取しての鏡検をしていますが、下のような化膿病巣に良くあるスメアが見られます。まず感染症検査にとって大切な情報は臭いでしょうね。臭い場合は嫌気性菌の関与が考えられます。肺炎桿菌やミレリ菌のみの場合は臭いがしません。

下記のスメアは、白血球の縁が鮮明でなく、蛋白の集合もありやや慢性的な炎症後に発生してきた膿胸の像でしょう。歯科衛生の不良かどうかの検索も必要でしょう。

次にスメアです。思ったとおりにpolymicrobiologyが見られ、菌が予測されます。この時押さえておきたい起炎菌はKlebsiellaでしょう。特に莢膜産生株で予後はそんなに良くないので。Klebsiella以外では菌の形状からFusobacteriumやAnaerobe GPCを見つけましょう。

で、当院で問題にしているのが、この場合の抗菌薬の選択です。最近眼にするのが、β-ラクタム薬とCLDMの併用です。溶連菌などの毒素が関与している菌による感染症ではないので、CLDMの使い方について指導すべきものか検討しています。

ICTの意見としては

 ①肺化膿症や膿胸の場合は、耐性菌でなければβ-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリンで十分

 ②CLDMはペニシリン系抗菌薬やβ-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリンとスペクトルがかぶる(2剤の有効性に有意差は認めない)

 ③毒素が関与していないので、CLDM併用の有効性がないと思われる

 ④CLDM使用はペニシリンアレルギー患者に

としています。

でも診療科へ思い切った指導が出来ていないため、使用する医師にこっそりと聞いたりしています。使用している医師の意思も尊重していますが、さすがにこの処方例はICTの詰め寄り処ではないでしょうか?

文献的にはCLDMはFusobacteriumの一部に耐性株があるので、β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリンの方が有効であると記載もあるくらいです。エビデンスとのかみ合わせが上手く行けばよいのですが。思い切って介入の方向にいきたいです。

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コメント

難しい問題ですよね。

レンサ球菌+嫌気性菌の感染が疑われる場合,ペニシリン系とCLDMを併用する内科医もいらっしゃるようです。
「レジデントのための感染症診断マニュアル第二版 青木眞:著 医学書院」によると,レンサ球菌による壊死性菌膜炎では,ペニシリンよりもクリンダマイシンの方が治療成績が良いと考える専門医もいらっしゃるようで・・・
その理由として,
①大量の連鎖球菌が軟部組織などで増殖している時は,ペニシリンの効きが低下(eagle effect)するため。
②ペニシリンよりも長いpost antibiotic effect をもち,レンサ球菌の毒素産生を抑制,白血球の貪食の促進など多くの利点を持っているためと記述されています。

いろいろなケースがありますので,上記の治療がいいとは限りませんが,部位や患者背景も併せて判断する必要があるのかもしれません。
呼吸器系の場合と異なるので,一概には言えませんが,経験的治療だけではいけないことは,ブログを拝見している方々にも賛同いただけるものと思います。

投稿: 先生 | 2008年2月12日 (火) 12時06分

先生さま ありがとうございます。
東京で会えてうれしかったです。

さて、CLDMの件ですがうちも臨床医にeagle効果についての説明をしています。The journal of infectious disease,1999,s366-374.に記載があります。ペニシリンの透過性を良くしたり、酸性で効果が落ちている箇所を塩基性に戻そうとする働きなど多様化しています。壊死性筋膜炎については効果がありますが、ビリダンス主体の膿胸については有用でないのでしょう。ちゃんと病名書かないと保険カットされる場合もあるようです。保険査定する人が知らないのは困ったことです。
続けてコメント宜しくお願いします。

投稿: 師範手前 | 2008年2月12日 (火) 17時33分

 薬効と宿主側のバランスには未知のものがありますが,相乗効果をうまく利用するのも大切なんですね。本当に奥が深い領域です。
 師範手前さまのおっしゃる通り,保険査定は薬価・診療報酬にも重要な要因ですから,目を光らせていなければなりません。ここまで病院の経営(検査部のコストベネフィット)に関与している仕事は,素晴らしいと思います。
 話を戻しますが,CLDMの併用に関して臨床医から実際の使用経験などありましたら,是非ご伝授いただければと思います。

投稿: 先生 | 2008年2月14日 (木) 11時34分

先生さま

当院は溶連菌感染症でショックを伴う場合にはCLDMの併用を必須にしています。当初はβラクタム薬の単独でされているケースが散見されますが、CLDM追加とともに炎症反応の低下が著名に見られます。その甲斐あってか、当院での劇症型の患者発症の場合でも昨年は全て救命出来ています。肝機能が悪くなる場合もありますが、長期使用に関しては毎日CLDMが離脱できるタイミングをICTで検討しています。

投稿: 師範手前 | 2008年2月15日 (金) 12時12分

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