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2008年1月15日 (火)

ワンサン・アンギーナ(Vincent's angina)

グラム染色をルチンで見ていると下記のようなスメアに出会うこともあります。主症状は咽頭痛や舌炎などがコメントとして添付されてくることが多く、材料は殆ど扁桃部膿瘍や咽頭粘液になります。

さすがに、細菌検査を始めて間もない方が見るとびっくりする場合もあります。それはそうでしょう。キャンピロバクターが大きくなった螺旋桿菌が多数見えます。

一応コメントとして『ワンサン・アンギーナ?』と付けて返しますが、全くと言って良いほど臨床からの反応がありません。ワンサン・アンギーナ?って国試レベルでの事項になり、覚えている人は少ない事項なのでしょうか?扁桃周囲の膿瘍や白苔がべっとり付着し、咽頭偽膜のような感じですが、一部脱落したような症状を呈するようです。

ワンサンはフランスの医師(1862-1950)の名前が付いています。それと、スピロヘータ(Borrelia vincinti)と紡錘菌により起こる疾患と記載があるくらいで詳しいことは書かれていません。難しい限りであります。

ただ、スピロヘータが見えるので梅毒の否定だけはしないといけないのかな?とも思い、螺旋の回数を数えたりします。梅毒トレポネーマは8回程度の螺旋回数だそうです。見えているのは恐らく常在菌だと思いますが、たまに糞便からも見えますよね。

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グラム陰性菌」カテゴリの記事

コメント

先日、当院でも咽頭の膿から同じスメアがでました。初めて見たので、私もスピロヘータ!?とびっくりしました。調べてみて、非病原性スピロヘータというのを知りましたが巻いている数で見るとは・・・。確かにうちのスメアも8回も巻いていませんでした。15歳だし・・・と思いそのときはそれ以上確認しませんでしたが、このご時世だから、梅毒の否定は必要なんですね。
このブログはいつもとても参考になります。今年も楽しく学ばせていただきたいと思います。

投稿: 耳鼻科の薬剤師 | 2008年1月17日 (木) 22時19分

耳鼻科の薬剤師さま
コメントありがとうございます。第1線で活躍されているので、そういった事例が多いかと思いました。耳鼻科の先生は何と感じられているのでしょうかね?まさか梅毒とは思っていないとは思います。どうしても心配でしたらFTA-ABSの検査くらい必要なのでしょうか?

投稿: 師範手前 | 2008年1月21日 (月) 18時08分

ワンサンアンギーナで検索していて、本ブログに行き当たりました。
開業9年ちょっとの耳鼻科医です。
ここ1年で2例ほど検査会社さんからのコメントでワンサンアンギーナの疑いのコメントをいただきました。どちらも咽頭や扁桃の教科書的潰瘍性の所見を認めておりませんでした。スピロヘータが常在性であるとの文献もあり、いづれの事例もペニシリン系による抗菌治療で早期に改善しましたので、その後の血清学的な検索も行なっておりません。逆に梅毒との検鏡所見上の違いはいかがなものでしょうか?

投稿: みみ・はなの町医者 | 2008年2月14日 (木) 17時01分

みみ・はなの町医者 さま
初コメントありがとうございます。ワンサンアンギーナで検索すると文献など殆どありませんので、当ブログに漂流することが良くあるようです。先日もとある病院の方からご相談もありました。
ワンサンアンギーナですが、もはや過去の病気のような感じです。扁桃周囲膿瘍はこの菌のみではありませんので、塗抹で見えているからと言って因果関係があるかどうかは確立されていません。恐らく検査(外注?)の場合は、臨床情報がしっかりと掴めていないが、可能性のある情報を臨床へ伝えようとする非常にpositiveな態度が見られます。ただし、臨床医にとっては知らない情報のみならず、病気との因果関係のない情報も多く、本当に有用かどうかは、診療で検討していくほかありません。
上記に記載しているように、口腔内のスピロヘータがたくさんありますが、文献的にはJOURNAL OF CLINICAL MICROBIOLOGY,Mar. 1999, p. 867–869に記載あるように数種存在します。先日の症例は Treponema vincentiiが遺伝子学的に検出されましたが、その他の口腔内のスピロヘータも見つかりました。本当にそれで病気になっているかどうかは不明になります。ただし、T. pallidumとの鑑別は鏡検上可能だと思いますが。心配なら血清学的検査出したらどうですか?

投稿: 師範手前 | 2008年2月15日 (金) 12時23分

ご解答有難うございます。
お返事が遅くなり失礼しました。

>もはや過去の病気のような感じ・・・
小生も同様に感じております。

>検査(外注?)の場合は、臨床情報がしっかりと掴めていない
ご指摘のごとくで、こちらからの情報が少ないにも関わらず、別途プリントでの情報であったゆえ、最初は戸惑いもしましたが、その積極性には感謝しております。今後は情報の双方向性を念頭に検査依頼をしてまいりたいと改めて感じた次第です。

文献のご紹介有難うございます。さっそく取寄せて勉強してみたいと思います。当方での経験事例に関しては血清学的検査も含めてさらに慎重にみて行こうと思っております。

これからも本ブロクデ勉強させてください。
この度は丁寧なご対応有難うございました。

投稿: みみ・はなの町医者 | 2008年2月23日 (土) 08時21分

みみ・はなの町医者 さま ご丁寧なコメントありがとうございます。また、何かコメント頂ければ幸いです。

投稿: 師範手前 | 2008年2月26日 (火) 22時18分

本当に、良くないとはおもいますが、Vincent's anginaなんて帰ってくると、「なんだ、Vincent's anginaか。ミノですぐ治るな」ぐらいで、検査室に電話したことはなかったです。
それも、もう昔話。
ここ10年ちかく、まったく、見なくなりましたね。

投稿: 藪医者 | 2016年10月20日 (木) 16時59分

藪医者様 コメントありがとうございます。

生活が豊かになってきたんでしょうかね。
このスメアはPCR掛けてみたのですが、T. vancentii以外のTrepnemaは7つほど出てきました。奥が深いです。

投稿: 師範手前 | 2016年10月21日 (金) 12時35分

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