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2007年12月10日 (月)

糖尿病あっての皮膚の膿瘍(潰瘍)

本日は『んんん・・・』と思う像です。糖尿病の患者が外来で来ています。下肢の潰瘍部分は何で出来たか定かでない(血管炎?)のですが、膿瘍が採取できました。皮膚の病変はその他紅斑もなくその部分だけ。ポケットに少し臭気がある膿瘍を綿棒に採取して提出。

膿瘍ということで処理をしていました。スメアみて少し変?と思い出場所を見ると透析室。腹壁の膿瘍かな?と思える像でした。誤嚥時に良く見るpolymicrobial patternです。

文献的に考察しますとこういったことが記載あります。

『Aerobic gram-positive cocci are the predominant microorganisms that colonize and acutely infect breaks in the skin. S. aureus and the b-hemolytic streptococci (groups A, C, and G, but especially group B) are the most commonly isolated pathogens. Chronic wounds develop a more complex colonizing flora, including enterococci, various Enterobacteriaceae,obligate
anaerobes, Pseudomonas aeruginosa, and, sometimes, other nonfermentative gram-negative rods』
~Clinical Infectious Diseases 2004; 39:885–910~

つまりpolymicrobial patternが標準になるのですが、気を付けるのが溶連菌の存在です。高頻度に検出されるので意外に盲点になります。診療科の先生は当然溶連菌と思っているのでしょうか?聞きたいところです。

じゃあ、感受性に必要な抗菌薬は?と思いますが、外科だとABPC/SBT。皮膚科だとABPC/SBT。じゃこれもABPC/SBTが標準的な治療になってくるのでしょうね。それほどブロードな抗菌薬は不要ですが問題はoutpatientかhospitalized patientかなのでしょう。そう、緑膿菌のカバーをどうするのか?になってくるのでしょうが、じゃあ市中感染の場合は不要になろうかと思います。この場合は膿瘍の状態も肝心でしょうが、やっぱり、当たり前のことですが、検査する時の情報に入院外来の区別は必要ですね。

みなさん、菌がいくつ、どんな菌が居るか想像して下さい。

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コメント

興味ある症例ですね。
患者さんの情報をもう少し詳しく知りたいのですが、まず年齢と嗜好、活動性(寝たきり?)、透析を受けているということは糖尿病性腎症(かなり進行?)の方でしょうか?下肢のどの辺りの膿瘍でしょうか?(サイズも気になります)他に感染巣は?・・・このあたりが主治医の先生から提供されるとありがたいですね。
スメアは初心者の目から見てもおっしゃるとおり、polymicrobial patternですね。陽性球菌(clusterもchainもみえます)陰性桿菌(球桿菌と少し長めの桿菌)いろいろですが・・・
で、連鎖球菌となると壊死性筋膜炎?まずはデブリ?
そこまでは心配しなくてもよいのでしょうか。
緑膿菌も基礎疾患にDMがあれば外したくないのですが、いかがでしょう??

投稿: かけだしICD | 2007年12月11日 (火) 20時26分

かけだしICDさま
本日は当直です。周辺がインフルエンザの大流行地域のためさすがに忙しいです。

さて、追加情報の依頼がありましたので・・・
年齢は50歳。男性です。1型DMの腎症にてHD施行中。右下肢(踝)に潰瘍があり、今回は周囲の紅徴を認めたため他科受診になっています。大きさ?は特に記載なかったので・・・。
そういった情報があるに越した事ないのは確かです。ありがとうございます。私は気になる症例は全て聞くこと(聞くように指導)にしています。少し鬱陶しがられるかも?と思いながらですが、感心がある姿勢を貫いています。どうなんでしょうね?一応オーダーメイド医療の端くれとおもっておりますが。
壊死性筋膜炎などの症状は無く問題ないのですが、この手に良くあるのは蜂巣炎などになるでしょう。連鎖球菌が良く見えると思いながらスメアを見ることは肝心でしょうね。
CIDにも記載ありますが、緑膿菌なんかは培養待ちでも構わないのでしょうかね?

投稿: 師範手前 | 2007年12月12日 (水) 20時49分

Necrotizing fasciitisにはtype Iとtype IIがあります.
type I は "mixed infection caused by aerobic and anaerobic bacteria and occurs most commonly after surgical procedures and in patients with diabetes and peripheral vascular disease" ということなので,本症例が壊死性筋膜炎の臨床所見があれば,これに相当することになります.
腹部・鼠径に近ければ,Bacteroidesも考慮する必要があると思います.壊死性筋膜炎の所見があれば最初から緑膿菌もカバーした抗菌薬ではじめるべきでしょう.以前に血培からEnterococcusが出たこともありますので,これも要注意だと思います.
広域抗菌薬(カルバペネムなど)に,毒素産生作用を期待したクリンダマイシンを併用することもあります.一般的にカルバペネム+クリンダマイシンは意味がないといわれますが,数少ない例外の一つだと思います.

投稿: ID Conference管理人 | 2007年12月20日 (木) 22時45分

ID Conference管理人 さま

ありがとうございます。1型、2型の区別は重要な要素だと思いますが、緑膿菌が初めから標的になるのはどのくらいの確率なのでしょうか?
壊死性菌膜炎に関しては溶連菌やクロストリディウムが昔から教科書的に記載されていて、PCGの大量投与などが基本とされています。でも最近、非クロストリディウム性の壊死性菌膜炎も多く、大腸菌などが主な起炎菌になっている状況です。そういう意味でカルバペネムも第一選択として汎用されることもあるとのことでしょうね。
ところで、>毒素産生作用を期待したクリンダマイシンを併用
との記載がありますが、抗毒素作用の間違いじゃないですか?
CLDMは抗毒素作用以外にも、ペニシリンなどの抗菌薬の透過性(親和性)亢進、アポトーシスの軽減など6つくらいあります。先日から溶連菌の蜂巣窩織炎がこられる場合にABPCに加えてCLDM投与します。でもレセでカットされることもあると聞きましたが、保険審査員の方はご存知ないのでしょうか?聊か疑問に感じます。

投稿: 師範手前 | 2007年12月25日 (火) 10時49分

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