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2007年12月22日 (土)

腸腰菌膿瘍

本日は神戸西ブロックの薬学研修会で講演してきました。年末、しかもクリスマスイブ直前にも関わらず150名くらいの方が来られていました。非常に熱心極まりないと思いました。敬服します。

調剤薬局に勤務されている薬剤師さんが中心だったので、『抗菌薬使用時のポイント ~日常の疑問に応えましょう~』という内容で行いました。日常ICT活動を通して頂いている抗菌薬使用についての疑問難問などをまとめて紹介しました。特に調剤薬局さんなどは、依頼を頂いたまんまに処方するので、施設間の違い、診療科の違いなど疑問が多いと思います。

例:市中肺炎でLVFXを分3と分2と分1で処方されている現場の考え方

●300mg/分3/日⇒添付文章どおり

●400mg/分2/日⇒レスピラトリーキノロンを意識したPK/PDを考慮した用量用法

●400mg/分1/日⇒玄人好みのPK/PDを考慮した用量用法

解り易かったとお世辞も頂きました。世話人の方本当にありがとうございました。解消できたでしょうかね??

ところで、本日は奇怪な症例です。

『腸腰筋膿瘍』ですが、尿路や消化器に瘻孔などの交通もなく、菌血症になっていない症例(つまり、侵入門戸が不明)。

腸腰筋膿瘍の場合は、尿路や消化器に腫瘍性病変や感染性疾患、カテ感染のある場合の合併症として発生すると良く聞きます(記載されています)。でも原発で発生する場合もあります。原発の場合はS. aureusが多いかと思いますし、合併症の場合はその原発臓器の状態にもよるでしょう。

今回は原発性の腸腰筋膿瘍でしかもpolymicrobial patternを呈しているのです。CTやMRIでも見ましたし、手術しても筋膜内の占拠性病変のみで・・・。非常にレアだと思います。ちなみに血液培養は陰性です。

通常のintra-abdominal therapyを応用した形で、術後にABPC/SBT 1.5g・6h/日で開始です。洗浄もしましたが、悪臭も多く非常に大きな占拠性病変だったので、少し多目に投与しました。経過は良好です。本当にこういった文献検索も出来ない症例は困ります。料理と一緒で、味付けも応用なんでしょうね。

で、スメアから読み取れたこと

①バクテロイデス  ②腸球菌  ③大腸菌  は確実。あとは培養の結果を参照で・・・。

みなさんどうでしょうか?菌、読めますか?

600 ×1000

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コメント

はじめて投稿させていただきます。修行中の学生のものです。
いつもとても勉強になると感心しながら拝見させていただいていました。人の意見を聞くだけより、自分の意見も間違いを恐れずに表現していったほうが、議論の場が活発になり、自分にもより身につくのではないかと思い、コメントさせていただこうかと思います。

さて、スメアですが好中球の核が比較的ぼんやりとしており、やはり膿瘍のスメアという印象でいいのではないかと思います。菌に関しては、polymicrobial patternということで間違いないと思いますが、特にGNRの延伸化がみられ抗菌薬投与後のスメアだと思います。

2つ質問があります。
延伸化したGNRは形態的にFusobacteriumに似るのかなと時々思うのですが、スメア上で見分けるコツはあるのでしょうか。やはりFusobacteriumにしてはGNRの形態にばらつきがありすぎるのでしょうか?
GPCに関しても大小不同が見られますが、これは多種類の嫌気性菌が存在しているためと考えるべきなのでしょうか?それとも抗菌薬の影響が出て、例えば菌が膨大化した結果と捉えるべきなのでしょうか?
ご教授いただければ幸いです。

投稿: highgear | 2007年12月23日 (日) 06時59分

こんばんは。奇怪な症例ですね。
染色についてはpolymicrobaial pattern以上のことは分かりませんが(すみません・・・)、患者さんの背景について教えていただけませんでしょう?
免疫不全をきたすような基礎疾患があるのでしょうか?

投稿: かけだしICD | 2007年12月24日 (月) 03時52分

highgearさま
修行中の学生さんですか。色々と見るものが新鮮な頃ですね。グラム染色・・吸収習得して下さい。
>自分の意見も間違いを恐れずに表現
とありますが、このブログは活発な意見を言える場所にしたいので今後ともコメントお願いします。

>スメアですが好中球の核が比較的ぼんやりとしており、やはり膿瘍のスメアという印象でいいのではないかと思います。
そうですね。核がぼんやりしてるもの(右の2つ)があります。左のは核がやや鮮明ですが細胞質縁が明瞭でないですね。膿瘍は採取する場所によって異なる像が見られます。今膿瘍を活発に産生している膿の辺縁部分は新鮮な白血球、中心で古い膿瘍の場所は古い白血球が良く見られます。なので、膿と言っても幅広いです。皆さん出来るだけ新しいのを採取して下さい。

GNRの延伸化ですが、これは嫌気性菌の大きな特徴でもあります。確かに抗菌薬の前投与でもありますが、このように菌体の表面が凸凹している延伸は嫌気性菌を示唆します。抗菌薬の場合はもう少し伸びたーって像です。

Fusobacterimuですが菌の中心が膨化したものや縁が細くなった紡錘状のものがあります。ちなみに、この像からはFusobacteriumは示唆されません。少し嫌気性菌の鑑別に関しては以前の記事がありますので参考にして下さい
嫌気性菌の鑑別:http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_4142.html
Fusobacterium:http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_5bf7.html

>GPCに関しても大小不同が見られますが、これは多種類の嫌気性菌が存在しているためと考えるべきなのでしょうか?それとも抗菌薬の影響が出て、例えば菌が膨大化した結果と捉えるべきなのでしょうか?

この場合は嫌気性菌が多数のpolymicrobial patternなのでGPCに関しても複数菌存在すると考えて問題ないでしょう。好気か嫌気かは中々鑑別が難しいですが、嫌気性菌の場合は不染性があるので一つの鑑別になります。長細いのは恐らく腸球菌だと思います。

かけだしICDさま
コメントありがとうございます。
免疫不全ですか?家庭で生活されているだけですが、独身の高齢者のためやや栄養不良があったようです。アルブミンが低いのでNSTに相談もちかけて混合チームでみようとしています。それだけで・・・。DMはありません。

投稿: 師範手前 | 2007年12月25日 (火) 18時28分

師範手前様、ありがとうございました。
非常に勉強になります。今後もちょくちょくとこのブログ上で勉強させてください。

投稿: highgear | 2007年12月26日 (水) 07時25分

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