難治性の慢性中耳炎
たまにこんな症例を見かけます。難治性の中耳炎です。皆さん非常に困ると思います。
テキストを開いてみると、肺炎球菌やインフルエンザ菌のことが多く書かれていると思います。確かに急性中耳炎の場合には多い菌ですが、遷延する場合など緑膿菌を初めとするグラム陰性桿菌が多いと思います。特に耐性が強い場合はどうしようもありませんし、キノロン耐性であればそれこそ治療の幅が狭くなります。
セフェム?・・・・耐性は多い
アミノグリコシド・・・・耳鼻科領域では使い難い
などなどです。
写真は慢性中耳炎です。菌は判りますか?難しいでしょう。本当にこの菌が出た場合は難治難治です。ヒントはSTやMINOが感受性ですが、その他は耐性です。
そういった場合は消毒薬に頼るしかないと思います。
①オキシドール
②3%酢酸
③3%酢酸アルミニウム
問題になるのはこの菌含め、MRSAもそうですね。あとは苦肉の策でFOMやCAMなどのバイオフィルム対策でしょうか?
写真掲載しておきますね。
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コメント
こんにちわ。
拡大スメアでは、好中球がグラム陰性桿菌を貪食している様子が分かります。ただ私には、様々な形態のGNRに見えるのです・・・・。インフルエンザ桿菌のように小桿菌がパラパラ見えるものや、腸内細菌のようにしっかりした大きな桿菌、夾膜を持ったものなど。これらはもともとは1種類の菌だったけど、貪食・分解作用によって好中球内ではこのように見えると理解したらよろしいのでしょうか?
ということで、原因菌ですが、GNRで難治性、STやMINOが感受性だがその他は耐性、という情報よりStenotrophomonas maltophiliaが一番疑わしいと思います。
文中で「FOMやCAMなどのバイオフィルム対策」とあるのですが、具体的にどういったことなのでしょうか?もし参考文献などがあれば教えていただけますでしょうか?
よろしくお願いいたします。
投稿: highgear | 2007年12月28日 (金) 06時42分
highgearさま 続いてコメントありがとうございます。学生さんですがするどい回答ですね。日頃グラム染色を考えて見ている事が見えてきます。腸内細菌と見ないところなんかちゃんと見えてると思います。確かに染色性が薄いのが特徴ですが、これはHACEKやブドウ糖非発酵菌群の特徴でもあります。でもHACEKに比べ太い菌が多いためブドウ糖非発酵菌を疑います。難治性なんで緑膿菌なんか考えます。今回はマルトフィリアを想定しますが、緑膿菌より小さく、ややインフルエンザ菌に似ています。みなさん鑑別しましょう。
あとバイオフィルムの治療は色々ありますがFOMは細胞壁合成阻害の第一段階に作用するので以後キノロン→βラクタムで使用します。コツはFOM終了30後にキノロンやβラクタムを入れる事です。多剤耐性緑膿菌に対しては幾つか効果が認められてます。CAMはモチリン作用というバイオフィルム破錠作用を持ちます、RFP何かもあります。投与により塩基性に傾けてやることで併用抗菌薬の透過性を上げる作用もあるようです。ネットにもゴロゴロ落ちていますよ
投稿: 師範手前 | 2007年12月29日 (土) 16時56分
師範手前様、ありがとうございました。
バイオフィルムに関するこ内容はまだ自分にとっては「??」な状態なので、いろいろ調べてみようと思います。
毎回丁寧な対応をしていただきありがとうございます。
投稿: highgear | 2007年12月30日 (日) 07時07分