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2007年11月26日 (月)

学会終了しましたので、答え掲載します

学会無事終了しました。『感染症・症例カンファレンス ~症例から学ぶ情報共有のポイント~ 』は盛り上がったようです。

終了後のコメントとして、『現場では解らないことが多くすっきりした』、『情報共有で、コスト削減も出来そうです』など好評のコメント頂きました。頑張った甲斐もあったかと思います。

で、学会を明日に控えた初日に何人かの方には『答え早く教えて下さい・・・』と迫られたりしましたが、『お楽しみは明日』とかわしました。

当日、学会に参加できなかった方のために回答します。

穿孔性腹膜炎、特に大腸の場合は菌の検出率が100%、虫垂の場合は80%程度になるそうです。なんで、塗抹にしても培養にしても検出するのは当たり前で、穿孔時の腹水(膿瘍)の塗抹検査結果は急がないそうです(写真①)。便そのものなので当たり前と言っては当たり前です。

IDSAのGuidelines for the Selection of Anti-infective agents for Complicated Intra-abdominal infections には

穿孔時の検査では

  ①グラム染色は有用でない

  ②血液培養は推奨しない

  ③腹水は1箇所のみ採取で、5ml程度採取

  ④綿棒は嫌気性菌の検出率が低下する

  ⑤培養時は嫌気と好気で嫌気専用の容器で採取

と記載しています。なので、穿孔時の細菌学的検査は外科領域にとっては有用でない結果になります。良く考えれば『そりゃそうだ』と思うでしょう。

でも問題は、リークした場合です。

術後経過中に発生する、吻合部からのリーク(漏出)に関しては検査結果の有用性が高くなり結果は迅速に報告が必要です(写真②)。理由は穿孔時の検出菌と違うぶどう球菌や腸球菌などの耐性菌が出現してくるからです。今回のリークではBacteroides fragilisが出てきた症例でした。

穿孔時には腸内細菌+嫌気性GNRを標的とした抗菌薬の投与(CMZやFMOXなど)が開始され、グラム陽性菌には重点を置いていないようです。なので、術後経過中に発生した合併症でグラム陽性球菌の有無を迅速に確認することが必要になります。早く解れば抗菌薬の変更もスムーズに行きますね。

術後経過中に発生した合併症に対しては

  ⑥グラム染色は有用性が高い

  ⑦浸出液の持続や治療経過が芳しくない場合は血液培養と腹水培養

と穿孔時とは大分違う対応になります。

ようは、同じヒストリーの患者でも採取時期が異なれば検査に出している医師の考えも異なるので材料+診療科=培養結果と考えている細菌検査ではちんぷんかんぷんな対応になってしまい、臨床に役立つ結果は返せなくなります。材料+診療科+患者背景=培養結果が必要で付加価値の高い検査結果が期待できます。

ことに、情報共有が非常に大切になるのは必至でしょう。皆さんも情報共有を密にしましょう。

1 写真①

2 写真②

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