« polymicrobial pattern | トップページ | 食欲の秋、でもカンジダ »

2007年10月30日 (火)

えっ!?腸球菌の同定感受性本当にいらんの?

昨日は第2回抗菌薬適正使用セミナー(半日コース)に行って参りました。午前はレクチャー、午後はケーススタディでした。司会のID-CONFERENCE管理人さまご苦労様でした。

ケーススタディの中で『検査室の方も来られているでしょうが、スメアでMSSAとMRSAの判別は可能でしょうか?』という質問がありました。あたかも私に答えなさいと言わんばかりの質問のように受けましたので、勇気を出して手を上げ、コメントしました『血液培養ではCNSと黄色ぶどう球菌との鑑別が可能な場合もありますが、基本的に分別は難しい。特に血液培養で見るのは耐性菌かどうかは判別が無理で、喀痰などから出る場合は細胞壁の厚さ、染色の態度などを慣れた人が観察すれば可能な場合もありますが、基本的には出来ないと回答せざるをえません。』と。後々、追加で話すれば良かった・・・と思うコメントには『MRSAは院内で検出される黄色ぶ菌の70%程度、MRCNSは院内外問わず80%程度であるので、初期はVCMが妥当なのでしょう。』と。後悔しています。

ケーススタディでは外科の縫合不全による腹水から検出される腸球菌について少しディスカッションありました。外科の先生が何名か発言されていましたが、腸球菌は検出しても保存治療として経過観察することが良いということでした。(確かに上記のケースでは腸管内の菌が漏出してくる訳で、緑膿菌のリスクがない場合はβラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリンか3世代セフェム±CLDM or MNZの抗菌薬を投与するとのことでした。)培養結果も大切ですが、腸球菌に関しては検査室でE. faecalisかE. faeciumかの判断は不要になってくるとの解釈も可能で、種レベルの同定のみで本当に良いのか?と思いました。

聞いていて、『えっ、本当?』と思いましたが、ディスカッションの場は打ち切られてしまいました。残念です。

写真は結腸穿孔の患者の腹水です。他院ですでにCMZが入っていたようです。手術した時に継続して外科医が出してくれました。新鮮な白血球が多く、急性の炎症像が確認できる①割にはグラム陰性桿菌が見えません。『どこにいるの?』と探しましたが、見えたのはこれ②。CMZでは抗菌活性が足りないのでしょう、やはりグラム陽性菌が見えます。上記の事項を踏まえれば腸球菌なので、『極論は塗抹で腸球菌あり』というコメントのみで良くなりますね。

Photo ×400

Photo_2 ×1000

|

« polymicrobial pattern | トップページ | 食欲の秋、でもカンジダ »

グラム陽性菌」カテゴリの記事

コメント

私も一緒に、え~、本当、と思いました。

>他院ですでにCMZが入っていた
>新鮮な白血球が多く、急性の炎症像が確認できる
このようなケースを考えれば、腸球菌の同定感受性は必要と
思います。初期治療(CMZ先行なのでそういう言い方ちがいますか)E. faecalisかE. faeciumか同定できるまで、やはりVCMで、     E. faecalisならペニシリン系になるでしょうね。

外科的には、同定感受性必要ないエビデンスというものがあるのでしょうか。

投稿: 倉敷太郎 | 2007年10月31日 (水) 11時28分

いつも勉強させていただいています。
Enterococcus に関しては、IDSAより、Guidelines for the Selection of Anti-infective agents for Complicated Intra-abdominal infections というものが2003年にでています。www.idsociety.org よりアクセス可能です。それによると、Healthcare associated intraabdominal infection (つまり術後の腹腔内感染)で、Enterococcus がでてくると治療の対象になるそうです。Evidence はB-3と弱いですが・・・また、抗生物質の選択はその菌の感受性に影響されるとも記載があります。

また、このガイドラインは来年の春に改定されるそうです。

投稿: ちろー | 2007年11月 1日 (木) 07時47分

ちろーさま
Guidelines for the Selection of Anti-infective agents for      Complicated Intra-abdominal infections
ご紹介いただきありがとうございました、今後ともよろしくご教授ください。

投稿: 倉敷太郎 | 2007年11月 1日 (木) 10時40分

ちろーさま、はじめまして。
コメントありがとうございます。早速読みました。IDSAのガイドラインを忘れておりました。まだまだです。

本当にあの時のディスカッションの内容を解釈すると、リークした場合などは一生懸命に同定感受性を急ぐ必要がなかったのか・・・とネガティブな意見が出てしまう検査技師さんは多かったかもしれません。
本日外科の先生とお話していましたが、やはり同じ意見でした。
私も、ドレナージが良好に出来ていれば腸球菌に関してのスペクトルカバーは2次選択に過ぎないのでは・・・と最近感じています。外科医から言えば当たり前なのかもしれませんが、内科的な考えでいけばスペクトルカバーが必要な気がします。
つまり、カルバペネムまでもいかず3世代セフェム+CLDMが適当なのでしょうね。
2次的に効果が悪く、腸球菌のみしか残ってない場合に関しては、スペクトルを伸ばして検討しても良いものでしょうか?と感じました。
ちろーさま、この私のICTとしての考えは間違っていますでしょうか?良ければご教授下さい。

投稿: 師範手前 | 2007年11月 1日 (木) 19時24分

私も穿孔がある場合は、外科的処置が一番大切であると思います。いくら正しい抗生物質を投与しても穿孔が処置されなければ腹腔内の感染の治癒には至らないと思います。
現在でも腹腔内のEnterococcus infection はIDSA のガイドライン以外はスタンダードがない状態だと思います。Enterococcus しか生えてこない症例で、Enterococcus をカバーする抗生物質を使わなくてもよくなることもあるそうです。また、肝硬変の患者のspontaneous bacterial peritonitis やPeritoneal dialysis catheter によるperitonitis などでEnterococcus だけしか同定されないこともあることを考えると、Enterococcus だけでも腹膜炎も起こしえるということだと思います。ただ、腹膜炎の場合はEnterococcus より、グラム陰性桿菌と嫌気性菌をカバーすることのほうが大切なことは同感です。
長文申し訳ございません。

投稿: ちろー | 2007年11月 3日 (土) 10時00分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« polymicrobial pattern | トップページ | 食欲の秋、でもカンジダ »