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2007年10月22日 (月)

新生児の髄膜炎

本日から、先日より少しグラム染色の見方について相談受けていた内容について解説します。

患者は生後40日の乳児です。意識障害もあったため来院されて髄液から相談のスメア①が見えました。グラム陽性球菌、年齢など考慮すればB群溶連菌(GBS)や肺炎球菌、ぶどう球菌が想定されますよね。そこで、質問を受けた内容ですが、『GBSだという確証はこれで得られるのか?』です。

GBSのスメアでの形態ですが、私論ですが

(1)GBSは大きさ、染色性などはぶどう球菌と意外にも類似している。

(2)連鎖は少ない(2-10連鎖)が、腸球菌とは形が違う(腸球菌は長細い)。

(3)A群やG群溶連菌より一回り大きい。

(4)肺炎球菌より丸い。

推定を踏まえたスメア①に見る、師範手前の結論。

合併症もなく、単純な髄膜炎のみで1菌種しか確認できないこと⇒年齢的に肺炎球菌も覆いが、GBSの可能性もある⇒ぶどう球菌に菌体が類似しているのでGBSの可能性大⇒ラテックス試薬による整合性も必要ですが、髄液直接の肺炎球菌の尿中抗原陰性。

⇒GBS濃厚!!!

また、当院貯蔵のスメアとの比較(血培、膿瘍、髄液)をしました(スメア②)が、今回相談受けた菌の染色像は当院の血培と類似している像になりました。上述しましたように、GBSはやや丸くてぶどう球菌(特に黄色ぶ菌)と見間違えるが、多形成になり連鎖球菌とも採れる像になることからGBSと判読可能かと思われます。

下に写真と解説掲載しておきます。

Gbs_3 スメア①Gbs_4

スメア②

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グラム陽性菌」カテゴリの記事

コメント

師範手前さま、お久しぶりです。
>患者は生後40日の乳児、意識障害もあったため来院されて髄液からグラム陽性球菌

生後40日の乳児であれば、まずB群溶連菌を疑いますね。
好中球多数認められますが、意外と菌はちらほらだったのでしょうね。
スメア①では肺炎球菌を思わせる双球菌状もみとめられますが、生後1ヶ月ぐらいから肺炎球菌も原因菌の1つに入ってきますね。この2つに絞った鑑別になってくるでしょう。

私も、師範手前さまと同じ推定方法になると思います。
GBSはブ菌と大きさ、染色性が似ています、が、これは連鎖状を思わせるスメアなのでブ菌は除外できるように思います。
また、ブ菌による乳児の髄膜炎は少ないと思いますので、連鎖球菌を疑います。

・髄膜炎で合併症も無く、1菌種のみを疑い、連鎖球菌。
・年齢的にGBSを疑うが、肺炎球菌もはずせない。
・しかし、ブ菌に染色性・菌体が似ているので、GBSの可能性大。

参考までに、当院2006年の33週付近での妊婦さんGBS保有率ですが、6.9%でした。

投稿: 倉敷太郎 | 2007年10月23日 (火) 16時08分

倉敷太郎さま
相変わらず的確なご指示ありがとうございます。
新生児のGBSですが、当院も昨年2例経験していますが、ここ10年では4例の経験です。昨年のはどちらも血清型がⅠbでした。当院ではなく他院から救急転送のあった患者ですので院内感染ではありません。

GBSの像ですが、技師の皆さんに色々言っていますがマニアック過ぎるのでしょうか?納得される方居なかったので感動しました。ありがとうございます。連鎖球菌の菌種判定・・・。必要だと私は思いますが。

さてGBSの検出率ですが、私もライフワークとしてのサーベイランスをしています。昔は今と違いGBSについての研究をしている方は少なかったのですがこと最近は多いですね。

2000年のサーベイでは平板法(血寒)で6.38%陽性でした。昨年は液体法も追加してしましたが、平板法では11.0%、液体法は13.6%でやはり液体法の方が検出率が多かったように思います。液体法はナリジクス酸+ゲンタマイシンの方がコリスチン+ゲンタマイシンより良かったです。CDCのガイドラインのデータと少し乖離しています。本邦では少し違うのでしょうか?感受性の問題?少し調べます。
血清型は以前はNT6とJM9が多かったのですが、5年以上経過してパターンが少し変化しました。Ⅲ型がまた増加している気配です。危険です。

投稿: 師範手前 | 2007年10月23日 (火) 20時15分

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