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2007年10月10日 (水)

コリネバクテリウムってのは

今回は少し臨床の状況が把握できなければ菌の同定やグラム染色の見方が難しいと感じた症例です。

32歳、男性。1型糖尿病あり。2ヶ月ほど前から右ひじの関節痛を訴えていました。昨日、右ひじ部の腫脹と発熱が酷くなり救急外来受診。右ひじの関節液を穿刺しました。夜間であったため、翌日の外来で『グラム染色の所見を教えて・・・』と整形外科から。

糖尿病とひじ関節の腫脹が酷かったので、穿刺したあとにチエナムを投与したとのこと。

基本的に経験的治療は必要ですか?とつい聞いてしまいましたが、患者の苦痛が予想以上に酷かったようです。やはり、こういう場合は初期からチエナムはどうか・・・と。

まあ、ぶどう球菌見えるかな?と思い、スメア見てみると・・・、グラム陽性桿菌が多数でしかも貪食あり。つまり起炎菌と判断できますが、それに懲りずに詳細まで見るとぶどう球菌様の陽性球菌も確認できました。

グラム染色の報告は『ぶどう球菌が見えます。あと・・・、皮膚常在菌と思しきコリネバクテリウムが多数、しかも貪食あるので、2つとも起炎菌と思います。』、整形外科からの返答は衝撃的なもので、『腫脹を繰り返し、痛いから本人が自分で良く穿刺して抜いているそうです。』とのこと。聞かないと混乱を招くことでしたが、聞いて良かったと思う症例です。

培養の結果は①Corynebacterium species,②MSSA

しっかりと排膿したのでMSSAのみ標的治療(CEZ1g,8時間ごと)しフォローして軽快されました。こういう場合はコリネバクテリウムの病原性が低いので抗菌薬はカバーしなくても治癒するもんですね。

教訓染みていますが、1菌種が多数見えたからと言って、短絡的に単一菌と思うのは危険ですよ。

6002 ×1000 (コリネバクテリウム)

600 ×1000 (ぶどう球菌(MSSA))

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