嫌気性グラム陰性桿菌って言っちゃって良いでしょうか?
今回も相談の症例です。嫌気性菌と言いたい症例ですが、
まず、嫌気性菌と言っても大腸菌のような通性嫌気性菌からバクテロイデスのような偏性嫌気性菌まで居ます。『えっ?大腸菌が嫌気性菌?』など言ってはダメですよ。嫌気条件でも好気条件でも発育できる菌ですので、一般的に好気性菌として認識されているだけです。偏性嫌気性菌が=嫌気性菌として認識されているに過ぎないので、分類学的には正確には違います。
今回の相談では『先日、血液培養瓶が1本だけ陽性になり染色しました。1本って言っても嫌気性の方です。嫌気性菌と言い切りたいところですが・・・、自身が無くて。』私に任せてください。解説します。
嫌気性菌の特徴は昨日のブログhttp://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_d5f0.htmlで紹介しましたが、陽性球菌では不染性が特徴です。でも陰性桿菌ではどうでしょうか?
嫌気性グラム陰性桿菌の鑑別を書きますが、
①腸内細菌のようにしっかりと染色されない。どちらか言えば緑膿菌などのように少し薄い染まり。
②多形性(長短、細太)を示す菌が多い、バクテロイデスは特徴的。フソバクテリウムなどは縁が細い(紡錘形になることも)。
培養時間が長いという情報も大事ですが、グラム染色の状態のみで観察することは情報不足でも判別可能です。
今回のスメアはバクテロイデスですが、まさかバクテロイデスが出てくるヒストリーではない患者からの検出でしたが、良く見れば可能です。トライしてみましょう。
一応類似の菌と一緒に並べてみました。違いを見てください。オタク過ぎますか?
他のバクテロイデス
① http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_824a.html#comments
② http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_11ce.html
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