横隔膜下の膿瘍
85歳女性。肝臓がんの手術目的で来院。手術後経過良く、留置していたドレーンも5日で抜けました。術後8日目腹部に、術創部分を中心に圧痛を伴う、紅斑性病変があり。エコー所見で横隔膜下部に膿瘍形成を認めたため、穿刺して培養に提出しました。穿刺して排膿すれば解熱し、患者の状態は落ち着いていて、ICTで介入しましたが、VCMの投与を直ぐにせず、感受性でるまで保存療法になりました。
どうなんでしょう?保存療法も現段階では良いのでしょうか?
ちなみにWBC数は11700/μl、CRP5.0mg/dlでした。さあ、どうでしょう?起炎菌は何でしょうか?出来れば、炎症の状態や起炎菌の順位付けをすれば面白いかもしれません。
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コメント
師範手前さま
トマツからでは、それほど激しい炎症ではないように思われます。
また、ブドウ球菌のみ認められているようです。術後の縫合不全による横隔膜下膿瘍が生じたのでしょうか。
検出頻度では、皮膚常在菌など(S,aureus,CNS,Enterococcus,
Peptostreptococcus)グラム陽性球菌が半数を占めるとものと思います。
>どうなんでしょう?保存療法も現段階では良いのでしょうか?
エコー下での排膿がしっかりできれば熱は下がるでしょうね。
抗菌薬の使用は急ぐ必要ないと思われます。必要なら、感受性の結果から再考すべきと考えます
投稿: 倉敷太郎 | 2007年10月11日 (木) 17時06分
この膿瘍はドレン感染に伴うものと思われます。逆行性感染かどうかの判断が必要になってくるのではないでしょうか?
炎症像は激しい炎症ではない=新たな炎症細胞が少ないと判断できるでしょうか?確かにやや古い白血球が混じっています。ことにこのような膿瘍では新旧の白血球が入り混じるものです。
やはり抗菌薬は感受性検査出てから、というよりMRSAのスクリーニング培地を入れておくだけで次の日VCMにするかCEZにするか選択できるような気がします。
投稿: 師範手前 | 2007年10月11日 (木) 20時40分
>逆行性感染かどうかの判断が必要になってくるのではないでしょうか?
その通りです、ドレインからの逆行性感染の判断は必要ですね。術後感染症の中の術野感染症(SSI)なのでドレンーン感染は重要になりますね、うっかりしてました。
投稿: 倉敷太郎 | 2007年10月12日 (金) 17時35分