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2007年9月10日 (月)

塗抹成績が合いません

今日は塗抹と培養の成績について考えます。

患者は肝臓がんの放射線治療をしていましたが、発熱が続くので血液培養を実施してもらいました。培養では肺炎桿菌が出てきました。肝臓には膿瘍形成できないような大きな膿瘍様の浸出液しか採れませんでしたが、やはり肺炎桿菌

SBT/CPZで治療開始していましたが、中々軽快しません。やはり排膿が上手くコントロールできないとね。

数日後排膿が良好に出来るようにまでなり、発熱もコントロールできるようになりましたが、再度発熱が持続です。腫瘍熱?とも思いまして再度膿瘍の培養をしてもらうように主治医と相談しました。とりあえずグラム染色はこのようで、グラム陰性桿菌も見えています。

『主治医は抗菌薬は効いているのかな?』と言われていましたが、『スメアより菌数の減少も見られているので効果があると思いますよ・・・』と返答しましたが、次の日培養から『腸球菌が少数のみ・・・。』昨日のスメアって・・・・と主治医に言われましたが、一応返答しました。

みなさんならどう返答します?細菌検査していて、膿瘍なら良く経験しますよね。

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グラム陰性菌」カテゴリの記事

コメント

コメント難しいでしょうか?塗抹培養の成績が合わない場合は検査室はどのように返答しているのですか?また、主治医は何と理解されているのでしょうか?今回のお題です。

投稿: 師範手前 | 2007年9月11日 (火) 22時08分

師範手前さまおつかれ様です。
>塗抹培養の成績が合わない場合は検査室はどのように返答しているのですか?
当初グラム陰性菌対象のS/Cによる抗菌治療のため、腸球菌まではカバーできていない可能性があるように思います。これは仕方のないことのように思われます。
今回の細菌性膿瘍では、もともと肝臓癌の放射線治療ということで、胆管の一部狭窄、または、完全な胆管の上行性胆道炎(胆道感染)により生じた膿瘍のように思えます。このような場合の膿には好気性グラム陰性桿菌である肺炎桿菌や大腸菌がメインとなるように思われます。再度培養で検出された腸球菌が(少数)再発熱の原因かどうかは分かりませんが、もし、レンサ球菌をカバーするのであれば、SBT/ABPCかTAZ/PIPCなど使えそうですかね。
>肝臓には膿瘍形成できないような大きな膿瘍様の浸出液しか採れませんでしたが
すこし表現されていることと、私が思い違いしているかもしれませんが、肝臓がんの放射線治療をされていた方で、腫瘍が異常に強い崩壊現象を伴なっている場合と、治療による顆粒球の減少による発熱の関連はいかがなものでしょうか。
>また、主治医は何と理解されているのでしょうか?
確かに培養は当てにならないような印象をもたれるのではないですか。
このような重症の患者さんの場合、電子カルテ上(当院)での患者さんのバイタルなど検査技師としても臨床所見をできるけ把握して、主治医とコンタクすることは細菌検査を担当する以上避けて通れないことと思います。
答えになっていないかも分かりませんが、やはり難しい事は多いと思いますが、日ごろからの対応、姿勢もやはり必要ではないかと思います。

投稿: 倉敷太郎 | 2007年9月12日 (水) 18時05分

倉敷太郎さま
コメントありがとうございます。
そうですね。こういうときこそ検査と主治医なり、病棟なりの連携が上手く行けば行くほど良好なアウトカムが期待できるのでしょうね。

ポイントをいくつか整理しますが
①塗抹で見えていない腸球菌が検出された
>塗抹検査の感度が臨床に理解されていない可能性がある。

②塗抹で見えたはずの陰性桿菌が検出されていない
>何でも見えたら発育すると理解されている可能性がある。

普段からそういった事例に対しての理解が必要のように思われます。
もう少し継続してコメント待ってみます。
皆さんお願いします。

投稿: 師範手前 | 2007年9月12日 (水) 20時16分

グラム染色で見えていて,培養で生えないというのは,要するに「最初から死んでいたか途中で死んじゃった」ということだと思います.個人的には膿汁内に抗菌薬が含まれていて,培養中に死んじゃってるんじゃないかと思うのですが...

で,SBT/CPZがカバーしていない腸球菌がごくわずかにいたんだけど(ゆえに塗抹で見えない),培養すると増やされて生えてきた,というわけですね.

こういうケースで腸球菌が悪さをしているかどうか,答えは出ていません.でも生えるようならやはりカバーした方がいいのではないかと思っています.

最近経験したケースですが,腎臓手術後に血液培養でクレブシエラが陽性になりました.でも,術部のドレナージではクレブシエラ以外に4種類くらい菌が検出されました.血液培養だけで考えると「血流に乗りやすい菌だけを治療して,他の菌を外してしまう可能性」があるな,と反省しました.

投稿: ID conference管理人 | 2007年9月13日 (木) 23時15分

師範手前さまおつかれさまです、そういう意味だったのですね。
>塗抹検査の感度が臨床に理解されていない可能性がある。
トマツでかならずしも全て観えるわけではない、培養ではじめてその菌の存在がわかることもしばしば。
>何でも見えたら発育すると理解されている可能性がある。
もちろん嫌気性菌は好気培養では生えないのだが、それ以外の菌でも経験することあります、この場合はできるだけわかりやすくコメントを残す必要はありますね。

感度の問題ですが、例えば、尿のトマツと培養では、トマツをできるだけ厚く作っても、実際培養陽性(10^4/ml)でも、菌がトマツで認とめられないことはよくありますね。
故に、10^3/mlぐらいの菌量だと培養陽性でもトマツ上見えなくても仕方のないことと思います。

文化の違い感じられましたか、わたしも3年間ほど多人種が多い、
とある国で仕事しましたが、大変でした。

投稿: 倉敷太郎 | 2007年9月14日 (金) 14時32分

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