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2007年9月20日 (木)

こんな膿胸珍しいかも

本日はこんな症例です。

78歳男性です。悪性リンパ腫を基礎疾患にもち、気胸がありました。

突然の発熱と呼吸困難で来院し、そのまま入院。CRXとCTで気胸側の膿胸を疑い、穿刺。ドロドロの胸水が採取されました。胸水は悪臭もなく、茶褐色のものです。その時のスメアです。菌がうようよいます。ギムザ染色もしてみたので同時に掲載しますが、菌が上手く染まらないようです。この菌の特徴でしょうか。

スメアは好中球がいっぱいです。ギムザでは単球も見えますが中皮細胞はありませんね。典型的な膿胸のスメアになろうかと思います。

どうでしょう。とりあえずCTRX2g/分1/日で開始です。

600_2 ×1000

Photo_2 ギムザ染色

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グラム陰性菌」カテゴリの記事

コメント

全く自信がないのですが、もしかしてKlebでしょうか?

典型的な染色像ではないと思うのですが、たまに尿などの検体でこういう染まりかたをする菌に遭遇し、翌日Klebが培養で検出されることが多いように思います。

的はずれな回答でしたら申し訳ありません。

投稿: | 2007年9月20日 (木) 23時24分

すみません。上記のコメントで名前を入力し忘れてしまいました。
ご指導お願いいたします。

投稿: 半人前 | 2007年9月20日 (木) 23時26分

私も半人前さんと同じでKlebsiellaを一番に疑います。

陰性の桿菌で、その他の腸内細菌と比べて濃い染色が特徴的です。しかし芽胞のように多くのの菌体で染色が抜けているのはなぜなのか分かりません。本当にギムザ染色では見事に抜けていますね。抗菌薬を使用している患者さんなのでしょうか、しかし、形体的には(フィラメント状・スフェロプラスト状・バジル状)変形したものは認められませんね。

投稿: 倉敷太郎 | 2007年9月23日 (日) 11時39分

半人前さま、倉敷太郎さま
そうなんですよ。菌の形でわかりますかね。検出された菌はKlebsiellaでした。菌の形状で分かるのでペニシリン系はタブーですよね。
気胸→膿瘍→ABPC/SBTになるのでしょうか?Klebsiellaなのでどうなんでしょう。初期はCTRX?ブロード過ぎるのでしょうか?ただ、ABPC/SBTの効果は少し緩やかな気がしますが。

でも、何でこのような染色になったのか不明です。抗菌薬の前投与はありません。ギムザでこう染まるのは初めて知りましたよ~。グラム染色ですが、良く見りゃ莢膜あります。見えますか?

投稿: 師範手前 | 2007年9月24日 (月) 00時18分

クレブシエラだとは分かりませんでした.もっと修行します.

さて,症例のストーリーがよく分かりません.78歳男性で悪性リンパ腫を基礎に持つところまでは良いのですが,気胸も「既往歴」なのでしょうか?だとしたらいつ頃の話なのでしょうか?それとも現在,チューブが入っているのでしょうか?あるいは入っていたのでしょうか?そのあたりに発症機序が隠されているような気がします.

気胸→なかなか肺がふくらまない間に膿胸を合併(多くは体外から創部を通して菌が侵入して)ということはよくあると思いますが,反対に膿胸の原因として必ずしも気胸は必要ないように思います.気管支瘻などができると,気管支側から菌が胸腔に出て行って膿胸,ということはあると思いますが,その場合は痰がゼロゼロです.

何か,詳細情報はありますか?

投稿: ID conference管理人 | 2007年9月24日 (月) 23時54分

ID conference管理人さま
今回の発症機序は難しいところです。まず腸内細菌での膿胸がこのように急激に起こるかどうかも悩ましいものです。
肺膿瘍に関しては気胸がキーポイントになっていると思いますが、悪性リンパ腫により壊死した肺組織に嚥下障害による菌が侵入したことで今回は膿瘍形成していると判断します。確かに気胸もそこからなっていると思われます。ろうこうは確認できていませんがCT上では無いようです。痰はそんなにゼロゼロしていないです。悪性リンパ腫のためステロイドも併用しているようでその影響もあるようです。
ただ、一般には口腔内の常在菌が多く起炎菌として検出されますが、今回の菌は少し珍しいかもしれません。
検査室で検体の授受だけしていると非常に情報が少なく困りますがICT活動を通して情報を多く収集し菌検査の結果が出せるよう最大限に検査しています。やり過ぎ?とも思われますが・・・。

投稿: 師範手前 | 2007年9月25日 (火) 23時21分

ちらりと検索してみましたが,K.pneumoniaeによる膿胸は意外に多いようです.

http://www.chestjournal.org/cgi/content/full/117/6/1685

投稿: ID conference管理人 | 2007年9月25日 (火) 23時54分

ID conference管理人 さま
興味深い文献ありがとうございます。早速読みました。
サンフォードガイドにもK. pneumoniaeが25%程度あるとの記載がありましたが、少しキョトンとしていました。

投稿: 師範手前 | 2007年9月27日 (木) 22時28分

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