こういう場合は菌名を迅速に報告するのでしょうか?
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コメント
師範手前さまおつかれ様です。
塗抹ですが、薄く粘液物質が染色、一見莢膜様ではあるが、莢膜はグラム染色では不染ですよね。菌の形態からはやや弯曲したものや、菌体も細い感じにのように思われます。
背景ですが、白血球は認められず、見事に単一菌だけなのでしょうか。菌交代現象も疑われます。
私としてはやはり、Pseudomonas aeruginosaを一番に疑います。
>こういう場合は菌名を迅速に報告するのでしょうか?
集中治療室でもあり院内感染対策上、推定菌として主治医に報告すべきと思います。
現在の状況は、コロナイゼション程度の様にみられますが、いかがでしょうか。
投稿: 倉敷太郎 | 2007年9月10日 (月) 17時00分
倉敷太郎さまの意見に感銘を受けます。
私緑膿菌を疑います。
また,炎症細胞が出現していませんので,ホスト側の問題よりも,このグラム陰性桿菌が何処から出現しているのか確認する必要があると思います。
やはりこの場合は,きちんと人工呼吸器の管理ができているのか確認するため,ICMTの出番かもしれません。
たまに早とちりもありますが^^・・・
投稿: 先生 | 2007年9月10日 (月) 19時15分
倉敷太郎さま、先生さま、コメントありがとうございます。
さすがに簡単過ぎたようですが、簡単なものほどピットホールに陥る場合がありますのでいつも注意しています。
さて、今回の症例に関してですが・・・
JAMA Chastre et al. 290 (19): 2588.やChest 2006;129:1210-1218. にも記載ありますが、このようなケースでは高頻度に緑膿菌の検出や感染がありようです。特にChestの文献では抗菌薬の投与が遅れた場合は死亡率が上がるとの報告もあります。
その場所(部門、部署)で多剤耐性緑膿菌が蔓延している時には予め予防線を張っておくのが良いかもしれませんね。
患者の状況をICTで詳細に確認している場合は、CPU画面で菌名のみの報告で良いと思いますが、確認できていない場合は取り敢えず状況を主治医に確認するのも良いかなと思います。オーバーな報告をしても患者さんには損はないでしょうし。
投稿: 師範手前 | 2007年9月11日 (火) 22時04分
初心者ですが、いつも楽しく勉強させて頂いています。今までのコメントの流れとは違うのですが、線毛上皮が出てきたので、線毛上皮が観察された場合の解釈について、教えてください。当院では喀痰や副鼻腔開孔部からの鼻汁の検体で線毛上皮を認めることが時々あります(毎回、認めているわけではありません)。線毛上皮が認められるというのは、病態を解釈する上で何かの指標になるのでしょうか。例えば剥離が進みやすいということで咳込みがひどい病態であるとか、副鼻腔炎でも後鼻漏がひどいとか、臨床症状と関連はあるのでしょうか?あるいは、検体の採取方法や標本の作製に左右されるのでしょうか?それとも、それほど、気にとめなくてもいいとか。自施設では解決できないのでご教授下さい。
投稿: 耳鼻科薬剤師 | 2007年9月13日 (木) 22時36分
耳鼻科薬剤師様
私は,マイコプラズマなどで気管支の炎症が強いと喀痰中にそのような繊毛上皮がたくさんみられる,と教わりました.本当かどうかウラはとっていません.
なお,この繊毛上皮,イキがいいと,痰のなかでくるくると動き回ります.あたかも鞭毛虫のような寄生虫のような振る舞いをします.このせいで一度,ある病院で病院全体が大パニックに陥いり,相談を受けたことがあります.
投稿: ID conference管理人 | 2007年9月13日 (木) 23時18分
遅レスですが、
これって、白血球が乏しいと言うよりは、炎症が強すぎて白血球が崩壊しているんじゃないでしょうか?
崩壊した白血球らしきものと、背景全体が崩れた染色質が敷き詰められた感じに見えます。
ARDS(orプチARDS)の合併はないでしょうか?
投稿: ドロドロ専門医 | 2007年9月17日 (月) 13時39分
ドロドロ専門医さま
そうなんですよ。白血球が乏しいというより崩壊しているもの・・・。そうともとれます。特にARDS時には本当にこのような像も確認できます。ただ、今回問題にしているのは菌名の早期報告になろうかと思います。つまり緑膿菌と迅速に判明できる場合にはどのような報告が良いのか考えたいというより皆さんの意見はどうか知りたいと思いました。スメアからはARDSは判らない状況になろうかと思いますので、最終的に気になれば連絡するのが双方(提出医と検査室)のメリットとなることは間違いないようですね。
投稿: 師範手前 | 2007年9月18日 (火) 16時40分
呼吸器感染症では、抗緑膿菌作用のある抗菌薬を使うか否かという判断材料になるので、形態的に緑膿菌の可能性が高いときには迅速に報告していただければありがたいです。
特にVAPでは、早期VAPと晩期VAPは起炎菌が変わるので、その判断を培養で待つよりは、染色で迅速に判断して、先制的に叩くのが有効な印象がありす。
具体的には、1)抗緑膿菌作用のある抗菌薬を使用の決定、2)抗MRSA薬の使用の決定、の2点です(他にもいろいろありますが)。
自身でしたら、例えば「鏡検上GNR(++)、形態的には緑膿菌様、貪食はPMN崩壊しており不明、同定は24時間後で感受性報告は2日後見込み」と報告があれば助かります。
投稿: ドロドロ専門医 | 2007年9月21日 (金) 00時05分
ドロドロ専門医さま
コメントありがとうございます。安心します。
やはり菌名の報告はどんな病状でも報告する方が良いのでしょうかね?ただし、今後急変など考慮される患者でも必要ですが、外来のみの本当に軽症で、じっくり見ないと菌名が確定できないのは慎重にするため培養を待つほうが良いのかなとも思います。
この患者に関しては迅速に報告するのが良いのですね。
フムフム。
投稿: 師範手前 | 2007年9月24日 (月) 00時21分