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2007年9月28日 (金)

金属カチオンの影響

掲載しようと思いつつ忘れていました。

先日、うちのICTメンバーの薬剤師から面白い情報が送られてきました。

内容は『ニューキノロンと金属カチオンの併用による吸収阻害』

どうやら、Al、Mg、Ca、Feと一緒にキノロンを服用すると良くないようですね。

原因はNQと金属カチオンの難溶性キレート生成、物理的吸着など。

対応策としては

①NQを先に服用した場合 → 2時間以上あける(NQの吸収が速いため。)
②金属製剤を先に服用した場合 → 3~6時間あける(金属製剤は胃・腸管でほとんど吸収されず、消化管に残存しているため。)

③金属カチオンを含有しない他剤に変更。

になるそうです。勉強になります。

組み合わせ次第では、Cmax、AUCが10%以下に低下するケースもあるそうです。もともと、シプロキサンは空腹時での牛乳、Ca強化ジュースとの同時服用でも明らかな吸収低下が認められているため、同時服用は避けるべきである。ただし、食後の同時服用はOKのようです。

少し計算してみたので紹介します。

ex)クラビットの場合(単位は全てμg/mlです)

クラビットの薬効評価はAUC/MICになりますので
300mg/分3でAUC 21.9μg/ml
300mg/分1でAUC 28.9μg/ml
400mg/分2でAUC 35.2μg/ml
になるので
MIC 0.5μg/mlの菌であるとそれぞれ43.8、57.8、70.4になり、
MIC 1.0μg/mlの菌であるとそれぞれ21.9、28.9、35.2になります。
健常成人であればAUC/MIC>25で効果がありますが、免疫不全者(腫瘍、糖尿病など)あればAUC/MIC>125日必要といわれていますので、肺炎球菌のLVFXのMICは0.5程度になるので、肺炎球菌性肺炎などではカバーしきれない状態になります。
今回のAUC低下した場合を考慮すれば
水酸化アルミニウム1g→30.76
酸化マグネシウム1g→15.3
硫酸鉄1g→9.8

となり、服用の順番間違えた場合は水酸化アルミニウムで辛うじて有効域に達することになるのでしょう。怖いですね~。

本日のスメアは骨盤内膿瘍です。やはりBacteroidesらしき多形の陰性桿菌が多く見えますが、陽性の連鎖球菌も見えます。重症化はしないようなので抗菌薬はABPC/SBTか、CMZまたはFMOX、CTRX+CLDMでしょうか?いくつも選択肢がありますね。でも白血球は少し古く核があまりキレイでないようです。重症化していないところ見ると、慢性的に膿瘍形成されてきたかもしれませんね。症状とスメアが少し合います。

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2007年9月27日 (木)

尿の培養はきっちり採ってください

先日ICTから研修医向けに指導した内容です。当院の救急は2次救急が主体で、非常に忙しいです。血液培養の提出も多く賑わっています。血液培養陽性の多くは胆管炎と腎盂腎炎です。当院は発熱があると血液培養を採取するオーディットをチェックするシステムがありますので血液培養はコンスタントに採取してくれます。

最近少し気になるのが、急性腎盂腎炎の患者で血液培養は採取するのですが、尿培養を採り忘れる例が散見されるので『尿培養をきっちりと採取して下さいね!!』と指導しました。理由は、急性腎盂腎炎の場合に血液から検出される菌と尿から検出される菌の整合性を見るからです。尿路感染を疑いなお且つ発熱もある場合(CVA殴打痛+もそうですが)しっかりと尿培養も出して欲しいものです。前立腺炎も考えられる場合もありますし、他に大切な疾患が隠れているかもしれません。鑑別診断が難しくなることも考えられます。また、翌日に泌尿器科診察もスムーズに行くことが考えられますし。メリットは大きいです。

普通の病院であれば血液培養は忘れるが、尿培養は忘れないことが多いと思います。当院は反対です。ユニークかもしれませんが。尿沈渣で菌が見えたからなどという理由で、つい忘れてしまうこともあるようです。中間尿なので尿沈渣の場合はコンタミがどうかの判断も付きにくいと思うのですが、そういった教育もICTで必要でしょうかね。ちなみに、男性は普通に採取すれば良いのですが、女性はカテーテル尿が正確に検査できるそうです。

写真は先日、尿路感染を強く疑い血液培養陽性者のスメアになります。肝心の尿培養は採取出来ていません。培養の結果A群溶連菌でした。

えっ?A群溶連菌の腎盂腎炎?と思いサマリーを見ますが、患者背景からは伺えません。他の疾患はないか探しますが不明。『ちゃんと尿培養採取しておけば・・・』悔やまれます。

あるガイドライン見ていましたが治療期間です。

①女性の単純性膀胱炎・・・3日間

②男性の単純性膀胱炎・・・7日間

③急性腎盂腎炎・・・14日間

えらい違いです。的確な治療を遂行するにはちゃんと材料採取をするのが必然と思う症例です。

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2007年9月25日 (火)

こんな腎盂尿です

86歳男性。脳梗塞の既往ありです。特に入院履歴やMRSAの保菌者でもありません。発熱と呼吸困難があり入院。入院時の検査で腎盂腎炎の合併もあり。とりあえず血液培養を採取し、腎盂尿も採取しました。一部閉塞っぽくなっていたようです。エコーとCTでは腎盂腎炎のみで腎盂には膿瘍もないようです。合併症は一応R/Oです。呼吸器症状は入院後改善。

まずはグラム染色ですが、こんなスメア見えました。研修医から尿路感染症につきABPC/SBT 3g/分2で開始したいのですが・・・と相談受けました。このスメアなのでVCMから開始したらどうでしょうか?と提案して、翌日MRSAスクリーニング検査陰性です。MSSAの疑いが濃いと報告したら、何故かABPCに変更されていました。

この事例に対して、感受性検査結果が未だ出ていませんが、ICTで相談してのコメント

『黄色ぶどう球菌はペニシリナーゼ産生のためPCGやABPCは無効なことが多い(20〜50%位は感受性)』

『GMの追加投与も必要か?でも腎機能が低下していると使い難いですね。』

『推奨はCEZ』

この後、投与量を詳しく言わなかったのですが、『time above MICを考慮してCEZ4g/分4/日で開始しました・・・。』となっていました。腎機能は一時的な脱水により血清Creも高かったのですが、輸液で改善傾向にあったことから『菌血症を伴う急性腎盂腎炎の場合はCEZ3g/分3/日で良いです。』とコメントし投与再設計。

多分腸内細菌だったらこんなこと無かったのでは・・・と感じています。

珍しいと言っては珍しいですよね。

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2007年9月22日 (土)

簡易グラム染色アトラス

今日は出血大サービスという広告などよく見かけますが、『出血』とは『鼻血』にかけていることで、業界用語では『鼻血が出るくらいの際どいサービス』のことで『ばっちり商売させてもらいます』とのことです。大阪弁では『ええ、あんばい』になるのでしょうか?

話は変わりますが、個人的に最近はまった書籍にあ『新しい単位』ってのがありますが、そこにはゴージャスさの単位について書かれています。ゴージャスさの単位の基本=1pnpと規定して、世の中のゴージャスさについて計っています。1pnpは『1パイナポゥ』と発音します。意味はカクテルパーティーで、一人だけカクテルに生パイナップルがささっているゴージャスさを1単位にしています。非常に衝撃を受けました。例えば天井にシャンデリアがあるゴージャスさは69pnp、ヤンキースの松井が送りバントをするゴージャスさは240pnpです。フムフムと感心しています。でも面白くて公共交通機関では読めないのが残念ですが。

うんちくは差し置いて、先日の研究会で作成したアトラスですが、一部変更して作成しました。もったいないので掲載しちゃいます。ブログもそうですが、一部個人的に感じる意見もありますので参考にして下さい。また意見のある方のコメントお待ちしています。

このアトラスは10pnpくらいと思いますが、作成の大変さは1000pnpです。(みなさんなら何pnpになりますか?)無料配布は、まさに出血大サービスです。横(リンク先)のアトラスも参考にして下さいね。

グラム染色簡易アトラス「簡易アトラス.pdf」をダウンロード

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2007年9月21日 (金)

出血性腸炎のスメア

細菌検査に従事しているといろんな検査目的をもった検体に出くわしますよね。

細菌性腸炎、ウイルス性腸炎、薬剤性腸炎、出血性腸炎、虚血性腸炎・・・・。

その用途ごとに、培地の組み合わせを変更しないと合理的な検査は望めないのですが、臨床医をそんなことは考えてくれているのか不明です。私たちのアナウンス不足もあろうかと思います。

当院では明らかな細菌性腸炎以外には医師に目的を確認したり、スメアを見て状況を再確認しています。合理的なように思えますが、皆さんどうしていますか?

スメアは出血性腸炎ですが、意外に鮮血便が多く、外観で『O-157?』とも思える感じです。でもスメアでは判りません。O-157は意外に菌が見えないことも多いですので。

取り敢えず病歴の閲覧もそうですが確認が必要ですね。

背景にはキレイな赤血球は見えませんが、一部粘液のようなものが赤く見られて白血球も見えることが多いです。O-157の場合はあまり見えることが少ないように感じるのは私だけでしょうか?

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2007年9月20日 (木)

こんな膿胸珍しいかも

本日はこんな症例です。

78歳男性です。悪性リンパ腫を基礎疾患にもち、気胸がありました。

突然の発熱と呼吸困難で来院し、そのまま入院。CRXとCTで気胸側の膿胸を疑い、穿刺。ドロドロの胸水が採取されました。胸水は悪臭もなく、茶褐色のものです。その時のスメアです。菌がうようよいます。ギムザ染色もしてみたので同時に掲載しますが、菌が上手く染まらないようです。この菌の特徴でしょうか。

スメアは好中球がいっぱいです。ギムザでは単球も見えますが中皮細胞はありませんね。典型的な膿胸のスメアになろうかと思います。

どうでしょう。とりあえずCTRX2g/分1/日で開始です。

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Photo_2 ギムザ染色

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2007年9月18日 (火)

行ってきました

15日までJICAの研修に行ってきました。私の担当は『ブルキナファソ』の方でした。二人は好対照で面白かったように思います。でもブルキナファソ?ってと思う方はこちらhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/area/burkina/

髄膜炎菌ベルトなので非常に髄膜炎菌の検出が多いようです。向こうはA型やW135型が多いみたいです、季節的(雨季?)なものもあるようですが。なので皆さんの関心は髄膜炎に対する検査についてです。本邦のように職員数も少ないのか細胞数も自分自身でカウントしているようです。計算盤もあるところないところが多く国により標準化していないようです。

思ったことは

意外(と言っては失礼ですが)にレベルが高いこと」

日本もそうですが、技師の悩む箇所は同じようで、指導にも応用できたのが良かったかと思います。母国語はフランス語なので、最終日にはフランス語が頭を駆け回ってました。一応片言ですが英語は通じましたが・・・。

写真はβラクタマーゼの検出をしているところです。ニトロセフィン法ですがやはりしていないところ、しているところあるようですが、基準はフランスの感受性マニュアルなのでCLSIとは少し違うカテゴリーのようでした。

例えば:ブドウ球菌の場合は感受性のみβラクタマーゼ実施する、ヘモフィルスは関係なく実施など

写真掲載しておきます。

19日は髄膜炎の講義です。ひと波乱ありそうです。

Jica2007

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2007年9月14日 (金)

今日から仏語圏アフリカの技師さんに指導です

昨日から3日間はJICAプロジェクトの一環で仏語圏アフリカの技師さんに教育指導です。昨年も講義に伺いましたが、皆さん逞しい方ばかりでした。非常に熱意のある方ばかりですが、文化が違うので少し戸惑いもありましたが今年は大丈夫です。

ただ、感受性のマニュアルはCLSIではなくフランスのマニュアル・・・少し違います。

さて、本日は非常に珍しい?症例です。

85歳の男性ですが、数日前から右下肢に痛みを訴えていました。本日に視力障害も認め来院。右目の細菌性眼内炎で緊急入院です。右下肢は整形外科で蜂か織炎と診断されました。洗浄のため手術になりましたが、手術時に硝子体液を採取しました。その時のスメアです。いくつもの経験からこれを見て菌は大体予測できました(さすが師範手前と自画自賛です)。でも、良く出る菌など判り易かったら良いのですが、半身半疑です。使える簡易検査キットも使いましたが、菌も判明しました。

なんと、硝子体液を遠心した沈渣をA群溶連菌のイムノクロマトで検査したら『陰性』。続けてラテックスでLancefieldの分類しましたら『Group G』。そんな眼内炎ってどうなん?調べても出てきません。一応、感染性心内膜炎の除外診断は追加してもらいましたが・・・。

珍しくない?

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2007年9月12日 (水)

肺炎球菌見逃してませんか?

本日はこんな症例です。

患者は37歳男性です。発熱、頭痛、咳嗽を認めたので来院。生来健康で会社員です。意識障害はありません。

特記すべき事項もなく夜間に来院されました。入院時のCRXにて右下肺野に浸潤影あり。大葉性肺炎でとりあえず入院になりました。

主な検査所見はWBC21,700、CRP21.7、BUN13、SpO2 98、血圧低下認めず。

とりあえず当直に肺炎球菌尿中抗原実施したら陽性。レジオネラの尿中抗原は陰性。マイコプラズマIgM抗体も陰性で、塗抹にこのような菌がちらほら。一部貪食も認めました。

まあ、以上の情報から『肺炎球菌性の肺炎』と思いますよね。

肺炎球菌のスメアでの確認といえば・・・

①グラム陽性球菌で双球菌

②莢膜が染色されないで抜けて見える

③好中球やフィブリンが多数確認できる

ではないでしょうか?

でも莢膜は全てが抜けて見える訳ではありません。このように菌周囲が紅くなるのも莢膜の証明にはなります。みなさん見逃してませんか?

素朴な疑問なのですが・・・、この患者って入院要るの?

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2007年9月10日 (月)

塗抹成績が合いません

今日は塗抹と培養の成績について考えます。

患者は肝臓がんの放射線治療をしていましたが、発熱が続くので血液培養を実施してもらいました。培養では肺炎桿菌が出てきました。肝臓には膿瘍形成できないような大きな膿瘍様の浸出液しか採れませんでしたが、やはり肺炎桿菌

SBT/CPZで治療開始していましたが、中々軽快しません。やはり排膿が上手くコントロールできないとね。

数日後排膿が良好に出来るようにまでなり、発熱もコントロールできるようになりましたが、再度発熱が持続です。腫瘍熱?とも思いまして再度膿瘍の培養をしてもらうように主治医と相談しました。とりあえずグラム染色はこのようで、グラム陰性桿菌も見えています。

『主治医は抗菌薬は効いているのかな?』と言われていましたが、『スメアより菌数の減少も見られているので効果があると思いますよ・・・』と返答しましたが、次の日培養から『腸球菌が少数のみ・・・。』昨日のスメアって・・・・と主治医に言われましたが、一応返答しました。

みなさんならどう返答します?細菌検査していて、膿瘍なら良く経験しますよね。

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2007年9月 8日 (土)

こういう場合は菌名を迅速に報告するのでしょうか?

集中治療室に治療されている場合はVAPのリスクが上がりますよね。発症率は1日1%ずつ上がっていきます。しょうもない疑問ですが、1年だと365%になるのかわかりませんが・・・。

スメア見ていますとこんなのが見えます。

菌の形態や集族したものがありますので、もうグラム染色道場の生徒なら理解できるでしょう。何菌が予測されますか?

また背景には白血球も無く、一部線毛上皮の剥離も見えますね。でも菌のみ。

菌の名前わかっても迅速に菌名までの報告は必要でしょうか?まずは臨床医に相談も一つの策ですが。炎症細胞がありません+GNRと報告で事足りるような気がします。

みなさんどうですか?

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2007年9月 6日 (木)

アーチファクトにとったらあきません

喀痰を見ていますと、菌以外にも色々見ることがあります。

以前にも掲載していますがグラム染色の基本的な姿勢は

①グラム陽性か陰性かの確認(言い換えれば外膜の存在)

②種類の分別(ぶどう状、連鎖状など)

③起炎菌の推定

④炎症の状態(治療経過の観察など)

です。熟練度で①→④まで進んでいくとは思います。

また、ここまでできる場合もありますが

⑤悪性の判定http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_4fa1.html

に加えて、疾病により出現するものがあります

スメアはクルシュマンの螺旋体ですが、気管支喘息のときに出現して細胞診で観察されるものです。グラム染色でもこのように青みがかったもので確認できますが、単に脱色不良のようにも見えます。

みなさんこんなんも観察していますか?

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2007年9月 5日 (水)

乳腺の膿瘍

今日の症例は乳腺のしこりがあったので来院されたケースです。

5ヶ月前に乳がんの手術をして外来で経過観察していましたが、先日から少ししこりのようなものが出来てました。特に発赤、腫脹も殆どなくエコー上ではlow densityで穿刺したら膿瘍でした。

依頼時には、診療科は外科で膿瘍記載あり、このスメアを見て主治医と話しました。主治医は『乳腺の膿瘍なんや』と言っていました。通常乳腺の膿瘍は口腔内の常在菌が多く出てくることが多く、スメアの長い連鎖や陰性桿菌が多く見えます。

今回は正直『黄色ぶ菌かな?』というのが感想ですが皆さんどうでしょうか?外来なんで抗菌薬は?って聞かれたら難しい質問ですね。とりあえずキノロン?マクロライド?テトラサイクリン?のどれかでしょうが。

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2007年9月 3日 (月)

ピットフォール:CLDMの感受性結果

今日はもう一つ。ネタがつまらないとブーイングされそうで。(余談ですが、最近のアクセルホッパーは手抜きですかね・・・。)

市中MRSA(CA-MRSA)では、β-ラクタム以外の抗菌薬に対して感受性がある場合が多いとの報告があります。実際米国でのCA-MRSAではEM感受性株が多いと聞きます。感受性試験には大体、EM、CLDM、LVFX、MINO、STなどの市中感染用の抗菌薬を同時に測定します。EMの誘導耐性が問題として最近採り上げられることが多くなってきましたが、知識では知っていても検査の方法を見たこと無い方も多いかと思います。

阻止円を測定して間接的に感受性結果を求めるディスク拡散法(KB法)を用いると写真のような現象が確認されます。これはMICを測定して感受性をしていると判らないのがポイントです。

EMの阻止円は無いのですが、CLDMの阻止円は外側(EMと反対側)が大きな円になっていますが、内側(EM側)は少し潰れた形に見えると思います。縦に阻止円が歪みローマ字の『D』型になっています。これが、EMの誘導耐性を証明する現象でこの場合は阻止円が判定値で求めると『感受性』になるのですが、歪みを観察することで『感受性→耐性』と判定値を変換する必要があります。Dの形よりDテストと呼ばれることもあります。ぶどう球菌以外にもB群溶連菌で確認が必要です。

なのでEMが耐性、CLDMが感受性だからと言ってCLDMを投与すると効果が悪い場合もあるので要注意です。(EM:感受性、CLDM:耐性←は感受性成績の間違いかも知れませんなあ。これも注意)

Djpg Dテスト

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グラム染色の研究会が終わりました

『グラム染色から学ぶ感染症診断・治療研究会』が終わりました。欠席者が4人と夏休み最後の日曜日を潰してしまうような日程にも関わらず、熱心な方ばかりで非常に有意義な研究会でした。年に何回も・・・とも言われた方もいらっしゃたくらいです。

裏ネタですが、準備も大変で、準備期間は5ヶ月もありました。一部準備不十分なところもあり参加者には少し苦労を掛けましたが、生本番なのでトラブルがあった方がスリルもあり良かったのではないかと思いました。次回は色々な感染症事例について、グラム染色の有用性を確かめる会になろうかと思います。色々な材料をしますのでこうご期待で。でも飛ばしてするとネタ切れになりそうで心配です。

でも、今後の展開は研究会もそうですが、ここに来るような方はモチベーションも高く色々柔軟にして頂きますが、どうやって自施設でのアウトカムを期待するかになろうかと思います。

実習の写真掲載しておきます。顕微鏡を見ての実習風景と症例カンファの風景です。会場はビジュアル機能がよくて、症例カンファの風景はテレビモニターを使用しての実写解説です。臨場感あり面白いですよ。携帯で撮影したので少しきちゃないですがすいません。

1 顕微鏡の実習

2_2 症例カンファ

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