金属カチオンの影響
掲載しようと思いつつ忘れていました。
先日、うちのICTメンバーの薬剤師から面白い情報が送られてきました。
内容は『ニューキノロンと金属カチオンの併用による吸収阻害』
どうやら、Al、Mg、Ca、Feと一緒にキノロンを服用すると良くないようですね。
原因はNQと金属カチオンの難溶性キレート生成、物理的吸着など。
対応策としては
①NQを先に服用した場合 → 2時間以上あける(NQの吸収が速いため。)
②金属製剤を先に服用した場合 → 3~6時間あける(金属製剤は胃・腸管でほとんど吸収されず、消化管に残存しているため。)
③金属カチオンを含有しない他剤に変更。
になるそうです。勉強になります。
組み合わせ次第では、Cmax、AUCが10%以下に低下するケースもあるそうです。もともと、シプロキサンは空腹時での牛乳、Ca強化ジュースとの同時服用でも明らかな吸収低下が認められているため、同時服用は避けるべきである。ただし、食後の同時服用はOKのようです。
少し計算してみたので紹介します。
ex)クラビットの場合(単位は全てμg/mlです)
クラビットの薬効評価はAUC/MICになりますので
300mg/分3でAUC 21.9μg/ml
300mg/分1でAUC 28.9μg/ml
400mg/分2でAUC 35.2μg/ml
になるので
MIC 0.5μg/mlの菌であるとそれぞれ43.8、57.8、70.4になり、
MIC 1.0μg/mlの菌であるとそれぞれ21.9、28.9、35.2になります。
健常成人であればAUC/MIC>25で効果がありますが、免疫不全者(腫瘍、糖尿病など)あればAUC/MIC>125日必要といわれていますので、肺炎球菌のLVFXのMICは0.5程度になるので、肺炎球菌性肺炎などではカバーしきれない状態になります。
今回のAUC低下した場合を考慮すれば
水酸化アルミニウム1g→30.76
酸化マグネシウム1g→15.3
硫酸鉄1g→9.8
となり、服用の順番間違えた場合は水酸化アルミニウムで辛うじて有効域に達することになるのでしょう。怖いですね~。
本日のスメアは骨盤内膿瘍です。やはりBacteroidesらしき多形の陰性桿菌が多く見えますが、陽性の連鎖球菌も見えます。重症化はしないようなので抗菌薬はABPC/SBTか、CMZまたはFMOX、CTRX+CLDMでしょうか?いくつも選択肢がありますね。でも白血球は少し古く核があまりキレイでないようです。重症化していないところ見ると、慢性的に膿瘍形成されてきたかもしれませんね。症状とスメアが少し合います。
最近のコメント