放線菌
今日は少しマクロな標本です。先日知り合いの家族の咽頭に白苔様のものが付いてと言われ採取した病理の染色標本を持って来られました。HE染色を見てみるとこのような所見でした。
内部は壊死したものでその外周には外側に広がった隔壁の無い組織?です。早速『放線菌では?』と見えたとおりに言いました。以前にも少し病理の先生にも教えてもらったのがタメになった瞬間でしたが、そうです放線菌です。
放線菌と言っても細菌学ではActinomycesが代表ですが、病理では放線状に伸びる菌のことを指すらしいです。(私は細菌検査所属で)なので細菌検査の放線菌≒病理検査の放線菌と考えます。
1年に数例でますが、druseと呼ばれる硫黄顆粒を見つけスライドガラスで磨り潰して見ます。グラム陽性桿菌ですが放線状に伸びたものが確認されます。Actinomycesの培養は3-4日もかかり白い乾いた集落が見れます。同定は難しく市販の同定キットでの同定精度は非常に悪いので気をつけることですね。
拡大した写真では菌がヒョロヒョロと伸びた像が確認されるかと思います。周囲に隔壁を持ったように見えるのが特徴のようです。たまには細菌以外のスメアも新鮮です。
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コメント
こんばんは.遅ればせながら100回おめでとうございます!素晴らしい.
さて,咽頭に白苔がついて,Actinomycesですか.経験もありませんし,聞いたこともありません.調べたらそういうケースがあるのかもしれませんが,よくあることなのでしょうか?
ご教示いただければ幸いです.
投稿: ID conference管理人 | 2007年8月25日 (土) 00時25分
ID conference管理人さま、コメントありがとうございます。白苔というより白く咽頭部にあったもので採ったら穴が空いたようで。ベターってしたものでは無かったです
投稿: 師範手前 | 2007年8月25日 (土) 11時15分
師範手前さま
>先日知り合いの家族の咽頭に白苔様のものが付いてと言われ採取した病理の染色標本から放線菌
そうですか、放線菌は慢性あるいは化膿性肉芽腫性疾患に関係する病原菌ですよね。
もともと放線菌はヒトの口腔内や腸管内の常在菌であることから、内因性感染の型をとり、顔や首の組織に侵入し疾患を起こすと言われ、分泌液あるいは組織から病理組織でドル-ゼを認めることになりますね。
グラム染色からの特徴的な菌種推定も重要なポイントにもなろうかと思います。
推定できれば初期治療には静注ペニシリンが第1選択薬ですね。
適正な初期治療の為にも、検査室からの積極的な情報提供が重要と思います。
投稿: 倉敷太郎 | 2007年8月28日 (火) 14時46分