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2007年8月22日 (水)

頚部リンパ節膿瘍

今日は先日出た頚部リンパ節膿瘍です。

まあ、リンパ節の主張と言えば色々ありますが、さすがに数cmの大きなものになりますと膿瘍を疑う訳で、CTなど撮影します。膿瘍が確認できれば穿刺吸引して病理検査や細菌検査をすると思います。

今回は36歳の男性です。3cmのリンパ節膿瘍が見られ穿刺吸引しました。最近は頚部リンパ節結核も多く当院では、グラム染色、抗酸菌染色、結核菌PCRなど良く出ます。一応掲載しますが、前回の子宮内膿瘍と同じくグラム染色では、核の無い(見えにくい)白血球と背景には残渣のような古い膿瘍が確認できます。普通細菌感染した場合は(抗菌薬の投与が無い場合ですが)菌もキレイに菌も見えます。***①

しかし同時に抗酸菌染色した場合にはこのように抗酸菌も確認できることがたまにあります。膿瘍自体の飛沫が無い場合では問題なく染色もできますので、グラム染色の次はトライしてみましょう。ただし、換気が良いところで、N95マスクは着用して下さいね。加温という操作が入りますがそこはアルコールランプを購入してスライドの裏面から緩く暖めてください。沸騰させずに少し湯気が立つくらいです。***②

掲載しておきますね。

でも、結核の診断もつくと良いのですが、その他考えないといけない内容・診断などはないのでしょうか?一応ICTとして助言する内容も多いかと思いますが。

600 ①グラム染色×1000

600_2 ②チール・ネルゼン染色×1000

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グラム陽性菌」カテゴリの記事

コメント

師範手前さま、おつかれさまです。
頸部リンパ節の膿瘍、3cm大きいですね。
さて、グラム染色上細菌は認められないように思います、チ-ルで抗酸菌陽性ですか。
まず、結核菌PCRの早急な測定が必要なのと、患者さんのツ反応も必要でしょうね。
さて、この患者さんはここまで大きな膿瘍を形成するまで抗菌薬使用は無かったのでしょうか?
まずは頸部リンパ節結核を疑い、その他のリンパ節腫脹(進行後の膿瘍)をきたすリンパ節炎(細菌性、ウイルス性、またはスピロヘ-タなど)腫瘍(ホジキン、その他)免疫(サルコイド-シス)、などなど。微生物学的検査、病理学的検査、免疫学的検査での鑑別が必要ですね。
また鑑別のためには、胸部レントゲン、ツ反、咽頭培養、ウイルス抗体、免疫グロブリン、補体検査なども必要と思われます。
ICTとしては結核が否定できないうちは、医療従事者のN95マスクの使用、患者さんへのマスク使用などの指導も必要になるように思います。

投稿: 倉敷太郎 | 2007年8月23日 (木) 16時12分

師範手前さま
おはようございます。若年男性の頸部リンパ節膿瘍、
①結核とNTMの鑑別②免疫不全因子の検討
が必要かと存じます。病歴にくわえてHIV検査も行いたいです。
倉敷太郎さまのご指摘通り、他部位の結核感染の所見も一生懸命探すでしょう。肺結核の合併など・・・。ところでリンパ節結核だけで他部位には感染が証明されない時には、隔離についてはどのように考えるのが標準でしょうか?肺結核に準じて空気感染予防を、と記載されているものもあるようですが(UpToDateの記載など)空気感染であることを考えるとリンパ節だけであることが分かれば不要な気もしますが・・・いかがでしょうか。ご教示いただければ幸いです。

投稿: 総合内科医志望 | 2007年8月24日 (金) 07時01分

倉敷太郎さま、総合内科医志望さまコメントありがとうございます。
しかし暑いですね。元気でしょうか。
少しコメント追加してみます。
サンフォードガイドを閲覧していますと頚部リンパ節腫張の場合は猫引っかき病、溶連菌、黄色ぶ菌、抗酸菌を考えると書いてあります。まずは塗抹培養により目的菌を絞るとも書いています。猫引っかき病は稀だとは思いますが患者背景からある程度予測されると考えます。あとは溶連菌は咽頭炎に続発するものでしょうか?黄色ぶ菌は塗抹で判りますし、抗酸菌が問題でしょうね。
総合内科医志望さま
①結核とNTMとの鑑別が大切ですね。PCRを上手に使うと直ぐにわかりますが塗抹のみでは何ともいえないでしょうね。特に塗抹が出れば問題ないのですが出ないことも多く、当院ではPCRを用いていますが結構引っかかりますよ。
②免疫不全因子の問題は大切ですね。なのでHIVの検査も想定してみないといけない場合が今後出てきます。

結核の診断つけば、胸部のはレントゲンとCTで肺結核を否定して、患者にはマスクの指導でしょう。気管支結核の場合は画像に出てこないので喀痰の抗酸菌検査は院内感染対策も含め大事です。陰性であれば今はどうのこうのは必要なく今後定期的に肺結核のフォローも場合により必要かと思います。隔離については内服している期間にもよるであろうと思いますが患者の状況ごとに考えないといけませんね。肺外結核の場合は全て同じ対応になろうかと思います。

倉敷太郎さま
頚部リンパ節腫脹なので鑑別診断こそ大切なのは同感です。ウイルス性の場合は類似疾患あろうかと思いますが、とりあえず大きな腫脹の場合は穿刺が必要でしょうね。抗体検査も場合いより必要でしょうがEB?ムンプス?などでしょうか?

投稿: 師範手前 | 2007年8月24日 (金) 16時54分

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