今回も髄膜炎です
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コメント
ご無沙汰しておりました。
10ヶ月児の髄膜炎ということで成人にはない起炎菌の想定が必要かと思います。(やはり小児はよく分からないのですが・・・)塗抹ではGNRが貪食されているように見えます。小さいように見えるのでやはりH.influenzaeを考えたいですが自信がないのでE.coliなども考慮します。抗原検査を行います。H.fluならばBLNARかどうか?副鼻鼻腔炎などエントリーはあるか?など検討が必要でしょうか?抗菌薬はABPC+CTXを選択するのが妥当でしょうか?
ご教示おねがいいたします。
投稿: 総合内科医志望 | 2007年7月21日 (土) 07時57分
どうもです.
グラム陰性桿菌は私にはH.fluとしては大きめに感じるので,大腸菌かな,と思いました.でも感冒症状→髄膜炎だったらH.fluかな.追加検査はHIB抗原検査でしょうか.
いずれにせよ,CTXでH.flu(含BLNAR&B-lactamase)もE.coliもカバーできるので,CTXで治療を開始すると思います.
投稿: IDカンファレンス管理人 | 2007年7月22日 (日) 00時20分
総合内科医志望様、IDカンファレンス管理人さま
コメントありがとうございます。
グラム陰性桿菌の貪食がありますし、仮に無くてもこれだけ鮮明な白血球(好中球)が多いと細菌性髄膜炎になろうかと思います。なのでスメアで菌が出ない場合は迅速検査(ラテックスなど)が必要です。10ヶ月の子なので通常インフルエンザ菌が想定されますので、そのままで結構かと思います。当院では何の履歴が無い場合での大腸菌の髄膜炎はなかったので。新生児での垂直感染(水平感染)とは少し経路も違いますし、Kl抗原陽性のものが重要ですので頻度も少ないため、迅速検査が出来ない場合はインフルエンザを中心に進めないと仕方ないでしょう。ただ、今回の症例では経口抗菌薬が入っていますので塗抹で見つかる確率は文献的に見ても3割程度になるので、このように見つかるのが偶然(幸運)かもしれません。
今回は血清もb型に来ましたが、βラクタマーゼ陰性でABPC耐性でした。fts1の変異も見つかりましたのでBLNARです。一昔は髄膜炎のBLNARは少なかったのですが、今では多いです。
BLNARの場合はCTXやCTRXによる治療で開始すると各種ガイドラインにも記載されています。MEPMも使用している例があります。CTXは半減期が短いので頻回投与になりますが、CTRXは半減期が長いので単回/日投与になります。ただ、半減期が長い=蛋白結合率が高いので臨床と合わないかも?という報告もあります。MICでみるとCTXよりCTRXの方が低いMICを示し、CTRXよりPIPCの方が良い低いMICになることが分かります。
MICに捕らわれるのも良いですが、投与して反応悪けりゃ変更を早めに検討した方がよいのしょうか?
また、患者の背景に考えられること、起炎菌が分かり追加で聞くこと、治療に必要な情報なにかないですか?家族歴は大事じゃないでしょうか?
投稿: 師範手前 | 2007年7月23日 (月) 22時32分