炎症像の考え方
今日はお休みなので染色もお休みにします。でも記事は掲載します。
昨日の講演会は好評?で130名も来ていただきました。ありがたや。ありがたや。
さて、先日の「膿瘍の炎症細胞」の記事に色々”新しい”とか”古い”とか内容を記載しましたが、病理学の基本的な書物(バイブルと病理の先生はおっしゃってました。細菌検査にとってはClinical of Microbiologyみたいなものでしょうか?)にこのような記載があります。炎症が起これば炎症叢がどのような状態になっていくのか?です。図もあるので転写して掲載しますね。
炎症の過程は
①浮腫が起こり浸出液が漏出
②好中球の浸潤が始まる
③単球の浸潤が始まる
の過程です。特に「ほほう・・・」と思ったのが好中球の浸潤より1日程度遅れて単球の浸潤が最大になるようです。免疫不全者はこのような状態が満足に行うかは疑問ですが、我々免疫能がしかっりしているヒトではこうなるのですね。
なのでスメアを見ていて好中球ばかりだと1-2日以内の炎症像で、単球が多くなっているものは2日以降の炎症像だということになります。「膿瘍の炎症像」の記事の「極めてアクティブな炎症像」では分節した好中球よりやや大きい赤みを帯びた細胞が見えると思いますがそれば単球(Mφかも)になります。非常に空胞形成も多く活性化している像が分かると思います。貪食に関しては好中球は菌を見つけたら直ぐに行うため、貪食が無いうちは極めて貴重な像になろうかと思います。病理学は勉強になりますね。
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コメント
いつも拝見させていただいています。
質問なのですが、新鮮な好中球ばかりで菌が認められない場合は、まだ好中球が菌を貧食する手前だと考えていいのでしょうか?単球が認められれて菌がいない場合は、喀痰では非定型肺炎を疑えばいいのでしょうか?
投稿: 勉強不足な検査技師 | 2007年6月17日 (日) 13時16分
不勉強な検査技師さま、コメントありがとうございます。
さてご質問の内容ですが、肺炎と限定して話を進めていっても良いでしょうか?
じゃあ
①新鮮な好中球ばかりで菌が認められない場合は、まだ好中球が菌を貧食する手前だと考えていいのでしょうか?
>これは2つに分けて考えましょう。1つめは細菌(グラム染色で染色される)以外の感染→レジオネラ、クラミジアやマイコプラズマなどにより白血球が炎症叢に遊走している場合。2つ目は抗菌薬の投与で菌が消失した場合。
菌が居て白血球の機能障害が無ければ貪食します。
②単球が認められれて菌がいない場合は、喀痰では非定型肺炎を疑えばいいのでしょうか?
これは違います。一理あると思いますが、大葉性肺炎の場合は肺胞内にフィブリンや好中球の集積が多く観察され、好中球+単球が確認されます。ただ抗菌薬が前投与されている場合はこのような背景のみしか確認されません。
非定型肺炎の場合は間質性肺炎なので好中球の浸潤はありますが、フィブリンの析出が少ないようです。マイコプラズマは上皮の剥離をさす作用が多いので、参考になりますよ。
投稿: 師範手前 | 2007年6月18日 (月) 19時04分