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2007年6月27日 (水)

溶連菌の分類(Lancefieldの分類)

半人前さまより、溶連菌の分類の件でコメント頂きましたので少し解説します。

細菌検査で使用する血液寒天培地上でβ溶血を起こす菌の総称を溶連菌と言いますが、連鎖球菌の分類には菌名同定もそうですが、一度細胞壁の糖鎖の特異性で分けるLancefield分類というものをします。

Lancefieldの分類はA~Vまであり(IとJは欠番)、ヒトへの病原性で良く分離されるのにはA~G群まであります。詳細は

A群=S. pyogenes,S. canisが含まれますが殆どがS. pyogenesなので代用されている名称です。
B群=S. agalactiaeで妊婦や新生児の感染症に起因します
C群=S. dysgalactiae,S. milleri group
G群=S. dysgalactiaeやS. anginosusなどのS. milleri groupもあります。

元々Lancefield分類は細胞壁の糖鎖に対する抗原性を見たもので現在はラテックス法で分類しています。Manual of clinical microbiologyなど参照しますとまず、24時間後の集落の大きさが1mmで分別しているようです。通常病原性が強いのは1mm以上の集落が多く、同定でも見つけやすくなっています。

でも、今はLancefild分類と同定が合わない菌種も多く、いつも好意にして頂いています勝川先生らの論文「Disp.pdf」をダウンロード でも記載があるくらいです。

生方先生らも話題に取り上げており、今後少し進展があると思います。

当院でも色々ありまして、溶血しないS. pyogenes、A群抗原をもつS. dysgalactiae(通常はG群に多い)なども検出しています。細菌検査室では集落の性状も大切ですが、集落は菌の顔なので表情をしっかりと見極めて同定することが必要かと思います。集落性状などあくまで表現型なので。

当院で検出されたA群抗原をもつS. dysgalactiae(通常はG群に多い)の写真を掲載します。M蛋白様物質もstg845となっていますので、細胞壁の糖鎖が変異した株と推定されます。同時にS. pyogenesも掲載しますが、殆ど区別がつきません・・・・。

Photo_73 A群(S. pyogenes)

Photo_74 G群(S. dysgalactiae subsp. equilimilis)

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グラム陽性菌」カテゴリの記事

コメント

はじめまして
検索をしていてたどり着きました。
先日、入院の患者の血液培養からレンサ状のグラム陽性球菌を検出。赤血球の溶血が激しいことから溶連菌を疑い、ボトル内容を直接ラテックス凝集試薬で検査し、G群に凝集をみたので、「G群溶連菌を疑う」と報告し、精査の結果S. dysgalactiae subsp. equisimilisによる感染性心内膜炎の症例があったのですが、担当医が「この菌による感染性心内膜炎ってきいたことがないんだけど・・・」とのこと。そんなばかなと思いつつ、いろいろと検索してみたのですが、ブタなどの家畜の感染性心内膜炎の症例の報告ばかりが目に付き、人での症例報告はあまりみつけられなかったのですが、これはレアなのか、それとも報告するほどのことではないものだからなのか悩んでいるところです。グラム染色とはあまり関係のない質問で、場違いだったらお許しください。ご教授いただければと思います。

投稿: 流浪の技師 | 2007年6月30日 (土) 21時49分

流浪の技師さま。コメントありがとうございます。G群のIEですか?普通はIEになる前に何らかの部位・臓器で症状きたしてましたか?報告がどれくらいあるか少し調べてみます。

投稿: 師範手前 | 2007年7月 2日 (月) 00時02分

流浪の技師さま。
Streptococcus dysgalactiae subsp. equilimilisの感染性心内膜炎の件ですが、文献検索したら出てきましたよ。文献名添付しておきます。皆さんメジャーな溶レン菌以外の同定は簡単に出来ないのでしてなくてGroup G Streptococcusとして文献に記載されているようです。また、本邦においては17年度溶レン菌リファレンスセンターの報告書に2例の感染性心内膜炎の記載がありました。全てに推測されることは化膿性関節炎や菌血症の合併症として感染性心内膜炎に進行しているようですが、17年の溶レン菌報告書には人工弁置換術後のものが含まれていました。またタイムリーですが、先週に当院でも人工関節患者の化膿性関節炎例の報告がありましたので参考文献先を添付しておきますので参照して下さい。
感染性心内膜炎関係の資料(引用文献は古くて電子ジャーナルとれませんでした。)
>ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY, Aug. 1984, p. 260-262
>JOURNAL OF ANTIMICROBIAL CHEMOTHARAPY 1999.44.121-124.
人工関節の溶レン菌感染症
>Clinical Infectious Diseases 2003; 36:845–9
17年度溶レン菌リファレンスセンター報告書
>http://idsc.nih.go.jp/pathogen/refer/str2005.pdf

投稿: 師範手前 | 2007年7月 2日 (月) 13時58分

師範手前様

グラム染色とは関係のない質問で、お手数おかけしました。本当にありがとうございました。
検索のしかたも未熟でお恥ずかしい限りです。
元々は内科入院の患者で、おそらく菌血症の合併症としてのIEだったものと思われます。抗生剤の反応は非常によかったのですが、疣贅がなかなか小さくならないので、担当医は不思議がっています。
本当にお世話になりました。しかし、このブログ大変面白いですね。
ちょくちょくお邪魔させてください。

投稿: 流浪の技師 | 2007年7月 2日 (月) 21時10分

流浪の技師さま

コメントありがとうございます。また、面白いなんて。同じ境遇の技師もそうですが、感染症で悩む医療従事者は多いですよ。大学病院などの大きなしっかりとした施設以外では。私もその一人として奮闘している毎日です。一緒にがんばりましょう。そのがんばりは患者の予後に直結しますので。

疣贅の問題ですが、投与はもちろんペニシリン系ですよね?陽性球菌の一部はバイオフィルム形成しますので画像上直ぐには小さくなりません。バイオフィルムを小さくするにはRFPやEMなどバイオフィルムを小さくする働きのある薬を併用したほうが良いそうですよ。ViridansでRFP投与したら良くなったとの報告もあるくらいです。また、疣贅は弁の損傷具合も考慮しないといけないので判断は難しいのでしょうかね?経食道エコーでもはっきりしていなかったのでしょうか?
溶連菌感染ですが、書いたかもしれませんが、白癬は調べておいたほうがいいですよ。進入門戸として擦り傷もそうですが、小さな足先の傷もありますので。あと家族内感染もうちでは経験していますので、学会報告する際は経路を特定すると非常に理解が早いですね。

投稿: 師範手前 | 2007年7月 2日 (月) 22時33分

侵入門戸の件は、さっそく調べてみたいと思います。
仕事をするうえで大変参考になります。
今回はPCGとGMの併用でした。RFPの件など主治医に紹介してみます。

投稿: 流浪の技師 | 2007年7月 2日 (月) 23時13分

溶連菌のM蛋白での分類は、最新のものでいくつになるのでしょうか?
60以上、80以上、100以上などといった記載しか見当らず、本当は何個なのかー?
と思いました。
もしわかりましたら教えてください。

投稿: 小児科医 | 2012年5月15日 (火) 21時58分

小児科医様

見たところ1000くらいありますね。emmだけでも。

グループCやGを入れるともっとあります。
下記が最新と思います。
ftp://ftp.cdc.gov/pub/infectious_diseases/biotech/tstransl/

投稿: 師範手前 | 2012年5月16日 (水) 18時40分

勉強させていただき恐縮です。
溶連菌の溶血している写真を発表のスライドでしようしてもいいでしょうか?ご許可をいただきたく存じます。ご許可いただけました際には、出典の記載はどのように記載しましょうか?

投稿: せんぽ東京高輪病院 辻です。 | 2012年11月14日 (水) 00時19分

どうぞパクッてあげてください。出典は下に小さい字で構いませんが。

投稿: 師範手前 | 2012年11月14日 (水) 18時28分

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